専修人の本_2026年度

2026年度 新刊紹介

新しい本・河野教授著
階級と「私たち」のゆくえ イギリス映画が照らす連帯の物語
発売日 2026.4.18
著 者 河野真太郎
発 行 フィルムアート社
価 格 税込2,860円
本書は、階級社会と言われるイギリスの階級、とりわけ労働者階級がいかなる変遷をたどったかを、イギリス映画を中心に考える。
いまや、かつてのような労働者階級の連帯は姿を消しつつあるようにも見える。だが本書は、それがいかにして消えていったのか、そして何が残っているのかに、ケン・ローチ監督作品をはじめとする多様な映画作品を通して目を向けることで、新たな階級と連帯の構想の出発点に立とうとするものである。
本書ではイギリスの経験から日本の私たちが学べるところが大きいだろうという想定のもと、『あのこは貴族』や『万引き家族』といった日本映画、また『パラサイト』などの韓国映画も取り扱っている。最終的に本書が辿り着くのは、交差的(インターセクショナル)な連帯の可能性だ。分断が叫ばれる今、「私たち」はいかにして可能なのかを本書は問う。
著者(こうの・しんたろう)国際コミュニケーション学部教授。英文学。

新しい本・上田名誉教授
ウェルビーイング経営 リスクに強い企業をつくる
発売日 2026.6.26
著 者 上田和勇
発 行 早稲田大学出版部
価 格 税込1,430円
企業を取り巻く環境が不確実さを増すなか、働く人の心身の健康や人間関係の充実を意味する「ウェルビーイング」は、これからの企業経営に欠かせない視点になっている。
本書では、企業が逆境から復元する力(レジリエンス)の源泉の分析とともに、企業の持続的な成長と働く人の幸福を両立させる経営のあり方を、事例や調査、理論をもとにわかりやすく解説している。
日本企業におけるウェルビーイングの展開や先進的な経営者の考え方、職場でウェルビーイングを育てる要素などを多角的に検討し、人とのつながりや価値観の共有が組織の強さにつながることを示している。
企業と働く人の双方にとって、よりよい職場と社会を考えるための一冊である。
著者(うえだ・かずお)専修大学名誉教授。リスクマネジメント、保険論。
新しい本・飯考行教授
裁判員制度は何を変えるのか―市民が支える司法と社会へ
発売日 2026.5.25
編 著 飯考行ほか
発 行 旬報社
価 格 税込1,980円
市民が裁判員として裁判官と刑事重罪事件の裁判を担当する裁判員制度は、2009年にはじまり、2022年からは裁判員に選ばれる年齢が20歳から18歳以上へ下がり、裁判員を担当する大学生も現れている。しかし、裁判員に選ばれる確率は低く(1万人に1人もいない)、判決を決める話し合い(評議)の中身は漏らしてはならないともあり(守秘義務)、身近なものになっているとは言いがたい。
本書では、裁判員制度の歩みを振り返り、何を変えるのかを、18歳裁判員時代の法教育、誤判のおそれ、評議の秘密などの守秘義務や、民事・行政事件への拡大可能性のテーマで、裁判員を経験した市民、弁護士・元裁判官や研究者が、語り、記している。裁判員制度のポテンシャルを生かし、裁判の質を向上させるためのヒントが詰まっていよう。
編著者(いい・たかゆき)法学部教授。法社会学。