専修人の本_2026年度

2026年度 新刊紹介

校友の本(大澤さん)
NPO(非営利組織)論入門
発売日 2026.7.1
著 者 大澤史伸
発 行 学文社
価 格 税込2,090円
著者(平9院文修)は社会福祉論を専門とし、現在、東北学院大学地域総合学部准教授である。
本書は初めて「NPO」というものに触れる人々に対して、「NPOとは何か」という基本的な問いかけから始まり、それでは「NPOを作るには何をすればよいのか」という具体的な方法についてできるだけ詳しく、そして、実際の事例を取り入れながら説明を試みた。豊富な事例と体系的な構成により、歴史・制度・マネジメントを一体的に学べる一冊となっている。
社会課題が複雑化する現代において、NPOの役割と可能性を実感しながら理解を深めることができ、これから社会貢献を志す人、組織づくりを目指す人に確かな指針を提示している。
将来、NPOに就職をして社会貢献をしたいという人、将来、自分でNPOを作ってみたい人、ぜひ本書を読んでその夢に向かって大いなる一歩を踏み出してほしい。


専修人の本・金講師
地区防災計画とコミュニティの社会学―東日本大震災からコロナ禍、能登半島地震まで
発売日 2026.6.30
著 者 金思穎
発 行 九州大学出版会
価 格 税込2,750円
本書は、筆者が10年以上にわたって取り組んできた地区防災計画に関するモノグラムである。大地震で避難生活を経験したことを出発点に、地区防災計画とコミュニティの関係を社会学的に解明した。
具体的には、東日本大震災から、コロナ禍、能登半島地震の時期まで、20以上の地区でインタビューやアンケート調査を実施し、住民全体の防災計画づくりの実態と意義を分析した。
そして、祭り等の伝統行事や日常の地域活動に潜在する防災機能や、防災活動を契機としたソーシャル・キャピタルの醸成機能を明らかにした。現代のコミュニティの在り方を防災を切り口に実証的に考察した一冊である。
著者(きん・しえい)人間科学部兼任講師。社会学。


新しい本・河野教授著
階級と「私たち」のゆくえ イギリス映画が照らす連帯の物語
発売日 2026.4.18
著 者 河野真太郎
発 行 フィルムアート社
価 格 税込2,860円
本書は、階級社会と言われるイギリスの階級、とりわけ労働者階級がいかなる変遷をたどったかを、イギリス映画を中心に考える。
いまや、かつてのような労働者階級の連帯は姿を消しつつあるようにも見える。だが本書は、それがいかにして消えていったのか、そして何が残っているのかに、ケン・ローチ監督作品をはじめとする多様な映画作品を通して目を向けることで、新たな階級と連帯の構想の出発点に立とうとするものである。
本書ではイギリスの経験から日本の私たちが学べるところが大きいだろうという想定のもと、『あのこは貴族』や『万引き家族』といった日本映画、また『パラサイト』などの韓国映画も取り扱っている。最終的に本書が辿り着くのは、交差的(インターセクショナル)な連帯の可能性だ。分断が叫ばれる今、「私たち」はいかにして可能なのかを本書は問う。
著者(こうの・しんたろう)国際コミュニケーション学部教授。英文学。

新しい本・上田名誉教授
ウェルビーイング経営 リスクに強い企業をつくる
発売日 2026.6.26
著 者 上田和勇
発 行 早稲田大学出版部
価 格 税込1,430円
企業を取り巻く環境が不確実さを増すなか、働く人の心身の健康や人間関係の充実を意味する「ウェルビーイング」は、これからの企業経営に欠かせない視点になっている。
本書では、企業が逆境から復元する力(レジリエンス)の源泉の分析とともに、企業の持続的な成長と働く人の幸福を両立させる経営のあり方を、事例や調査、理論をもとにわかりやすく解説している。
日本企業におけるウェルビーイングの展開や先進的な経営者の考え方、職場でウェルビーイングを育てる要素などを多角的に検討し、人とのつながりや価値観の共有が組織の強さにつながることを示している。
企業と働く人の双方にとって、よりよい職場と社会を考えるための一冊である。
著者(うえだ・かずお)専修大学名誉教授。リスクマネジメント、保険論。
新しい本・飯考行教授
裁判員制度は何を変えるのか―市民が支える司法と社会へ
発売日 2026.5.25
編 著 飯考行ほか
発 行 旬報社
価 格 税込1,980円
市民が裁判員として裁判官と刑事重罪事件の裁判を担当する裁判員制度は、2009年にはじまり、2022年からは裁判員に選ばれる年齢が20歳から18歳以上へ下がり、裁判員を担当する大学生も現れている。しかし、裁判員に選ばれる確率は低く(1万人に1人もいない)、判決を決める話し合い(評議)の中身は漏らしてはならないともあり(守秘義務)、身近なものになっているとは言いがたい。
本書では、裁判員制度の歩みを振り返り、何を変えるのかを、18歳裁判員時代の法教育、誤判のおそれ、評議の秘密などの守秘義務や、民事・行政事件への拡大可能性のテーマで、裁判員を経験した市民、弁護士・元裁判官や研究者が、語り、記している。裁判員制度のポテンシャルを生かし、裁判の質を向上させるためのヒントが詰まっていよう。
編著者(いい・たかゆき)法学部教授。法社会学。