2009/03/14編集
  船木ゼミ                4
動物になること・女性になること・知覚しえぬものになること

 ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『千のプラトー』(河出書房新社)から「 第10章 動物になること」を読んでいます。バンパイアなど、ひとが動物になる話に興味ひかれるのは、ファンタジーというより、もっと根深い人間存在のあり方に関わっているからではないか、という観点から、ドゥルーズとガタリは、ベルクソニスムやスピノザ主義を援用しながら、現代の科学的世界観、人間観の盲点を抉りだしていきます。
 何せ現代の常識を乗りこえようという主題ですし、解説書も出ていませんからみんな手探りですが、ゼミの進め方としては、各自興味を覚える節を選んで内容について発表してもらいます。他の参加者が同じ箇所を読んできて、疑問や意見をいい、それに発表者が答えたうえで,全員で主題になっていることがらについて、「情動とは何か」、「地図とは何か」など、テキストから離れ気味に、一般的な哲学的問題について議論をします。
 テキストには文学や数学などさまざまな文献が引用してありますし,哲学用語や自然科学用語も多いので,発表者はただテキストを読んでまとめておくだけではなく,あらかじめ関連文献を探したり,辞書辞典類を調べたりすることが必要になります。自分が担当でない場合でも,陳腐なのではないかと怖れたりせず,質問したり意見を述べたりするよう努めてください。
 卒業論文指導は、4月から9月まで毎月1回行い、その後は個別に最後までつきあいます。課題は強制しませんが、「いまの自分が何を考えたいか、そのために何ができるか」と話しあい、やることを微調整しながら少しずつ積み上げていって、最後に論文として完成したときの喜びを味わってほしいと思います。分野はフランス哲学以外でもOKです。




 本ゼミでは、参加している学生の興味次第で話はあちらこちらに飛んでいきます。家族とは、魔術とは、波とは、時間とは、テンポとは・・・私たちの身近なテーマから、哲学の分野に留まらず、科学・精神分析・文学・SF・音楽・映画・東洋思想・心理・神話・生命・メディアなど、様々な分野に触れていきます。逆にいえば、参加している学生のどんな関心でも、ドゥルーズ哲学を読むことのなかで、ひとつの光を帯びることができるのです。
 現代哲学の最前線というだけあって、テキストは一筋縄ではいきません。それならば「ここがわからない」というところから、みんなが今持っている知識、何とか新たな知識を獲得しようとする姿勢をたよりに徹底的に考えぬいてみる。そしてある瞬間にちらっと光がさしてきて、違う世界が見え隠れする。私たちのゼミはこんなゼミです。ミルプラトーに立ち向かいながら、共に現代を乗り越えていきませんか?








山中湖合宿(8/3-5)で花火をするゼミ生


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