社会学は、ありとあらゆる社会現象を対象とする魅力的な学問です。専修大学では、文学部での40年あまりの社会学教育の伝統を継承して、2010年度から人間科学部社会学科が設置されました。社会調査実習室、社会学科パソコン室、統合情報資料室をはじめとする教育研究施設も拡充され、約560名の学生が16名の専任教員とともに学んでいます。日本の大学の中でも屈指の規模と質を誇ります。

社会学とは

 高校と大学の違いの一つは、大学にはたくさんの聞き慣れない専門分野がある、ということです。「社会学」も、受験生のみなさんにとってはなじみのない名前かもしれません。ここでは、社会学科の紹介をかねて、社会学という学問についてかんたんに紹介します。

 社会学は、小中学校での「社会科」や高校での「地理歴史科」や「公民科」とは違います。世界史、日本史、地理、現代社会、政治経済、倫理などの科目と関係はありますが、同じものではありません。最大の違いは、 社会学は社会で起きているできごとや事実を「知る」のではなく、それらのできごとを「分析」して「説明」する学問分野だということです。だれもが知っている事実でも、よくよくその原因や結果を考えてみるとわからないことがよくあります。

 たとえば日本で少子高齢化が進んでいることは、皆さんもご存じでしょう。しかし、なぜ今少子高齢化が進んでいるのでしょう?また、少子高齢化に対処するためには、どのような政策が必要なのでしょうか?あるいは皆さんが日々取り組んでいる勉強について考えてみましょう。なぜ皆さんは勉強するのでしょうか?進学するため?なぜ皆さんは進学したいのでしょうか?

 当たり前だと思っていることでも、考えてみるとわからないことがたくさんあります。その「わからないこと」を「わかろうとする活動」、これが社会学です。 日常生活で皆さんが抱くさまざまな疑問や、高校までの授業の内容は、社会学の前提、基礎として大切なものです。大学で社会学を学ぶとは、その基礎を出発点として、社会にたいする豊かな知見を獲得することです。社会ということばは抽象的に聞こえるかもしれませんが、皆さんが毎日経験している世の中というもの、それが社会です。家庭も学校も、それから地球全体も含めて、ありとあらゆる世の中を、社会学は研究の対象にします。

 たとえば上で例に挙げた少子高齢化は、人口学という分野で研究されていますし、勉強や進学については教育社会学や社会階層論という分野で研究されています。そのほかにも、福祉、都市、文化、家族、労働、地域社会、メディアなど、数えきれないほどたくさんのテーマが社会学の対象になります。 人は生まれたときから社会の中で育ちます。人が自分の生活についていろいろなことを考えるとき、その人はどうじに自分が生きている世の中についても考えています。だれもがやっているそのような思考を、より厳密に進めて、世の中にかんする発見を積み重ねる、それが社会学という学問です。

「社会調査士」について

 2004年から、「社会調査士」資格が制度化されました。この資格は一般社団法人社会調査協会が認定するもので、社会調査の能力を証明する資格として近年注目されています。

 社会学科ではほとんどの教員が「専門社会調査士」資格(社会調査士よりも高度な資格)を保持しており、社会調査士資格を取得するためのカリキュラムが整備されています。2017年度は57名の学生が社会調査士(キャンディデイト)資格の認定を受けました。

 変動の激しい複雑な現代社会の実態を正確に把握し、社会問題を解決する上で不可欠の社会調査。その担い手となる専門家が社会調査士です。住民意識や市場動向といったさまざまな傾向や動きを確かめる社会調査の専門知識は、官公庁や企業の企画・調査・広報部門など、各種組織への就職に役立つに違いありません。社会調査士資格にあなたもぜひ!チャレンジしてみてください。

 icon 一般社団法人 社会調査協会

進路

 社会学科の卒業生は、公務員、教員、一般企業など多様な分野で活躍しています。例年、卒業生はマスコミ、金融、情報通信、流通など幅広い職種に就職しています。

 また、大学院や専門学校へ進学したり、留学したりして、専門知識にさらに磨きをかける学生も多くいます。