2014.7.25 嶋根教授ゼミナール OBによるキャリアデザイン講演

 
「キャリアデザインとは――周りを見ることからはじまる」

低価格衣料チェーン「ユニクロ」、「ジーユー(GU)」などを展開するファーストリテイリングの山田淳氏が、7月25日、嶋根ゼミで「就業機会とキャリア」をテーマに講演した。山田氏は、2001年に専修大学文学部人文学科社会学専攻を卒業し、また、嶋根ゼミのOBという縁もあり、今回の講演が実現した。
講演の中で、山田氏は、後輩へ「今しかできないこと、人生で大事なこと」を判断し、決断するキャリアデザインについて語った。
ファーストリテイリングは、現在、日本国内の衣料品販売ランキングでトップを走っている。主力事業のユニクロは、1984年の1号店から始まった。2014年現在において、国内で約850店舗、山田氏も関わったイギリス、ロンドン店をはじめ、中国、アメリカ、フランス、インドネシアなど、国外でも約650店舗まで拡大している。
同社の強みは、低価格で高品質な商品と、徹底的な研修に裏打ちされたサービスにある。
サービスを支えているのは、国際ビジネスでの成功、高収入のキャリアデザインを持った多様な人材だ。
講演で山田氏は、キャリアデザインのイメージから切り出した。「キャリア」と聞いて思いつく言葉」という氏の問いに、ゼミ生からは「役職」、「人生」、といった言葉が並んだ。
しかし、キャリアを描くとは何だろうか。そもそも、自分は何者なのか。こうした自己分析について、山田氏は、自身の体験を元に「はじめから自分を知ろうとせず、周りを見て、自分を知ること」と語った。
大学卒業を控え、就職活動を始めた頃の山田氏は、就職に関心がなかった。
転機は、なんとなく出た企業説明会で漠然とした恐怖を感じたことだ。そして、逃避先のニュージーランドで1年間、周りと話していく中で自分を知っていった。
帰国後、ファーストリテイリングで働こうとした理由は、若くても実力さえあれば高収入が見込めたからだ。
しかし、入社後の新人研修、23カ条の長い社訓を一日で暗記する同期達の存在が、山田氏の意識を変えた。初めから無理と考えず、絶対にできると自分を信じ、やりきる姿勢を学んだのだ。
その後の山田氏は、死に物狂いで働こうと決意し、最短で店長に昇格した。周りと同じような努力ではなく、一つずつ課題解決に向けて努力を集中していたことが、自身の能力を高めていたのである。
そして現在、山田氏は新たに1日15分の読書に取り組んでいる。同社の代表取締役会長兼社長である柳井正氏とのやりとりで、同社の海外CEOになる夢を語り、柳井氏に読書を薦められたからだ。柳井氏は、経営だけでなく読書家としても有名で、だからこそ、経営者を目指す山田氏にも読書を薦めたのであろう。
過去の体験も、たった15分にも思える読書も、夢への布石。
最後に、山田氏は、「今しかできないこと、人生で大事なこと」を後輩たちに問いかけた。
講演を聞いた後輩たちが、何を決断し、経験していくのか、先輩からの宿題だ。
(嶋根ゼミ4年生 齋藤和輝 記)