専修大学国際コミュニケーション学部日本語学科

八田 直美 特任教授

授業について

— 先生の担当されている授業について教えてください。
私が担当している授業は、「日本語教授法A」と「日本語教育実習A」、そして、留学生を対象とした「応用日本語表現」と「応用日本語理解」です。
「日本語教授法A」は、外国語としての日本語教育の基礎を学ぶ科目です。「外国語としての日本語」というのは、どういうことでしょうか。人が生まれてから最初に身につけた言語を「母語」と呼びますが、母語を身につけた後で次に学んだり身につけたりする言語を「外国語」と言います。母語と外国語では、学び方・教え方が違います。そして、ひと言で外国語としての日本語教育と言っても、誰が、どこで、何のために日本語を学ぶかによってその教育は様々な形があります。この科目では、外国語としての日本語の多様な教え方・学び方の基礎となる一般的な知識やスキルを、教科書や教室活動などの分析を通して具体的に学びます。また、私たちが生きる社会と関連づけて、外国語としての日本語教育の意義や役割、教室の外での学びの支援についても考えていきます。

教科書の写真です。
「日本語教育実習A」では、日本語学や日本語教育に関する基礎的な知識を元に、日本国内で実習を行います。実習前に、実習を行うコースで使われている教科書やカリキュラムにそって授業や教材をデザインし、模擬授業を行って準備をします。実習では、現場の日本語教師からの指導や学習者からの反応だけでなく、学生同士の協力や実習後のふり返りの話し合いも大切な学ぶ機会になります。この科目では1年を通して、日本語を教え、日本語学習を支援するための実践的な力をつけることを目指します。
留学生のための日本語科目「応用日本語表現」、「応用日本語理解」では、日本語学習を通して大学での学びに必要なアカデミックスキルを身につけます。様々なテーマの映像や文章を理解したり、プレゼンテーションやディスカッションをしたりして、考える力や伝える力の育成を目指しています。

研究について

— 次に、先生のご研究について教えてください。

私はこれまで、海外の日本語教育と教師教育、そして教材開発に長く関わってきました。国際交流基金が行った調査によると、海外で教えている日本語教師の約8割が日本語を母語としないノンネイティブ教師だそうです。私は自分の経験からも日本語教育の発展には日本語ネイティブスピーカーの教師とノンネイティブ教師の協力・協働が欠かせないと考えています。そんな問題意識から、両者の相互理解のために、ノンネイティブ日本語教師が何を目指し、何を重視して日本語を教えているのかを探るビリーフ研究を行ってきました。研究からわかったことのひとつは、ノンネイティブの教師たちは、日本語に限らず学習者が広い意味で成長できるよう関わろうとしているということです。今後も研究の成果を生かして、ネイティブ教師と異なる強みや思いを持つノンネイティブ教師の成長や、ネイティブ教師との協働について考えていきたいと思っています。
授業中の写真です。


『海外の日本語教育の現状 2018年度日本語教育機関調査より』
本文 p.24「地域別日本語教師数・母語教師数の割合」
※ タップ・クリックで拡大します

メッセージ

— 受験生や在学生に向けて、メッセージをお願いできますか。
日本語教育の楽しさ、やりがいは、異なる言語と文化を持つ学習者に日々接し、刺激が受けられること、そしてその中で学習者だけでなく自分自身の成長も実感できることです。これからは、海外、日本国内を問わず、また日本語教師でなくても、同僚や隣人として、外国や異文化につながる人々と接する機会はますます増えていくでしょう。将来のキャリアとして日本語教師に関心を持っている人はもちろん、そうでない人も、ぜひ外国語としての日本語教育の世界をのぞいてみてください。
八田直美

八田はった 直美なおみ(特任教授)

1985年国立国語研究所日本語教育長期専門研修修了、1994年、テンプル大学大学院英語教育研究科修了(教育学修士)。国際交流基金日本語国際センター(埼玉県)や国際交流基金の海外センター(タイ、インドネシア)などで日本語教師教育や教材開発に関わる。そのほかに日本国内の日本語学校や大学でも日本語や日本語教育を教えた経験を持つ。

<リンク>

担当授業

トップに戻る