& 不思議なことに驚く
私たちは〈選ぶ〉ことをよく迫られます。学校の試験では正しい答えを選び、卒業が近づくと就職か進学かを選び、ガイドブックなどを見て自分のやりたいことを選ぶ、というように。でも、そのようにあらかじめ誰かが用意したものの中から何かを〈選ぶ〉ことが〈生きる〉ことでしょうか。その繰り返しに不安や不満を感じ、〈そもそも〉自分とは何なのかと不思議に思ったことはないでしょうか。
何かに疑問を感じ、不思議の感覚に打たれること(驚くこと)、それが哲学人間学の始まりです。〈そもそも〉自分とは、人間とは、社会とは、人間関係とは、ことばとは、文化とは何か。不思議に打たれてほかならぬ自分自身の心が動き、そこから〈そもそも〉を問う思考が動き始める。心が感き、思考が動く。それが哲学人間学です。
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