専修大学国際コミュニケーション学部日本語学科

専大日語・コラム

専大日語の教員による、月替わりのコラムです。

2026年11月:日本国内での日本語教育実習―「日本語教育実習A」について―

大学で教職課程を履修している学生の皆さんは、4年生になると中学や高校へ実習に行って実際に教える「教育実習」を経験しますね。「外国語としての日本語教育」でも同じように教育実習があります。専大日語の「SiU日本語教員養成プログラム」では3つの実習科目があり、それぞれ日本国内、香港、カナダで教育実習を行っています。今回はそのうちの国内で行われる「日本語教育実習A」(以下「実習A」)をご紹介します。

「実習A」では、2026年現在、3つの日本語学校(東京都内2校、地方1校)の協力を得て教育実習を実施しています。夏休み中や後期期間中など、時期や期間、内容は学校によって異なり、定員はありますが、希望に応じて申し込むことができます。以下は、学生たちが実際に実習を行っているときの写真です。

「実習A」における実習は次のような目標で行われます。学習者の興味・関心や、卒業後日本で日本語を使って何をしたいのか(学習目的)を知り、それに合った授業デザインや授業実践につなげます。学習者がひとつの授業を受けて日本語で何ができるようになるのか(学習目標)を課題遂行、つまりCan-doの形で考えます。「日本語の知識を増やす」だけはなく、「教室の外で生きる学習者にとって必要な活動が日本語でできるようになる」授業を考え、実現します。

国内では学習者の母語の多様性から日本語だけで授業をする直接法が主に使われています。直接法では、学習者の日本語力に合わせた「ティーチャートーク(教育的な日本語のコントロール)」が重要になります。さらに、学習しやすい環境を作るために「ラポール(信頼関係)」形成にも配慮します。その中には、声の大きさや明瞭さ、速度などに加え、学習者の名前を覚えること、1人ひとりとアイコンタクトをとることも含まれています。実習に出かけた学生は、現場の先生方が多様な学習者の生活や興味のある話題から発話をうまく引き出し、そのクラスのレベルに合わせた学習目標に関連付けながら日本語を教える様子に感動を覚えるようです。

また、学生は、日本語学校で実習を行うことで日本語教師という専門職を知ることもできます。先生方の様子から、授業をしながら自身も常に学び続け、学習者に対しては自律性や協働的な態度など日本語以外の面での成長にも配慮する姿勢に接し、学生たちは大きな刺激を受けています。なかなか知ることができない日本語教師の就職活動やワークライフバランス、待遇などについても、当事者ならではの話を聞くことができます。

2024年度から「登録日本語教員制度」が始まり、日本語教師の国家資格ができました。文部科学省が認める認定日本語教育機関で教えるためには、登録日本語教員の国家資格が必要です。そして、この資格を取るためには、日本語教員試験に合格し、実践研修(教育実習)を行わなければなりません。これからの日本語教師には、日本語や日本語教育の知識だけでなく、授業デザインや学習者に対して効果的に教えることができる技能、そして学習者と社会のつながりを考える態度も求められるようになってきました。国内外での教育実習科目も充実している専大日語のSiU日本語教員養成プログラム修了生の中には、すでに4年次に日本語教員試験に合格して登録日本語教員の資格を取り、卒業後、日本語学校で活躍している先輩もいます。

(八田直美)


<参照URL>
  1. 「専大日語コラム」2023年7月:アフターコロナの日本語教育実習(日本語教育実習C) [link]
  2. 「専大日語コラム」2026年10月:香港での日本語教育実習について(日本語教育実習B) [link]
  3. 文部科学省・日本語教育note「日本語教師の学び直し・復帰促進アップデート研修事業」 [link]
  4. 文部科学省・日本語教育note「「日本語教員試験」ってどんな試験?」 [link]
  5. 文部科学省・日本語教育note「【2026年最新】日本語教育はどう変わる?」 [link]

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