専修大学国際コミュニケーション学部日本語学科

専大日語・コラム

専大日語の教員による、月替わりのコラムです。

2021年12月:オンラインの波を乗りこなせ!!

まさかの2年目

2021年ももうすぐ終わる12月。今年度は、まさかのコロナ禍2年目対応の年になってしまいました。授業もオンラインで始まり、対面の場合は「コロナ定員」なるものができ、今までにないクラスコードによる教室授業となりました。サークルもなく、会議もオンライン。

1年目は初めて尽くしだったので、教員や院生が参加する学会なども「コロナ感染防止のため中止」が続きましたが、昨年度後半からはオンライン対応という新しいスタイルができ、今年度は、懇親会もオンラインでおこなうなど、「やればできる」精神で、これまでにないスタイルが次々と登場しました。

コロナ感染防止で実施できなかったものと、まさかの新しい発見とを、ここで振り返ってみたいと思います。

残念だったこと

「海外実習」系の日本語教育実習授業

日本語学科では昨年度に続き、今年度も「教育実習B」(韓国)、「教育実習C」(カナダ)が実施できませんでした。もっとも、「教育実習B」は、今年度は韓国の大学とオンラインでつなぎ、韓国の大学のオンライン授業に参加し、見学と教壇実習をおこなうという、今年ならではのスタイルで実施することができました。「日本語教育実習C」は、対応ができないということで、本学の学生にはたいへん残念なことに中止となってしまいました。韓国での実習が成功したのは、先方の授業もオンラインで実施されていたということと、時差がない地域だったという状況も味方しました。参加した学生たちからは、「準備は大変だったけど、やりがいがあった!」という感想を聞くことができました。よかった・・・!!

「国内実習」系の日本語教育実習授業

昨年は、従来、協力をいただいていた日本語教育機関すべて、学習者未入国という状況で、まったく実施することができませんでした。そこで、本学の留学生が履修している外国語としての日本語科目のクラスでの実習となり、それはそれで「とても充実していた」と参加学生が話してくれました。各クラスを担当している日本語の先生方にも多大なご協力をしていただきました。今年度も引き続き学習者の入国がなく、予定通りの教壇実習とはならなかったところが残念でしたが、別の形で日本語学校に協力していただき、なんとか終えることができました。来年も、この状況が続くのか、解消されるのか、今は先が見えない状況です。

各ゼミの活動、合宿等

多くのゼミで、4年生の卒論作成のため、これまでいろいろな工夫をして定時外指導をしてきましたが、年度初めは対面授業もままならず、夏の合宿もおこなうことができませんでした。それでも、4年生はがんばり、海外にいる留学生も含めて、提出予定だった学生たちは卒論を提出!就活や大学院進学準備なども、今年は落ち着いてこなすことができ、頼もしい4年生でした!!!

新しい発見

場所と時間を選ばない

残念なこともありましたが、コロナ2年目に入ると、オンラインって便利!と気づく場面も多々ありました。例えば、勉強会。毎年、夏休み前に日本語教育能力検定試験のための勉強会をするのですが、これまでは、曜日や時間がなかなか決まらないし、夜になると困るし・・・という状態だったのですが、今年はもちろん、オンラインで。時間さえ合わせれば、夜でも休日でも大丈夫。そして、生田の学生も神田の学生もいっしょに集まれるという利便性を実感しました。

国境も越えて

そして、オンラインが最も本領を発揮したのが、海外とのやり取りでしょう。授業のゲストとして、この2年間、カナダ、香港、マカオ、シンガポールなどから先生に来ていただいたり、逆に、カナダやシンガポールの大学のオンライン授業に、クラスビジターとして、専修大学の学生を呼んでいただいたりと、普段ではできない離れ技をすることもできました。日語のみなさんは、丸山先生のお計らいで、クロアチアのプーラ大学の学生と、共同研究グループも組んでいますね。ちょっと前までは、なかなか実現できなかったようなことです。

年明けには、シンガポール国立大学からも、日本語を学ぶ学生たちのクラスに、クラスビジターとして参加してほしいというお誘いをいただいています。In Campus で案内を出しますので、ぜひぜひ、参加してください。可能性は広がりますね。

講座やシンポジウムも

これまで当たり前でしたが、学内の教室で実施した講座なども、昨年、2020年は手探り状態ながら、オンラインで開きました。例えば、「大学院公開講座」や「日本語教育のためのキャリアガイダンス」。これまで、「大学院公開講座」は、夜、神田校舎で行ってきましたが、台風にぶつかると参加者が激減したこともあり、申込者は多かったけれども、実際の参加者が少ないという状況が少なくありませんでした。ところが、今年度の「大学院講座」をオンラインで実施したところ、これまでとは異なる属性の異なる方々が参加してくださり、北海道から沖縄まで、多くの方が参加してくださいました。また、海外からも参加してくださり、時差もある中、多くのみなさんが聞いてくれたのです。「日本語教育のためのキャリアガイダンス」も同様でした。そこで、2021年には、最初からオンラインによる実施を計画し、海外からも講師をお呼びすることもでき、オンラインって便利!をあらためて実感しました。

学生たちの研究発表としては、今年、初めて「専大日語の夏フェス!」をオンラインで実施し、生田、神田双方の学生が集うことができましたね。(2021年9月「開催報告「専大日語の夏フェス 2021」参照)

そして、今後

オンラインの位置づけ「ブレンデッド教育」

来年度以降はコロナ禍の状況によっても、柔軟な対応が必要でしょう。しかし、オンラインの便利な点を、今回、実感することができたので、コロナ後もよい点は活かしていくことになるでしょう。

日本語教育の分野に関しては、すでに国際交流基金の海外派遣の募集要項の中に、オンライン事業の設定・参加等が可能なことという条件も明示されていますし、他の教育機関でも「ブレンデッド教育」に対応できることということも応募資格の中に掲げられています。これからの教授法には、オンラインでの教育も取り入れていかなければなりませんね。

ブレンデッド教育とは、「対面とオンラインを組み合わせて教育をおこなうこと」です。実は、アメリカなどでは以前からこれが実施されていて、zoom などのプラットフォームを取り入れ、遠隔地から講師をオンラインに招待したり、フリップ(反転授業)という方式を取り入れたりして、クラス運営をしていました。ですから、コロナ禍で対面からオンラインに切り替えるとき、その方法論をすでに持っていたということになります。

授業を提供する大学側も、それを受ける学生、そして、将来、教員を目指す学生も、今までにないスタイルの教育に対応する力を付け、その波を乗りこなしましょう!

王伸子


<参考文献・参照サイト>
  1. 藤本かおる(2017)「学習者から見た反転授業実践―アカデミックライティングの実践から―」『グローバルスタディーズ』1, 77-84. 武蔵野大学
  2. 藤本かおる(2018)「定義からみる日本におけるブレンデッドラーニングの概要」『グローバルスタディーズ』2, 127-137. 武蔵野大学
  3. 藤本かおる(2019)『教室へのICT活用入門』国書刊行会
  4. Teaching & Classroom Resources (AATJ:全米日本語教育学会)[link]

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