日本語教育
外国語としての日本語を教える「日本語教育学」
日本語を母語としない人に外国語としての日本語を教えることを、「日本語教育」といいます。そして、日本語の教育を専門的に研究する学問を、「日本語教育学」といいます。日本語教育学では、単に日本語の教え方を勉強するだけではなく、日本語教育にとって必要な学問的背景や知識など、理論と実践の両方を学ぶことになります。
外国語を学習するとは、「聞く、話す、読む、書く」という4つの技能を学習するということです。日本語教育の中でも、これらの4技能を学習者に教えます。日本語教師を目指す人は、この4技能を教えるための土台となる、基礎研究について勉強する必要があります。例えば、日本語の発音やアクセント、文字・表記、語彙、文法、といった内容について、言語学的な観点から専門的に学びます。
こうした基礎分野を勉強したうえで、さらに、どのような方法で学習者に日本語を教えるか、どのような教材を使用するか、どのように結果を評価するか、といった、教育・評価の方法について学びます。
日本語教師になるには
日本の中学校や高校には、「国語」という科目はありますが、「日本語」という科目はありません。「日本語」という科目名は、日本国内の場合、外国人が日本語を勉強する日本語学校や、大学における留学生向けの授業で教えられている科目の名前です。そのため、日本語教育の専門家となるためには、国語教育の教員免許を取得するための「教職科目」とは異なる勉強が必要になるのです。
現在のところ、日本には日本語教師のための国家資格(教育免許)がありません。その代わり、日本語教育能力検定試験 という試験が実施されており、その合否によって、日本語教育に必要な知識があるかどうかが判断されるケースが多いようです。
ここ数年、国内における定住外国人の数は増加し続けています(図1)。さらに、外国人への日本語教育の充実を促す「日本語教育推進法」が2019年に成立しました。新たな法律ができたことからも分かるように、世界的な国際化の流れの中、日本の国内外で、日本語教師に対するニーズが高まっていると言えます。
専大日語で日本語教育学を学ぶ
専大日語では、日本語教師を目指す学生のため、日本語教育学に関する授業を充実させています。
基礎分野について言えば、「日本語の音声・音韻」の授業で発音に関する勉強を、「日本語の文字・表記」の授業で文字に関する勉強を、「日本語の語彙・意味」の授業で語彙に関する勉強を、「日本語の文法」の授業で文法に関する勉強をする、といった具合です。
また、教育の方法論や評価法、教材研究については、「日本語教授法」「日本語教育実習」「日本語教材研究」「第二言語習得研究」といった授業を展開しています。特に「日本語教育実習」については、海外の大学で教育実習を実施しています。
このうち、「日本語教育実習B」の授業では、夏休みに2週間、アジア圏の大学(現在は韓国の湖南(ホナム)大学)において教育実習を実施しています。また、「日本語教育実習C」の授業では、2月から3月にかけての約7週間、北米(現在はカナダのカルガリー大学)において教育実習を行います。さらに、バンクーバー日本語学校などで授業体験を実施しています。
いずれの海外実習も、これまで毎年、国際交流基金および専修大学より助成金を受けており、通常よりも格安の費用で参加してきました。
また、在学中に、日本語学校でインターンとして働いている学生もいます。
さらに専大日語では、文化庁が示した日本語教育に必要な単位を取得した学生に対して、日本語教育に関する単位を修得したことを証明する修了証を卒業時に発行しています。
専大日語で、日本語教師への道を
日本語教育に関する学びは、「日本語」を客観的に観察しながら、「外国語」や「海外」に目を向けていくことにつながります。外国語としての日本語を研究したい、日本語教師として外国人に日本語を教えたいと思っているみなさん、日本語教育学を学びに、ぜひ専大日語へいらしてください。
<参考シラバス>
日本語教授法A-1 / 日本語教授法A-2 / 日本語教授法B-1 / 日本語教授法B-2 / 日本語教材研究1 / 日本語教材研究2 / 日本語教育実習A / 日本語教育実習B / 日本語教育実習C