専修人の本(2019年)

2019年度 新刊紹介

専修人の本・田口誠道氏著
行政書士のお坊さんが伝える 両親への贈り物に「生前戒名」という考え方
発売日 2020.01.29
著 者 田口誠道著(平元法)
発 行 徳間書店
価 格 1300円+税
最期まで自分らしい人生を送るための「終活」を意識する人が増えている。住職であり、行政書士でもある著者の田口誠道さん(平元法、本名誠)は生前に戒名をつけることで仏教を学び、正しい死生観を持ってほしいと説く。
流通ジャーナリストとして活躍した故金子哲雄さんが生前戒名を授かった経緯を知り、戒名について深く考えるようになったという。戒名の本来の意義、お布施との関係、死後の世界、葬式仏教の始まりと由来、仏教的終活のすすめなど、具体例を挙げながら丁寧にひもとく。金子さんの妻の雅子さんの寄稿もある。
田口さんは、死を恐れることなく家族や知人とともに受け入れ、心安らかに逝くために、「終活こそ仏縁を得る機縁とすべきだ」と訴える。
著者は専修大学法学部を卒業後、大塚製薬勤務を経て1997年に得度。現在は臨済宗長昌寺(長野県上田市)で住職をしている。これまでに仏教に基づいたエンディングノートを2冊出版している。
専修人の本・馬塲教授
なぜ組織は個を活かせないのか
発売日 2019.11.02
著 者 馬塲杉夫著
発 行 中央経済社
価 格 2700円+税
個の主体性を活いかす必要性を感じている人や組織は少なくない。企業の利益の源泉は、個の働きに依存しているからである。しかし個を活かせていない原因を正しく認識できている人はわずかである。
本書は、これまでの個を活かす議論を整理しながら、変化の時代に、なぜ実現できないのか、その原因を明らかにするとともに、個を活かし、組織が存続していくことに向けた視座を提供している。
著者が30年余にわたって行ってきた、組織の存続に向けて求められる従業員の行動に関するフィールドスタディの成果。個が活かされていない、あるいは自分自身が活かされていないと思う状況を体系的に理解し、現状打破に向けた気付きが得られるだろう。
組織を動かしたいマネジャーや、自らを活かしたいビジネスパーソンに最適な一冊だ。
専修人の本・小沢教授著
進化的イノベーションのダイナミクス
発売日 2019.11.18
著 者 小沢一郎著
発 行 白桃書房
価 格 3545円+税
組織の盛衰はなぜ起きるのか? 本書では、その一要因となる「進化的イノベーション」への対応の様相を切り口として、そのダイナミクスを解き明かしていく。そして、そこから見えてくるイノベーションのフェーズごとに、組織側の継続的顧客戦略策定のヒントをまとめる。さらに、この戦略を実行可能とするために、組織を動かす組織能力の在り方とそのマネジメントへと議論を展開していく。
本書は研究書でありながら、その目的として実務家の皆様への貢献を挙げている。それは、著者自身が25年間の実務家経験を基に、研究と実務との橋渡しを願って執筆を続け、集大成として出版したものだからである。
著者(おざわ・いちろう)経営学部教授。経営戦略論、イノベーション論、経営組織論。
専修人の本・菅原教授著
西周 現代語訳セレクション
発売日 2019.09.06
著 者 菅原光共訳
発 行 慶應義塾大学出版会
価 格 2500円+税
幕末から明治期に活躍した哲学者・西周(にしあまね)が発明した数多くの学術用語なしには、我々は思考をめぐらすことすら難しい。「哲学の父」とも称される西周が我々に与え続けている学問上の恩恵は計り知れないのだが、その文章を読んだことがある現代人は多くはない。母国の偉大な哲学者の文章に触れることがないという、諸外国では珍しい現状がここにはある。
彼が著した古い文章は現代人には読解困難だし、『全集』は絶版となって久しいのだから、それもやむを得ないことであろう。
日本思想に関心を持つ一般読者に向けてリーズナブルなテキストを提供する必要があるのではないか? 西周が著した文章をできるだけ平易な現代日本語に翻訳して出版するという本書の試みは、そのような問題意識に基づいたものである。
著者(すがわら・ひかる)法学部教授。日本政治思想史。
専修人の本・寺尾教授著
ドイツ演劇クロニクル
発売日 2019.10.28
著 者 寺尾格著
発 行 彩流社
価 格 3000円+税
国際演劇協会(ITI)日本センターが毎年発行する『世界の演劇事情』。そのドイツ演劇部門を担当していた著者が、2001年から19年まで書き続けていた報告に、修正・加筆したものが第一部で、本書の約3分の2を占める。
ドイツ演劇は1960年代末の「演出家演劇」、90年代からの「ポストドラマ演劇」を受けて、21世紀にはさらに「パフォーマンス性」へと発展・深化した舞台で、世界の演劇シーンを牽引している。各年の話題の劇作家の新作や主要な演出家の舞台、演劇を取り巻く状況などを具体的に取り上げて、同時代性を保った報告になっている。
さらに日本でのドイツ演劇に関する舞台の劇評や書評などを第二部に収める。ちなみに今年のノーベル文学賞を受賞したペーター・ハントケの名前は14カ所、および8本の作品名を見つけることができる。
著者(てらお・いたる)経済学部教授。ドイツ語。
システム思考がモノ・コトづくりを変える
システム思考がモノ・コトづくりを変える
デジタルトランスフォーメーションを成功に導く思考法
発売日 2019.10.03
著 者 高橋裕共著
発 行 日経BP社
価 格 1800+税
デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するための「武器」を手に入れよう!
本書ではDXを推進し実現するために有効な思考法である「システム思考」を、ビジネスパーソンに向けて分かりやすく説明する。
多様化・複雑化する社会。それは「複数の要素が密接につながり合い、協働し合う=システム化する」社会だ。当然この中で立ちふさがる課題は、システムとして捉えなければ解決できない。
言い換えれば、社会において、モノ(製品)づくり・コト(サービスや体験)づくりに不可欠な顧客の要望の正しい理解や自社の強みやコア技術を俯瞰(ふかん)的に捉えて見える化し、シミュレーションでDXを成功に導くのだ。
戦略を司る経営層、モノづくり・コトづくりを支える現場のリーダー層はもちろん、DX時代に社会に飛び出す若いビジネスパーソンや大学生にも読んでもらいたい。
著者(たかはし・ゆたか)商学部教授。ビジネスと社会システムのコンピュータ・シミュレーション。共著者は稗方和夫東京大学大学院准教授。
犯人に告ぐ3 紅の影
犯人に告ぐ3 紅の影
発売日 2019.08.21
著 者 雫井脩介著(平3文)
発 行 双葉社
価 格 1800円+税
人気警察小説シリーズの第3弾。前作「犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼」で誘拐ビジネスを手掛けた知能犯「リップマン」が、神奈川県警特別捜査隊を率いる巻島史彦警視に新たな戦いを挑む。
警察小説に「劇場型捜査」という新機軸を打ち出した雫井脩介さん(平3文)は今回、ネットテレビを舞台にした。スマートフォンアプリのユーザーを巻き込み、巻島は「リップマン」の正体をあぶり出すとともに、彼の次の標的を探ろうとするが、その裏で思いもよらない事態が進行する。
カジノを主体としたIR(統合型リゾート)誘致に群がる政治家、警察官僚の思惑。ネットテレビを運営する新興IT企業の秘められた野望。捜査本部の人間模様...。これらが絡み合い、事件に投影される。登場人物の緻密な心理描写とあいまって、読者も劇場型捜査に参加しているような臨場感に引き込まれる。
「リップマン」も周囲の思惑に苦悩しており、現代社会の欲望と不条理に翻弄されている。初めて明かされる彼の生い立ち、日常生活も結末につながる重要なプロットになっている。
不登校だった私が売れっ子Webライターになれた仕事術
不登校だった私が売れっ子Webライターになれた仕事術
発売日 2019.07.04
著 者 山口恵理香著(平25法)
発 行  自由国民社
価 格  1400+税
月間300本以上の記事を書く人気Webライター、山口恵理香さん(平25法)の初めての著書。14歳の時、不登校になり、適応障害の診断を受ける。常に生きづらさを抱えながら大学に入学し、ライターとして成功するまでの道のりを書いている。
「群れない・こびない・ブレない」がモットーなだけに中高時代は、酸欠状態だった。大学で初めての学生生活。その核となったのが学生ボランティア団体SKV(専修神田ボランティア)での活動だった。
NPOに就職するが3カ月で退職、自分のペースで働ける仕事を見つけようとWebライターを目指す。一日も休まず必ず1本は記事を書く、書店通い、アイデアを出すメモ帳など、成功するための自分なりの仕事術が細かく紹介されている。
ありのままの自分を受け入れるように努めてきたからこそ、不登校で悩んでいる人に「自分なりの人間関係の作り方が見つけられるよ」とのメッセージが全編に流れている。
大学経営の構造と作用
大学経営の構造と作用
発売日 2019.07.31
著 者 小藤康夫著
発 行 専修大学出版局
価 格 2400円+税
今日の私立大学は、政府から大胆な介入を受けている。入学定員超過大学への補助金削減や、東京23区私立大学の定員増規制が例として挙げられる。 そのほかにも、大学改革の新たな取り組みを条件づけた大学授業料無償化も同様である。
こうした私立大学が抱える諸問題を理論的に整理すると同時に、将来の方向性を明らかにしたのが本書である。
ヒト・モノ・カネの有効活用が経営の基本原則である。大学経営に関わる諸問題も、これら経営資源の効率的な活用から解決の糸口が見いだされている。
私立大学を取り巻く経営環境は、年々厳しさを増している。その中で持続的な発展を遂げるには、絶えず経営内容に関心を払う必要があろう。
著者(こふじ・やすお)商学部教授。金融論、金融サービス。
古地圖は歴史の証言者 大東亜戦争と災害を語る
古地圖は歴史の証言者 大東亜戦争と災害を語る
発売日 2019.05.30
著 者 菊地正浩著(平成17法)
発 行 暁印書館
価 格 2000円+税
菊地正浩さん(平17法)は「地政学、地経学を知らずして平和を語るなかれ」と本書に記している。
本書では、地図から読む日本の戦争・歴史を明らかにしている。「大東亜戦争」(太平洋戦争)とはどのようなものであったのか―を、長年収集した所蔵の古地図や資料をもとに、自身の体験を交えてひもといている。
1943年から48年にかけて、犠牲者千人を超える大地震が5回も発生したが、戦災に埋れて記録や体験が十分に伝えられていない。それら災害の様子も紹介している。
菊地さんは、大手銀行を定年退職後、地図情報会社役員となり、法学の知識を深めようと夜間の専大で学んだ。現在は地図研究者、旅ジャーナリストとして活躍。東京の下町が焼夷弾によって一夜にして焼き尽くされた東京大空襲の体験者でもある。
あなたも明日は裁判員!?
あなたも明日は裁判員!?
発売日 2019.04.15
著 者 飯考行・裁判員ラウンジ編著
発 行 日本評論社
価 格 1700円+税
専修大学法社会学ゼミナールは、2014年末から、裁判員ラウンジという公開企画で、裁判員経験者の体験を聞き、語らってきた。そのやり取りが、裁判員裁判実施10年を機に書籍化された。
執筆者は、裁判員経験者、市民、裁判官、弁護士、法学者や記者など、さまざまである。なかでも裁判員経験者( 計18人)による記述は、日常生活を送る市民が、裁判員に選ばれて刑事裁判に参加し、有罪・無罪と量刑を決めるため、被告人や被害者のことを懸命に考えることで、犯罪が自身と無縁でないことに思いいたる経過を伝えている。
裁判員を務めたくないという市民はなお多い。敬遠には、裁判員制度が身近でなく、漠然とした不安感が広がっていることにも関わっている。本書は、当事者の声に耳を傾けて、裁判員裁判の実情と成果を知るきっかけになろう。
著者( いい・たかゆき)法学部教授。法社会学。
日本の金融システム
日本の金融システム
発売日 2019.04.05
著 者 小藤康夫著
発 行 創成社
価 格 1600円+税
銀行であれ保険会社であれ、ある程度の利益を確保しなければ経営はいずれ行き詰まってしまう。健全な経営を展開するうえでも利益の確保は経営の大前提である。
ところが、2013年4月に日銀の異次元緩和策が始まると、超低金利の運用環境から銀行も保険会社も十分な利益を確保するのが難しくなった。
そのため今日の金融機関は不安定な状態に追い詰められている。この状態がいつまでも続けば金融機関の経営破綻が起きる可能性が強まり、金融システムの不安定性が深刻な問題として浮上するであろう。
本書では銀行と保険会社に焦点を当てながら、長期にわたる低金利のもとでどのような経営行動をとっているかを探っている。
著者( こふじ・やすお)商学部教授。金融論、金融サービス。
甲子園で勝ち上がる全員力
甲子園で勝ち上がる全員力
発売日 2019.03.15
著 者 中村好治著(昭51商)
発 行 竹書房
価 格 1600円+税
著者は、2014年夏の甲子園で三重高を準優勝に導いた中村好治・前総監督(昭51商)。決勝では強豪大阪桐蔭高と熱戦を繰り広げ、3-4で惜敗した。回戦から決勝戦までの計6試合、ベンチ入りした18人のうち17人を試合に起用し話題になった。
本書で中村さんは、甲子園で準優勝の原動力となった「勝つための全員野球」とは何かを説く。普段の練習でも約100人の部員全員に同じ練習をさせ、練習試合に出る機会も平等にする。選手に「ベンチ入りしたいなら絶対に誰にも負けないなにか一つを持て」と諭す。公式戦でベンチに入れなかった部員も納得して声援を送る。こういった選手主体の全員野球がチーム全体の力を高めることになった。
「選手それぞれの良さを引き出すのが監督の役目。高校生たちに、野球を通じて一人の人間としてどうあるべきかを教えたい」と語る中村さんは、4月から愛知啓成高の監督に就任。新たな挑戦が始まった。
詩集 母守唄 母は焚き木です
詩集 母守唄 母は焚き木です
発売日 2019.03
著 者 国見修二著(昭53文)
発 行 玲風書房
価 格 1800円+税
国見修二さん(昭53文)が詩集『母守唄 母は焚たき木です』を上梓した。「母は山や ま め女です 春の渓流を泳ぐ春の使者です 宝石を散りばめながらー。」「母は麦わら帽子です かき氷の甘さを残し 海へと飛ばされる麦わら帽子です」「母は焚き木です 燃え尽きても埋火となって 子をあたため続ける執念の焚き木です」
母への思いを込めた250余りの三行詩は、国見さんの故郷・新潟県妙高地方の風物や季節観によって彩られている。
「子守唄が母親から子への絆の証であるように、子が母親へ捧げるのが母守唄。かけがえのない存在である自分の母親を言葉で表現してみたいと、数年前から書きためてきた。旅先でもペンを取っていた」と国見さん。「この中から、あなた自身の母を探してみて」と呼びかける。