専修人の本_2016年度

女子選手のコーチングメソッド
女子選手のコーチングメソッド
発売日 2016.12.25
著 者 佐藤雅幸監修・著【経済部教授】
発 行 メイツ出版
価 格 本体1600円+税
本書は女性アスリートを指導するコーチらが抱える「どうしたら信頼関係が築けるか?」「女性アスリートのモチベーションを向上させるにはどんな言葉かけがよいか?」などの疑問の解決を目的とした書籍である。
我が国を代表するトレーナーや指導者の取り組み方も紹介しており、スポーツだけでなくビジネスにも応用できる内容となっている。
著者は、本学スポーツ研究所顧問で「修造チャレンジ」メンタルサポート責任者の佐藤雅幸教授と、女性アスリートの三主徴(エネルギー不足や月経異常、骨粗鬆(しょう)症)の問題を研究している相澤勝治文学部准教授。女性アスリートの心身を理解するための指南書としてぜひ読んでいただきたい一冊である。
監修・著者(さとう・まさゆき)=経済学部教授、主な担当はスポーツウエルネス、スポーツ心理学。
書き込み式スペイン語単語帳
発売日 2016.12.25
著 者 藤井嘉祥【経済部非常勤講師】、シルビア・アロンソ、井上幸孝、砂山充子・著
発 行 朝日出版社
価 格 本体1200円+税
第2外国語としてスペイン語を学習する人向けの基本語彙(ごい)集。約1700語を収録し、標準的なスペイン語教科書の副教材としての活用を意図した。レベルを3段階に分け、段階的に基本語彙を習得できるよう構成するとともに、テーマや動詞の種類ごとに語彙を分類し、文法項目とも関連付けて学べるよう配慮した。
「書き込み式」の名の通り、インターネット上で提供される音声を聴きながら、自分で空白を埋めて完成させていく。各ページ下部には例文を配置した。
音声吹き込みには、ビセンテ・オタメンディ法学部非常勤講師と文学部人文・ジャーナリズム学科4年次の片貝絵奈さんも参加した。
共著者(ふじい・よしただ)=経済学部非常勤講師、(シルビア・アロンソ)=ネットワーク情報学部非常勤講師、(いのうえ・ゆきたか)=文学部教授、(すなやま・みつこ)=経済学部教授。いずれもスペイン語担当。
墨田区吾嬬町発ブラックホール行き
墨田区吾嬬町発ブラックホール行き
発売日 2016.11.30
著 者 上野歩・著(昭63文)
発 行 小学館
価 格 本体1500円+税
『削り屋』で旋盤工、『わたし、型屋の社長になります』では金型屋と製造業を舞台に、丹念に取材を重ね、中小企業の現場と、そこで働く職人たちの姿を描いてきた上野歩さん(昭63文)の最新作。1年ぶりの書き下ろし長編小説となる今作では、ヘラと呼ばれる金属棒を回転した金属板に押し当て、成形加工する「ヘラ絞り」を取り上げる。
失踪した父に会うため、父と同じヘラ絞り職人の道を歩み出した主人公・小倉ひかり。夢中になって腕を磨き、目覚ましい上達を遂げていく。オファーを受けて出演した職人の腕を競うテレビの企画では、『削り屋』の主人公・剣拳磨と対決。腕を認められたひかりは、宇宙観測用のパラボラアンテナづくりという最先端プロジェクトに加わっていく。
技術の継承、職人とそれを支える人たち、父と娘の関係|さまざまな要素が盛り込まれた、読み応え十分の一冊。
上野さんは「今後は製造業以外の仕事をテーマとした小説も出していきたい」と話している。
放送法と権力
放送法と権力
発売日 2016.10
著 者 山田健太・著【文学部教授】
発 行 田畑書店
価 格 本体2300円+税
「放送番組の善し悪しは為政者が判断する、という社会ルールが定着しかけている」と著者は警鐘を鳴らす。国境なき記者団がまとめた今年の世界報道自由度ランキングで、日本は180カ国中72位。新規立法を含めた政府のメディア政策が「言論の不自由」を拡大している――と国内外から指摘される一方で、安倍政権の支持率は高い。
本書は「放送法」に関する高市総務相の発言など、直近5年間に起きた放送や言論の自由をめぐる事柄を取り上げる。「報道圧力」「言論の不自由」「放送の自由」「政治的公平の意味」「デジタル時代のメディア」「市民力が社会を変える」で構成。「表現の自由」と「自由な表現」の違いに鈍感な視聴者を生み出した、マスコミ自身の責任にも切り込む。
政府の情報戦略にどう対抗していくのか。著者は「新聞・放送・出版にたずさわる者が現状を理解し、現実を直視して、目の前の課題を乗り越えていくことが求められている」と語る。
著者( やまだ・けんた)=文学部教授。主な担当は、言論法、ジャーナリズムと現代。
見張塔からずっと―政権とメディアの8年
見張塔からずっと―政権とメディアの8年
発売日 2016.10
著 者 山田健太・著【文学部教授】
発 行 田畑書店
価 格 本体2300円+税
沖縄県の地元紙「琉球新報」に長期連載しているコラム「メディア時評」。2008年5月の連載開始から今夏までの100回分と、連載開始に当たっての特別寄稿をまとめたのが本書。
冒頭、言論の自由やジャーナリズムに対する事項を連載に先立つ2005年から挙げる。年ごとの流れを05年「政治と放送の関係 問われる」、06年「放送に政府圧力」、07年「教育現場でも国家介入色濃く」と記し、08年は「異論認めずの空気強まる」。以降、特定秘密保護法、安保法案が成立・施行されるなかでメディアがどう変容してきたかが綴られる。
地元メディアが政権党から「偏向報道」とバッシングを受ける沖縄と本土を行き来しながら、日本のメディアが自由を狭められてきたこの10年を検証している。
望み
望み
発売日 2016.09.05
著 者 雫井脩介・著(平3文)
発 行 角川書店
価 格 本体1600円+税
人気ミステリー作家・雫井脩介さん(平3文)の心理サスペンス。少年事件の渦中で揺れ動く家族の心情を描く。
高1の長男は、夏休みになるとふらりと出かけ、一晩家を空けるようになった。自分の世界を築いていく年ごろだろうと、両親は特別な注意を払ってこなかった。
ところが9月のある週末、長男は2日たっても帰ってこない。
「悪いけど、いろいろあってまだ帰れない。でも、心配しなくていいから。またメールする」
息子からの連絡はこの1通のメールのみ。不在が続く中、市内では車のトランクから少年の遺体が発見される。目撃者によれば、現場から逃走したのは複数の少年。息子は事件に関わっているのか。それとも……。
警察小説から恋愛小説まで幅広いジャンルを手がける雫井さんが、家族の絆について切り込み、濃密な人間ドラマを作り出した。第7回山田風太郎賞候補作。
クラフツマン 作ることは考えることである
クラフツマン―作ることは考えることである
発売日 2016.07.25
著 者 高橋勇夫・訳【法学部教授】
発 行 筑摩書房
価 格 本体4000円+税
著者のリチャード・セネットは、人間の本質は「作る人」であるとし、人間はクラフト(技術)の集積である、と考えている。
豊富な具体例で本書が探求するのは、クラフトに潜む「知性」である。
ストラディヴァリウスの職人も、ピアニストやチェロ奏者も、医師も先生も、画家や小説家も、果ては原爆の開発者から政治家、子育て奮闘中の親たちに至るまで、もしかしたら「よき隣人」ですら、クラフトの塊なのである。
モノだけではない。社会も人格
ビジネス・レジリエンス思考法 リスクマネジメントによる危機克服と成長
ビジネス・レジリエンス思考法―リスクマネジメントによる危機克服と成長
発売日 2016.07.22
著 者 上田和勇・著【商学部教授】
発 行 同文舘出版
価 格 本体2300円+税
本書は、リスクや危機に直面した時に、逃げず、状況を把握し、乗り越えてきた人や企業に焦点を当てている。そこに見る共通の要素を探り、それらを企業生活、企業経営の在り方に関する指針として、またこれからの人生の満足度や精神的成長に関わる指針として役立てていくための思考方法や方策を具体的に検討している。
レジリエンスは、そのための思考を育んでくれる概念であり、それをもとに幸福への道に進むための方策でもある。
本書ではビジネス・レジリエンスの思考を普段から企業内に組み込み、マネジメントし、最終的には幸福感を実感できるための諸策の提言を行っている。企業の復元力のみならず、個人の復元力の醸成にも役立つ著書である。
著者(うえだ・かずお)=商学部教授。主な担当は、リスクマネジメント、保険論、企業倫理。
基礎からわかる生活法学
基礎からわかる生活法学
発売日 2016.07.07
著 者 佐々木和夫・著【法学部准教授】
発 行 成文堂
価 格 本体2700円+税
本書は、かつて著者が経済、経営、商、文の各学部において担当した「法学」の内容である『生活法学入門』(1996年、酒井書店)に、大幅に加筆した法律書である。すなわち、結婚と離婚、親子、遺産相続や、売買、金銭の貸借と担保、物の貸借と借地借家、不法行為と損害賠償などの内容に、近年の多くの立法改正や新たな判例にも対応させつつ、法学部の学生にも役立つように、法解釈の技法などの法律学の重要事項も書き加えたものである。
本書は、日常生活で発生するさまざまな法律問題について、実社会で発生する問題の順番に従って解説しつつ、その関連箇所において法学の一般理論を織り込み、難しい漢字にはふりがなを振り、法律用語は太字にして定義を明記するなどの工夫をした。このため、法律学を学んでいない方々が読んでも理解できるような内容となっている。
著者( ささき・かずお)=法学部准教授。主な担当は、刑法、法学。
杜甫全詩訳注(全4巻)
杜甫全詩訳注(全4巻)
発売日 2016.06.10
著 者 下定雅弘・松原朗編【文学部教授】
発 行 講談社学術文庫
価 格 本体 巻1、巻2:各2300円、巻3:1900円、巻4:2900円=いづれも+税
杜甫(712〜770)は詩聖と称された中国最大の詩人である。「国破れて山河在り」戦乱で破壊された長安の都を悲しんだこの句は、芭蕉の「奥の細道」にも引用されてあまりにも有名である。
杜甫全詩の訳注は、昭和初期の鈴木虎雄以来、90年近く現れなかった。以前から新しい訳注を求める声はあったが、約1500首の膨大な作品量と、杜甫一流の難解な詩句にはばまれて実現しなかったのである。
今回、全国から結集した三十余人の執筆者の力で、分かりやすく簡潔な杜甫の訳注が完成した。松原教授は「取りまとめ役としてこの仕事に関われたことを光栄に思う。一人でも多くの専大生諸君が、本書によって杜甫の魅力に触れてほしい」と話す。
著者(まつばら・あきら)=文学部教授。主な担当は、中国の文化と歴史。
引き裂かれた家族を求めて-アメリカ黒人と奴隷制
引き裂かれた家族を求めて-アメリカ黒人と奴隷制
発売日 2016.06.07
著 者 樋口映美訳 【文学部教授】
発 行 彩流社
価 格 本体3600円+税
著者ヘザー・A・ウィリアムズはジャマイカ生まれ。ハーヴァード大学で法律を学び、公民権専門の検事補佐職を経て、イェール大学大学院で歴史学を学んだ。現在ペンシルヴァニア大学でアフリカ系アメリカ人史を教えている。本書はそのような経歴の著者ゆえに書くことのできた Help Meto Find My People 全訳である。
アメリカの奴隷制を語る研究書として本書ほど感動を呼ぶものはない。著者は、奴隷とされた人びと、奴隷所有者、ときには奴隷商人や旅人にも寄り添う。そして奴隷とされた幼い子や夫婦や老齢の父母が、売買など所有者の都合で引き離され、それでも互いを求め合う、その姿とともに奴隷制の全容を描き出す。
最後に著者は、奴隷制廃止後の時代にも思いを馳せ、「人」とは何かと今を生きる私たちに語りかける。
訳者( ひぐち・はゆみ)=文学部教授。主な担当は、アメリカの人種と政治。
流通イノベーションへの挑戦
流通イノベーションへの挑戦
発売日 2016.05.26
著 者 田口冬樹著【経営学部教授】
発 行 白桃書房
価 格 本体3000円+税
流通イノベーションの視点から、主要な流通ビジネスの発展を解明している。今日、流通のリーダーとなっているウォルマート、セブン-イレブン、アマゾンの成長の源泉を論証。さらに小売業態、物流、ブランドとOEM・EMS、PB商品、小売企業のグローバル展開に焦点を当て、流通イノベーションとの関係を考察している。
本書では流通イノベーションを、日常生活をより便利にするレベルから大きな社会変革まで幅のある捉え方をしており、新たな顧客価値を創造し提供するための取り組みであるとしている。今後、我々の生活やビジネスの発展に、ますます流通イノベーションが不可欠になることも強調した。流通をより深く研究したい人、買い物や流通業界の新しい動向に関心のある人にもお薦めの一書。
著者( たぐち・ふゆき)=経営学部教授。主な担当は、マーケティング入門、流通論。
プッチョンの丘
プッチョンの丘
発売日 2016.05.15
著 者 はら よう・著(昭47法)
発 行 文芸社
価 格 本体1400円+税
韓国ソウルの人気観光地・プッチョン(北村)の韓屋で出会った日本人の一磨と韓国人の美来。2人は運命に導かれるようにひかれあう。国境を超えた純愛を描く究極のラブストーリー。
物語の終盤、陶芸家であり大学で教鞭を執る一磨と、韓国文化の研究者の美来が中心となり東京で韓国文化展を開催、大成功を収める。2人は互いを思いやる気持ちを深めながら、文化交流を通じて両国の共生や友好を静かに誓うのだった。
著者は本名麻原芳基さん(昭47法)。卒業後コカ・コーラウエスト(現在)に入社。営業畑を歩み、執行役員広島支社長やグループ会社の代表取締役社長を務め、2009年に定年退職した。
14年、プッチョンを訪れた際、ふと「日韓の恋愛物語」を思いついた。今までに小説を書いたことはなかったが、帰りの機中から執筆開始。寝食を惜しんで取り組み2カ月半で脱稿。広島の専門書出版会社の知人のアドバイスを受け出版社に送ったところ、デビューとなった。友人であるプロ野球解説者の衣笠祥雄さんが「純愛に心が震えた」と帯に推薦文を寄せている。
新興市場ビジネス入門―国際経営のフロンティア
新興市場ビジネス入門 国際経営のフロンティア
発売日 2016.04.28
著 者 今井雅和著【経営学部教授】
発 行 中央経済社
価 格 本体2300円+税
20世紀はあらゆる面で米欧先進国が主役だった。しかし、世紀の変わり目をはさんで主要新興国が世界の政治、経済に影響力を行使するようになった。
国際ビジネスにおいても同様である。いち早く新興市場の重要性が明らかになり、新興多国籍企業の活躍が目立つようになったのが、ビジネス分野である。新興市場の登場によって、国際経営の現場と研究の両面において、それまでのさまざまな常識が転換されつつある。
国際経営のフロンティアとしての新興市場ビジネスを学ぶことで、ダイナミックに進化する世界を実感してほしい。大企業と異なり、制約の多い「スタートアップ」や個人が持てる力を発揮するにはどうすればよいかに通じる議論満載である。
著者( いまい・まさかず)=経営学部教授。主な担当は、国際ビジネス概論、新興市場ビジネス論。
兵隊はかなしきかなや 日記
発売日 -
著 者 諸角弘・著(昭28商経)
発 行 -
価 格 -
戦争の悲惨さを次代に語り継ごうと諸角弘さん(昭28商経・山梨県上野原市)が『兵隊はかなしきかなや 日記』を自費出版した。
諸角さんは上野原の青年学校から昭和20(1945)年4月、19歳で新潟県高田市(現上越市)の第十三航空情報教育隊に入営し軍務に服した。仙台の航空情報隊を経て青森県八戸で終戦を迎えた。同書は数年前に諸角さんが行った講演(神奈川県相模原市の郷土史研究会主催)採録と自身の日記が掲載されている。
「 私の軍隊生活は短く、外地で鉄砲を撃ち合ったことはないが、戦争と真剣に向き合った。『かなしきかなや』と嘆き悲しむことが絶対起こらない平和な世界を切に願う」と語る。
タイトルの「兵隊はかなしきかなや」は従軍作家・火野葦平の詩からと った。A4判・95ページ。