科学研究費助成事業_2017年度

基盤研究(B)

氏名・職名土屋昌明 経済学部教授
研究課題名中国道教における聖地と巡礼に関する総合的調査と研究
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中国には数多くの洞窟が存在し、人間の力を超えた特殊な「場」として崇敬されてきた。洞窟の中には神が住んでいる。洞窟は「名山」にあり、そこで祈りや修行をした。また、洞窟どうしがつながっているとか、地下世界があるとか、が語られるようになる。本研究は、こうした洞窟に関わる話がどう発生し発展したか、なぜその場所が重要な洞窟とされたか、などを文献研究と現地調査で解明し、それによって中国の宗教・思想・文学の特徴を考える。
氏名・職名伊藤武 法学部教授
研究課題名現代の代表制デモクラシー改革とプライマリーの意義に関する総合的比較研究
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近年の代表制民主主義では、政治家と市民の間の距離の拡がりが問題となり、ポピュリズム勢力が既成政治批判を唱えて躍進しています。欧米諸国ではこの問題への対応として、選挙の候補者の事前選定としての予備選挙(プライマリー)を導入する例が増えています。本研究では、先進各国の実態調査による現状把握に加えて、代表制そのものへの影響(候補者の性質、政党組織への影響、政党制への影響)などを考察していきます。
氏名・職名渡辺達朗 商学部教授
研究課題名人口減少・都市縮小時代の都市中心部の老朽化商業施設等の再利用・再開発に関する研究
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近年、人口減少・少子高齢化・都市縮小が急速に進展しています。そうした中で、都市中心部に1950〜60年度に建設された共同店舗、アーケードを始めとする商業施設等が多数存在しており、それらの再利用・再開発をどのように進めるかが、まちづくりや商店街活性化にとって重要な課題となっています。この研究では、老朽化した商業施設の実態について調査するとともに、その再利用・再開発の方向について検討することを目的としています。
氏名・職名新田晴彦 商学部兼任講師
研究課題名航空管制の安全を脅かす母語話者の発音の乱れと対策の研究
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世界では一日に数十万機の飛行機が空を飛んでいます。これだけの数の飛行機が一機もぶつからないのはなぜでしょうか? 世界の空は航空管制と呼ばれる方法で交通整理が行われています。この交通整理は英語で行われるのが基本で、英語を母国語としない国でも英語が用いられます。航空管制の共通語は英語ですが、これが正確に聞き取れないと非常に危険です。私は、この航空管制の英語をいかに正確に聞き取るかの研究を行っています。
氏名・職名高岡貞夫 文学部教授
研究課題名高山池沼を核とする生物多様性の形成とジオダイバーシティ
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高山地域に点在する池を利用する動植物の多様性をテーマとしています。雨水や雪解け水を集めた小さな池であっても、川や湖のない高山地域では生物にとって重要な場所であると考えられます。池を中心に発達した生物多様性の特徴を、池と池の間のつながりにも着目しながら種レベルおよび遺伝子レベルで明らかにします。それとともに、そのような多様性が生み出される背景となる池の形成条件について、高山特有の気候条件や山の地形の成り立ちとの関係を明らかにします。
氏名・職名山本充 文学部教授
研究課題名ヨーロッパにおけるモビリティの増大に伴う農村人口変動と新たなルーラリティの創出
氏名・職名相澤勝治 文学部准教授
研究課題名メカニカルストレスを介した筋局所アンドロゲンの筋萎縮予防メカニズムの解明
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加齢や不活動によって筋力低下や筋肉量が減少する加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)は転倒リスクや身体活動量の低下と密接に関連することが知られている。本研究では、サルコペニアを予防するために筋肉から産生されるアンドロゲンに着目し、身体運動に対する応答性や筋萎縮予防の機序について明らかにすることを目的としている。
氏名・職名丸山岳彦 文学部准教授
研究課題名「昭和話し言葉コーパス」の構築による話し言葉の経年変化に関する実証的研究
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本研究では、昭和時代の録音資料を集めて「昭和話し言葉コーパス」として整備し、一般公開することを目的とする。主に昭和30年代の録音資料(講演、雑談)を収集・整理し、研究用の情報を付与して、50時間分のコーパス(言葉のデータベース)を構築する。また、現代語の話し言葉コーパスとの比較・対照を通して、音韻・語彙・文法・文体・発話行為などの観点から、話し言葉がどのように変化してきたか、その実態を明らかにする。
氏名・職名望月俊男 ネットワーク情報学部准教授
研究課題名協調的議論の実現にむけた21世紀型スキルとしての認識主体性を育む学習環境の開発
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本研究では、協調学習における議論において、一人ひとりの学習者が効果的・能動的に議論を通した知識創造に携わることのできる「認識主体性」を育む学習環境を開発する。消極的な学習者も積極的な学習者も一緒になって議論に参加する上で必要なスキルを習得できるようにする。具体的には、消極的な学習者が前向きに議論に関わる経験をするためにタンジブル人形劇システムを用いて、消極的な学習者も積極的な学習者も互いに議論への関わり方を観察して振り返るためのシステムと、またそれを運用するための教育プログラムを開発する。

基盤研究(C)

氏名・職名飯田義明 経済学部教授
研究課題名プロサッカー選手を目指す中学生のキャリア形成プロセスに関する研究
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これまで、学外でのスポーツ活動と学歴形成の間で揺れ動く子どもたちの進路選択の現状はあまり顧みられることはありませんでした。だたし、子どもたちの側からの研究は少ないながらも存在しています。その一方で、保護者側からの研究は全くされていません。そこで、この研究ではプロ選手を目指す中学生を抱える保護者を対象として、保護者からの聞き取り調査から、子どもたちの進路選択の過程と課題を明らかにしていくことを目指しています。
氏名・職名泉留維 経済学部教授
研究課題名オープン・アクセス化による新たなコモンズの創造
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他人の土地を所有者の了解無しに歩いても良いのでしょうか。とても景色が良く、魅力的な道があっても、日本では、国や市などが所有していない土地、私有地を勝手に歩くのはダメだと誰しも考えてしまいます。でも、これは万国共通の認識ではありません。たとえば、ヨーロッパの国の中には、たとえ私有地であっても自由に散歩などをすることができます。森林などの自然環境を守ろうとするときに、誰も立ち入れさせない聖域にして守ろうという考え方がありますが、逆に一定の条件下で自由に立ち入ってもらことで自然環境を守ろうという考えもあります。この後者の考え方を実行するためにはどのような条件が必要なのかを、現地調査を行いながら研究を進めています。
氏名・職名伊藤恵子 経済学部教授
研究課題名企業内の事業構造変化と国際競争への対応に関する実証分析
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今、多くの日本企業が外国の企業と競争しながら、国際的にビジネスを展開しています。海外での生産や外国企業との取引が拡大する中で、企業の内部組織を国際化に合わせて変化させたり、国内の企業との取引関係を見直したりしながら、企業は成長しています。本研究では、どのように企業が国際化に対応して変化しているのか、また、それが他の企業や日本経済全体にどのような影響をあたえているのかを明らかにします。
氏名・職名大橋英夫 経済学部教授
研究課題名産業集積の広域化に関する日中比較研究―京浜地域と長江デルタ地域の事例
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産業集積は人材・情報の蓄積、取引費用の節減、規模の経済などにより、効率的な生産活動を可能にする。京浜地域の産業集積は日本の高度成長に大きく寄与したが、その後は人件費や地価の高騰などにより、また交通インフラの改善に伴って、北関東、上信越、東北へと広域化した。本研究では、中国・上海を中心とする長江デルタ地域で同様の動きがみられることに着目して、産業集積の広域化に関する日中比較を試みている。
氏名・職名小林昭裕 経済学部教授
研究課題名リスク・コミュニケーションを通じたコンセンサス形成と情報共有化による山岳事故軽減
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過去20年近くにはわたり、山岳事故軽減に向け、普及啓発活動をはじめ事故防止対策を展開しているが、遭難件数増加に歯止めがかかっていない。本研究は,利用者と警察をはじめとした遭難対策組織、環境省や地域行政機関を含めた関係者間のリスク・コミュニケーションの視点から、山岳遭難実態や事故軽減策に対するコンセンサスの形成および諸施策の効果の検証と情報の共有化を通じて、山岳事故軽減策の改善を図ることを目的とする。
氏名・職名中西泰夫 経済学部教授
研究課題名規制とイノベーション(R&D、パテント)の競争と経済成長に関する実証的分析
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この研究は、政府による規制が企業、市場にどのような影響を与えているかを実証的に検証することが目的である。政府の市場に対する規制を数量的に指標化して、特に規制が中心に行われている非製造業の市場と企業についてを分析対象として、個々の企業の個票データを収集して、最新の計量経済学の手法を用いて行われる。企業の生産構造、市場への参入・退出、イノベーション、企業成長に関して規制の効果を実証的にテストする。
氏名・職名長尾謙吉 経済学部教授
研究課題名産業集積の多層性と都市の革新性
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経済活動の「縮小」が議論されはじめた日本において、他の先進諸国と同様に、革新(イノベーション)を生み出す場所として大都市に関心が高まっている。本研究は、産業の集積が多層的であることが大都市の革新的活動を理解する一つの鍵であるという問題設定のもと、通常考えられている物理的距離だけでなく、組織的距離や文化的距離など認知的距離についても検討し、分野横断的な革新を可能とする都市の知的探求を進めている。
氏名・職名野口旭 経済学部教授
研究課題名経済危機におけるマクロ経済政策の理論と思想
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本研究の課題は、リーマン・ショック以降の各国のマクロ経済政策の背後にある理論と思想を解明し、今後のマクロ経済政策の教訓を引き出すことにある。危機以降、各国の政策当局は、量的緩和やマイナス金利政策などの非伝統的金融政策を行ってきた。また、ヘリコプター・マネー政策などの金融財政統合政策も論議されてきた。しかし、その意義や効果については専門家の間でも見解が対立する。さらに、それらの政策からの出口をどう想定すべきかも見解が分かれる。本研究では、こうした競合する政策的な立場を、政策生成プログラムという概念を用いて整理し、経済政策のあるべき方向性を展望する。
氏名・職名松井暁 経済学部教授
研究課題名グローバル・イシューの規範理論にむけて
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世界が国境を超えて緊密に結びつくようになるグローバル化は、経済にとどまらず、戦争、貧困と格差、地球環境、生命倫理、食料と健康、教育、企業倫理に関する地球次元での問題を浮上させました。社会のあるべき姿を提示する規範理論は、これまで個別の領域ごとに研究されてきたためにグローバル化に十分対応できませんでした。本研究の目的は、個別の規範理論を総合するグローバル・イシューの規範理論に大まかな枠組みを提供することにあります。
氏名・職名金榮愨 経済学部准教授
研究課題名企業間ネットワークとイノベーション、生産性に関する実証研究
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企業は様々な形で他の企業と繋がっている。最も基本的な取引関係による繋がりから、株式の所有によって形成される資本関係、生産技術を通じた繋がり、地域的な近接生による繋がりもある。企業間ネットワークと呼ばれるこの繋がりは企業の成長、利益、雇用、イノベーションなど、様々なパフォーマンスに影響を与え、経済全体の成長にも繋がる。本研究は、このような企業間のネットワークがどのような要因で形成され、今どのような形になっているか、また、企業および経済のパフォーマンスにどれほど影響を与えるかを分析する。
氏名・職名徐一睿 経済学部准教授
研究課題名「一帯一路」における中国国内の地域経済への影響に関する実証研究
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「一帯一路」の推進は中国国内外における新しい都市拠点の構築及びそれをつなぐ道路、鉄道、港湾、空港を建設することで、新しい社会資本の投資が生まれることが期待されている。本研究は「一帯一路」における中国国内の地域発展戦略として捉え、中国国内における地域振興戦略、都市化の進展、国境間物流ルートの確保を対象に、中央政府及び地方政府、さらに民間アクターがこうした「一帯一路」政策の下でどういった行動が取られるか、そしてその財源はいかに確保されているかを検証する。
氏名・職名飯考行 法学部教授
研究課題名災害対応型コミュニティ・リーガル・サービスの国際比較研究
氏名・職名伊藤武 法学部教授
研究課題名南欧クライエンテリズムの再浮上:ポスト新制度論アプローチによる比較分析
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イタリアなど南欧諸国は、北西欧のヨーロッパと異なり、政治有力者の派閥などを介した利益誘導(政治的クライエンテリズム)によって社会と国家が結びつけられているのが特徴だと言われてきました。グローバル化やEU統合が進展する現在、民主主義の理論の予測と異なり、利益誘導政治の再浮上が起きています。本研究では、選挙制度や政治制度との関連に注目しながら、この矛盾する変化を理解していきます。
氏名・職名菅原光 法学部教授
研究課題名新しい明六社研究―私塾・結社における伝統と近代
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日本で初めて結成された学術団体だと言われている「明六社」についての研究です。明六社は、演説会を実施したり、雑誌を発行するといった活動を通じ、国民に最新の知識、知見を紹介しました。その具体的な活動内容を明らかにすると共に、その意義を考察しています。とりわけ、明六社に関わった人々が、江戸時代以来の学問成果をどのように引き受けつつ、西洋学術をどれほど深く学んでいたのか、それらをどように消化して自らの主張を形成したのかという点に注目しています。
氏名・職名田上麻衣子 法学部教授
研究課題名伝統知の多面性に即した保護手法の総合的研究
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ある民族や地域で代々伝承されてきた知識をヒントに新しい製品が開発されたり、伝統的な文様が新たなデザインに繋がったりするように、伝統知(伝統的知識)は様々な創造・創作活動に影響を与えています。しかし、伝統知自体は原則として現行の知的財産制度の保護対象ではないため、現在、その保護の必要性や保護の手法について国際的な議論が行われています。こうした動きを受けて、本研究では伝統知の望ましい保護のあり方について検討します。
氏名・職名根岸徹郎 法学部教授
研究課題名フランスの対外文化政策の一環としてのクローデルの駐日大使赴任に関する調査と研究
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1921年から1927年まで駐日フランス大使を務めた詩人・劇作家ポール・クローデルの日本における外交・文学活動に注目し、第一次世界大戦という大きな節目のあとの世界の再編成という状況と、メディアが飛躍的に発達した1920年代に、クローデルが担った外交上の役割を検証することで、20世紀に入って大きく転換・発展したフランスの対外文化外交の方向性と戦略を明らかにします。この研究は当時の世界・社会情勢の中での文化外交に光をあてつつ、歴史研究・文学研究・外交研究の領域を横断するものです。また、インターネットなどのメディアが急速に発達する今日の状況を検証する上で、示唆をあたえるものです。
氏名・職名渡邊一弘 法学部教授
研究課題名少年司法における調査・鑑別と処遇との連携状況についての分析
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本研究は、非行少年による再犯・再非行予防政策において重視されている、①非行少年の非行原因を理解するため科学的調査の機能の検証、および②鑑別調査と実際の処遇との連続性についての検証するために、近年、少年の再非行の可能性と教育上の必要性を把握するためのツールとして開発された「法務省式ケースアセスメントツール」の内容と機能の分析を通じ、少年司法制度において同ツールを基礎として非行性の調査と非行克服のための処遇とが有機的に連携出来ているか否かについて、現状分析に取り組むものである。
氏名・職名青木章通 経営学部教授
研究課題名サービス産業におけるセールス・プロモーションの複合的活用の研究
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ポイントカードなどのロイヤリティ・プログラムは、重要な顧客との関係を築くことに貢献しています。どこの店でも買える商品を買うときやサービスを受けるときに、ポイントが貯まる店、ポイントを使って安く買える店を選ぶことが多いからです。この研究では、ロイヤリティ・プログラムなどのセールス・プロモーションがお客様との関係を築く過程でどのような役割を果たしているのか、その貢献度をどのように評価すべきかを明らかにします。
氏名・職名岩田弘尚 経営学部教授
研究課題名戦略的レピュテーション・マネジメントの理論フレームワークの構築
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コーポレート・レピュテーション(企業の評判)は、ある企業に対して抱いたイメージおよびその企業の過去の行為および将来の期待に基づいてステークホルダーが何らかの基準に照らして当該企業を評価したものであり、企業価値を高める無形の資産である。本研究の目的は、(1)コーポレート・レピュテーションを形成する諸要因とそれらの関係性を実証的に解明すること、(2)コーポレート・レピュテーションを戦略の視点から統合的にマネジメントする理論フレームワークを提示することである。
氏名・職名佐藤暢 経営学部教授
研究課題名中央海嶺玄武岩から推定するマントル不均質の時空間分布ー中央インド洋海嶺を例にー
氏名・職名櫻井文子 経営学部准教授
研究課題名市場原理の拡大と公共圏の科学―19世紀ドイツを例に
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自然科学の研究は、実験室の中だけでされているわけではありません。たとえば動物園の運営や、週末の昆虫採集もれっきとした科学研究です。そうした日々の暮らしと密着した科学研究のあり方について、19世紀のドイツのフランクフルトという町を例に調べています。フランクフルトでは、学校の先生やお医者さん、商人や職人などさまざまな人が参加する、科学のためのクラブや協会がたくさんありました。そうした組織の活動を、目的や運営方法、財政基盤や他の組織との協力関係など、多角的なアプローチから研究しています。
氏名・職名西山貴弘 経営学部准教授
研究課題名多様な状況における多重検定方式の研究
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近年の情報化社会の発展に伴い,日々新しく生まれるデータがますます巨大化し,それらのデータが互いに融合し複雑化する「ビックデータ時代」になっています。そのため、多種多様なデータに対する新たな統計解析手法の開発の重要性が増しています。本研究では,従来の統計理論を用いることができないような様々な状況の下で、特に統計的仮説検定問題についての理論と方法論の研究を行っています。
氏名・職名池尾玲子 商学部教授
研究課題名現在時制の小説における話法
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英語の小説は従来、過去時制(例:Three times Della counted it. One dollar and eighty-seven cents. And the next day would be Christmas.)で書かれていました。しかし、今世紀になって、現在時制(例:Three times Della counts it. One dollar and eighty-seven cents. And tomorrow is Christmas.)で書かれた小説が増えてきました。本研究は、現在時制が登場人物の話す言葉や、考えの表現にどのような影響を及ぼしているかを分析します。
氏名・職名石川和男 商学部教授
研究課題名流通業・サービス業における家族による事業承継前後の課題解明
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日本では、高度経済成長時期や1970年代に産声を上げた企業が現在、経営者の交代時期を迎えています。ただ、うまく交代ができない、事業承継ができない企業が多数あり、1980年代前半に比べて150万も企業数が減少しています。そこで流通業とサービス業に焦点を当て、事業承継前後における課題を明確にすることで、事業承継がスムーズにいく一助となるように研究を進めています。
氏名・職名奥瀬喜之 商学部教授
研究課題名端数価格が消費者行動に及ぼす効果に関する研究
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消費財をはじめ、「980 円」「88 円」のように、区切りのよいちょうどの価格よりも少し低い価格、即ち、端数価格(odd price)と呼ばれる価格が設定されることがある。本研究課題は、このような端数価格が消費者の購買行動に及ぼす効果(端数価格効果)について検討することを目的としている。具体的には、日本の消費財市場における端数価格効果の有無についての検討を踏まえて、端数価格効果が生じるメカニズムについて考察する。
氏名・職名鹿住倫世 商学部教授
研究課題名女性起業家の事業成長・事業継続に影響を与える要因に関する研究
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昨今、女性の活躍が期待されていますが、家庭責任と仕事を両立させていくのは大変です。むしろ、女性が自分の経験や知識、技術を生かして、自宅を拠点に何らかのビジネスを始めるほうが、ワークライフバランスの実現にはプラスです。しかし、一般的に女性はビジネス知識や人脈の不足などで、事業がうまくいかないケースも見られます。この研究では、女性が起業し、事業を成長、継続させていくために役立つ要因を見出し、効果的な支援策について、女性起業家等への調査によって明らかにしていきます。
氏名・職名佐藤弘明 商学部教授
研究課題名TED Talksのスピーチ動画を利用した英日マルチメディア・コーパスの構築
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TED Talksとは、YouTubeなどでも視聴できるプレゼンテーション動画です。プレゼンテーションの多くは英語で行われ、英語字幕や日本語字幕を表示することができるので、英語リスニング教材にもなります。重要英単語もたくさん使用されているので英単語教材にもなりますが、そのためには動画のどの部分にどの英単語が使われているかを調べる必要があります。それを調べるために「英日マルチメディア・コーパス」を作成するのが、この研究の目的です。
氏名・職名瀬下博之 商学部教授
研究課題名民法(債権関係)の改正が不動産取引に与える影響についての経済学的分析と評価
氏名・職名高橋裕 商学部教授
研究課題名経営戦略策定支援のためのシステム・ダイナミックス応用に関する研究
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経営戦略を策定するにあたって、企業の経営者や企画担当者は「お金」の面を重視する傾向が強いです。しかし、それだけでは戦略策定に必要な「どのような経緯で現時点に至ったのか」「このままの戦略だとどうなるのか」「改善するための方策は何か」といった問いに答えきれません。こうした問いに答えるために、経営リソースの変化をコンピュータ・シミュレーション手法の「システム・ダイナミックス」を用いて、効果的に経営戦略の策定を行う方法の方法を開発します。
氏名・職名渡辺英次 商学部教授
研究課題名ジュニア期からユース期にかけてのスポーツ選手の体格・運動能力に関する長期縦断研究
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ジュニア期からユース期の選手が所属するスポーツクラブを対象として体格、運動能力測定を継続して行う(長期縦断研究)。測定結果から各選手、所属クラブ、競技経験年数から見た特徴を調査し、他競技多種目のデータから競技種目の特徴的な体格、運動能力の目標値を求めるとともに、スポーツ非実施者と比較し、スポーツ実施の効果や運動習慣獲得の必要性について各世代ごとに検証することを目的としている。
氏名・職名谷守正行 商学部准教授
研究課題名関係性に基づくファイナンス型原価計算モデルの実証的研究
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伝統的な原価計算の配賦は、おもに操業度に比例する計算モデルである。しかし、最近の通信キャリアやクラウドサービスでは、操業度比例型計算モデルでは適合できない。そこで、契約・信頼感・信用度・過去からの取引状態など、さまざまな顧客との関係性情報に基づいて、顧客に必要な資産を推定し、資産から発生する期間費用を集計するモデル(関係性基準の資産活用モデル)を研究する。実際の企業へのアクションリサーチにより検証する。
氏名・職名富川理充 商学部准教授
研究課題名トライアスロンレース中の選手の動作リズム変化の抽出―スイムとランにおける推移―
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身体動作計測用の高精度モーションセンサを用い、スイムおよびランニング中の運動リズムを正確に抽出する手法を開発、確立させながら、以下を実現させることが目的である。(1)従来的な方法では測定不可能だった環境下(例えば、トライアスロンやオープンウォータスイミング、ロードレース、クロスカントリーレース中)において、運動リズムを継続的に測定し、動作を評価する。(2)選手のコンディションやレースの環境・条件・展開などが動作やパフォーマンスにどのように影響を及ぼすか客観的なデータを提示する。
氏名・職名石川達夫 文学部教授
研究課題名チェコ・ゴシック研究――カレル4世とフスの時代の文化と精神
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ヨーロッパの町に行くと、ゴシック様式の大きな教会をよく目にします。ゴシック様式は中世フランスで生まれたものですが、フランスと繋がりが深く、チェコ王と神聖ローマ皇帝を兼ねた15世紀のカレル4世の時代に発展したチェコでは、ゴシック様式が盛んになると同時に、チェコ特有の個性も生まれ、それは後のチェコの芸術にも影響を与えました。この研究は、チェコ・ゴシックの建築・彫刻・絵画などを実地調査すると共に、その歴史的背景を明らかにし、チェコ・ゴシック芸術の豊かさと個性を示そうとするものです。
氏名・職名井上幸孝 文学部教授
研究課題名スペインとメキシコにおける聖ヤコブ信仰の継続と変容の統合的分析
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中世スペインにおいて聖ヤコブ(サンティアゴ)信仰がどのように展開し、その後、16世紀前半のスペインによるメキシコ征服によって、この聖人の信仰がどのようにアメリカ大陸に移植されたのかを総合的に分析する。時代的・地理的に離れた中世スペインと植民地時代メキシコを、聖ヤコブ信仰を軸に結びつけ、その信仰の継続性と変容を歴史学的な視点から解明することを目標としている。
氏名・職名今井上 文学部教授
研究課題名源氏物語と史実の連関に関する戦後の研究の総括と新見創出
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源氏物語は単なるフィクションの物語ではなく、その中には平安時代に実際に起きた事件や人物の名が様々に取り込まれています。どのような事件や人物の名が、作品の中にどのように取り込まれているか、源氏物語の研究は、日本文学・文化研究の分野の中でも最も蓄積の多い分野ですが、戦後の約70年の研究業績を整理した上で、新しい視点を生み出す方法を考えます。
氏名・職名植村八潮 文学部教授
研究課題名学校図書館における電子書籍利用環境構築のための実証的研究
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児童生徒を対象とした本の電子書籍化が進んでいる。また、学校で使う教科書についても、デジタル化の検討も進んでいる。ところが学校図書館で児童生徒に、どのように電子書籍を提供したらよいか、明らかになっていない。大学図書館では電子書籍システムの導入が進んでいるものの、必ずしも学校図書館に向いているとは言い難い。そこで、学校図書館に向いた電子書籍の提供方法について、実証実験を通して提示することを目的とする。
氏名・職名王伸子 文学部教授
研究課題名「ボイスサンプル」を応用した日本語音声指導の研究と開発
氏名・職名大浦誠士 文学部教授
研究課題名『万葉集』の本文と付訓の戦後研究史総括と新時代への《読み》の可能性提示の研究
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『万葉集』には奈良時代以前の歌が収載されており、日本文学のはじまりを知るために貴重な研究対象であるが、まだ平仮名・片仮名の成立していない時代の歌集ゆえに、すべて漢字で記されている。そのため、写本や版本の間に揺れのある漢字の本文をどのように確定し訓読するかが研究の要となる。これまでは、多くの注釈書がそれぞれ提示してきた漢字本文と訓読を個別に検討する作業を個別の研究者が行ってきたが、それらを一覧できるシステムを開発し、研究の速度を飛躍的に高めることが、本研究の目的である。
氏名・職名荻原幸子 文学部教授
研究課題名公共図書館運営に関する住民意思の形成過程を基軸とした図書館協議会に関する研究
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公共図書館の運営においては、自治体住民の意思が反映されることが望ましい。本研究では、住民同士が公共図書館に関する意見や要望を協議する場である「図書館協議会」を対象として、(1)会議における委員間の議論はどのような状況にあるか、 (2) 委員は、住民全般の意見や要望をどのように把握しているか、という2つの側面から、公共図書館運営に関する自治体住民の意思がどのように形成されているのかを明らかにする。
氏名・職名上村妙子 文学部教授
研究課題名学習者と教師の双方の立場から探る英語文法指導
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日本の高校生と大学生が、中高で学ぶ110の英語の文法項目をどの程度習得できているのかを調査する研究です。高校生、大学生の各々にとって、どの文法項目が難しく、かつその難しさの原因は何かを探ります。また、高校生と大学生の調査結果を比較し、日本人英語学習者の文法習得の発達段階を調査し、先生にも学習者がどの文法項目を難しいと感じていると思うかを尋ね、学習者の文法習得の実態と隔たりがあるかどうかを検討します。
氏名・職名苅谷愛彦 文学部教授
研究課題名日本アルプスにおける岩盤重力変形による地形・景観形成システムの解明
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日本アルプスでは,大規模な地すべりとその先行現象である岩盤の自重変形(DSGSD)が,高山帯・亜高山帯に現れる特徴的な地形(さざ波状の斜面や線状に伸びた凹地など)やモザイク的な植生分布を決める1つの要因です。この研究は大規模な地すべりやDSGSDが日本アルプスのどこで,いつ,どのように発達してきたのかを野外・室内研究の両面から明らかにし,それらが山岳特有のこまごました景観の成立とどのような関係にあるのかを探ります。
氏名・職名齋藤達哉 文学部教授
研究課題名1940-1950年代の日本語政策史研究の精緻化に関する緊急調査
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本研究は、1940~1950年代の日本語政策(国語施策・国語教育・日本語教育)を記録・研究することを目的としています。当時、政策実現に深く関わった、二人の人物(岩淵悦太郎、釘本久春)に焦点を絞り、次の調査・研究を行っています。(1)岩淵・釘本は、自らの学問的背景を、日本語政策にどのように生かしたのか(2)岩淵・釘本は、1940年代後半の政策転換期を跨いで、日本語政策実現の方向性をどのように修正したのか
氏名・職名末廣幹 文学部教授
研究課題名王政復古期演劇と政体の危機
氏名・職名蔦尾和宏 文学部教授
研究課題名伝統的な言語文化に関する教材の基礎的研究―笑いの視点から―
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中・高等学校の古文の授業は凡そ生徒に「古文への親しみ」を持たせ、「古文の面白さ」を理解させることを謳うが、これは逆に古文の教材は何もしないままでは「つまらない」と言っているに等しいと思えてならない。ならば、教材とされる古文の解釈がそもそも面白ければよいのではないか。本研究はそのような逆転の発想から、『徒然草』を中心として、教科書に採用された教材を対象に、新たな「面白い」解釈を追究しようとするものである。
氏名・職名濱松純司 文学部教授
研究課題名形態・統語のインターフェイスにおける英語動詞の名詞化に関する研究
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本研究は現代英語における動詞の名詞化の性質を、名詞の単語としての性質と文法(文構造)との接点という観点から、他言語との比較・歴史的変化をも考慮して調査し、理論・実証の両面から多角的に解明するものです。具体的な研究内容は、名詞化における接尾辞(語尾)の役割を検証し、動詞から造られた名詞が現れる環境・構造について分析し、欧米の諸言語との比較及び英語の歴史的変化の過程における現代英語の名詞化の位置づけを明らかにすることです。
氏名・職名広瀬裕子 文学部教授
研究課題名私的領域を大規模に介在させた教育制度改革の成功事例に関する検証的研究
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それぞれの地域の学校の運営や教育の改善に、その地域の行政以外に企業やNPOなどが関わることが増えています。海外には、うまくいかない行政に代わって民間の組織が地域の教育運営をそっくり担って立て直す事例も登場しました。成功をおさめたイギリスの事例を調べながら、民間組織と地域の行政との関係や国との関係がどのようになっているのか、また、どのような要件によって成功したのかを明らかにして、教育政策への応用の可能性を探ります。
氏名・職名松尾容孝 文学部教授
研究課題名現代日本における終末期の村(ムラ)と新たな地域の形成
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私たちは、歴史上連綿と受け継がれてきた村(ムラ)の営みの終末段階にあたる社会の転換期にいる。本研究は、現代日本における終末期の村の解体の実態を全体的に把握して地域類型を設定し、村の営みに代わる新たな地域の形成とその持続可能性の実体化を解明する。農林業が一部村民の産業となり、寺社の紐帯が弱体化し、しかし自然との親近性の高い地域が、内外の相互作用による開空間として生成する状況を実証的に検討している。
氏名・職名三浦弘 文学部教授
研究課題名イングランド北部英語の社会音声学的現状調査
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ビートルズの出身地として有名なイングランドのリバプールでは、5世紀にブリテン島に渡って来た英語の発音特徴を保持し続けていましたが、19世紀に対岸のアイルランド島で飢饉が起こると、多数のアイルランド人が移住して来て、独特な英語方言が話されるようになりました。両島の間にあるマン島では、20世紀後半にマン島語が消滅しました。現在、リバプールとマン島の往来が盛んになり、お互いの英語方言に影響を与えています。リバプール周辺地域も含めて、現地へ出かけ、地元住民の声を収録し、音響分析をして、今の英語方言を客観的に記録するとともに、発音が変化する過程を解明しています。
氏名・職名米村みゆき 文学部教授
研究課題名1940年代の東アジアにおける日本児童文化受容とナショナリズムに関する調査研究
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1940年代には、日本の児童文学や児童映画が、日本国内のみならず、その当時、日本の植民地であった京城(現在の韓国・ソウル)、旧満州(現在の中国の東北部)、台湾などで受容されました。たとえば児童文学作家・宮沢賢治原作の映画『風の又三郎』は、各地の映画館のほか、学校を巡回するかたちで上映されました。そこでは、舞台となった農村風景を通じて、観客たちが同じ風景に心を動かしたことがわかっています。韓国、中国、台湾の大学や図書館で資料を調査して、映画に描かれている様々な事物が、日本という国のナショナリズム思想の形成にどのように関わっていたのか研究しています。
氏名・職名高島裕之 文学部准教授
研究課題名北欧におけるアジア産陶瓷交易の基礎的理解
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地球的規模で行なわれたアジア=ヨーロッパ間の交易を明らかにするため、新たな視点から実物資料を基に研究する。特に北欧(スウェーデン、デンマーク)をフィールドとして、17 、18 世紀のアジア産陶磁器の交易について考察する。方法として、資料が蓄積されているオランダと比較し、北欧の流通、消費遺跡出土陶磁器の特徴をまとめていく。そして北欧の陶磁器受容者の注文にこたえた、アジアの陶磁器生産者の技術の本質を読み解く。
氏名・職名廣川和花 文学部准教授
研究課題名医療の「近代化」と地域社会:近世・近代日本における地域医療の連続と断絶
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この研究の特徴は、従来、江戸時代との断絶面ばかりが強調されてきた近代日本の地域医療を、江戸時代の医療から「継承されたもの」と「断絶されたもの」の組み合わせとしてとらえ直すことである。検討対象となる時期は、幕末維新期から1930年代までであり、開業医の診療録などの地域資料を用いて、この間に日本の地域医療、具体的には医師のレベルとその医療内容そのものが、どのように「近代化」したかを明らかにする。
氏名・職名上杉妙子 文学部兼任講師
研究課題名多重国籍・市民権とアジアの市民社会の越境的動態に関する文化人類学的研究
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近年、多くの国家が多重国籍・市民権を容認し、移民が国境を越える紐帯を維持している。このことを考えると、アジア市民社会の研究にも、越境的視点を導入することが望まれるのではないか。そこで、本研究は3人の研究者を組織して、①在外ネパール人協会による多重市民権の法制化運動や②韓国における多重国籍保持者などの生活実践、③在独トルコ人移民の文化的実践などを切り口とする実証的な研究を行う。
氏名・職名寺戸淳子 文学部兼任講師
研究課題名「知的障害者との共同生活」運動の国際的展開の実体と平和学への貢献可能性の研究
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「生きやすい社会」(共生社会)実現のためには、「他者の困難な生にどう向き合うか」という課題に取り組む必要がある。本研究はその具体例として、知的障害者とアシスタントが共同生活を行う〈ラルシュ〉共同体運動(フランスを中心に世界34カ国に展開。EU共同体では主に「市民貢献活動」に参加する若者を1-2年間受け入れる)を調査し、そのような「立場が異なる人々が共に暮らす場所」の国際的ネットワークが平和学に貢献する可能性を探る。
氏名・職名飯塚佳代 ネットワーク情報学部教授
研究課題名経営-IT整合モデル構築・維持に関する研究―組織の多次元信頼構造の視点から
氏名・職名佐藤慶一 ネットワーク情報学部准教授
研究課題名想定地震災害後の仮住まい対策ミクロシミュレーションの拡張開発と政策提案の検討
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想定地震(首都直下地震及び南海トラフ巨大地震)後の仮住まい対策(プレハブ仮設住宅の建設や賃貸空き家利用など)をテーマに,データ分析やシミュレーションを行います.そして,分析結果を紹介しながら関係者と議論を行なう場を設けて,高齢世帯や乳幼児を抱える世帯など多様な世帯状況に応じた安心な仮住まいのための方策を考えていきます.
氏名・職名野村亮 ネットワーク情報学部准教授
研究課題名未知情報を含む多端子情報理論の精密化
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インターネットや携帯電話などに代表されるデータ通信技術の基礎理論である情報理論についての研究である。データ通信で重要なことは、データを「効率よく」「正確に」伝送することで、そのための伝送可能条件を導出することが重要となる。本研究は一対一から多対一のデータ通信まで「効率よく」「正確に」伝送可能な条件を従来より精密な形で導く。
氏名・職名宇都榮子 人間科学部教授
研究課題名第二次大戦後の福田会育児院の運営組織と社会福祉実践史研究
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日本を代表する育児施設を経営してきた福田会(1879創設)の第二次世界大戦敗戦後から今日までの社会福祉実践史をまとめることにより、どのような社会的・経済的・歴史的条件の中で施設運営がなされてきたのか、対象となる児童の社会的性格、児童養育実践の方法、養育に携わる職員、支援者などについて明らかにすることにより、入所児童の生活の安定を得られる社会福祉施設運営や会福祉実践の在り方を模索していきたい。
氏名・職名大久保街亜 人間科学部教授
研究課題名協調行動におけるダイナミクスとその進化的基盤
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協調行動は社会を支える基盤である。一方で、誰もがどの場面でも協調をするわけではない。しばしばズルをしたり、抜け駆けをしたりして、分け合わなければならない利益を独り占めしたりする。本研究では、協調や非協調を選択するダイナミズムを検討し、どのようにしてズルや抜け駆けが可能になるのか、また、それが防げるのか(あるいは見過ごされるのか)検討する。現時点では表情がカギになることが示されている。
氏名・職名嶋根克己 人間科学部教授
研究課題名葬儀の脱共同体化に関する比較社会学的研究
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どんな人間もいつか死を迎える。近しい人が亡くなると、その人を取り巻く家族や近親者、友人や近所の人たちは共同して死者を見送ってきた。それが慣習化したものが葬儀である。日本にも古くから続いてきた葬儀の慣習がある。しかしそれが現在では大きく変化し始めている。特に、かつて葬儀の手助けをしてきた共同社会(地域人びとや知人、あるいは親族さえ)が葬儀と関わらなくなり、お葬式は家族だけの儀式になりはじめたのだ。
氏名・職名永野由紀子 人間科学部教授
研究課題名「東アジア」村落における生活保障組織の比較社会学:日本とバリ島の事例
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この研究では、日本とインドネシア・バリ島の農村の家族・親族関係・近隣組織を比較する。「神々の棲む島」・「癒しの島」として知られるバリ島は、世界的な観光地であり、民俗芸能や舞踊が盛んである。一方、バリ島は水田稲作の盛んな地域であり、儀式や芸能は、水田稲作のための共同の必要と結びついている。一見すると相違点が目立つ日本とバリ島の農村を比較して、両者の共通点と相違点をさぐることが、この研究のねらいである。
氏名・職名棟居快行 法務研究科教授
研究課題名プライバシー概念の進化に対応した保護法制のあり方
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プライバシーについて、従来は雑誌などによる私生活ののぞき見を出版の差止めや損害賠償によって封じ込めてきた。その後コンピュータ社会の到来に合わせて、自分の個人情報の使われ方について本人同意を基本にする捉え方が登場した。しかし今日のSNSなどでは、個人の相手に合わせたイメージの使い分けがプライバシー保護の要点になっているので、それを理論化したうえで適切な法的保護を再構築する必要がある。
氏名・職名米丸恒治 法務研究科教授
研究課題名電子行政と電子署名認証法との最適化に関する比較法的研究
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電子行政を進めるにあたって、最初に問題となる、誰がどこの誰として手続きしているかといういわゆる電子認証や電子署名の最適化について、ドイツと日本を比較して研究している。電子署名は、サイバースペースで、どこの誰が何に署名をしたのか確認することのできる重要な基盤技術であるが、それを法的にどのように制度化すればよいのかについても、電子認証との関連でドイツとの比較の下に研究している。
氏名・職名高木侃 大学史資料課
研究課題名明治・大正期の私立法学教育機関における実務家教員の基礎的研究
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明治・大正時代に私立学校、なかでも法律学を教えていた学校において、裁判官や検察官、弁護士として活動しながら後進を育てようと教壇に立っていた人びとは、どのような学校を卒業して、どのような活動をして、そしてそれをどのように教育に活かそうとしていたのでしょうか。本研究はその問題を明らかにすることで、今後、法科大学院を含む法学教育がより良い方向に進んでいけるよう、寄与するものです。

若手研究(A)

氏名・職名奴田原健悟 経済学部教授
研究課題名名目金利のゼロ下限制約と不完全金融市場を考慮したマクロ経済政策の分析
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近年、日本を含め、多くの先進国の中央銀行で、いわゆる「ゼロ金利政策」がとられています。また、従来の経済理論では消費者や企業は自由に資金を自由に借りられる状態を考えることが多かったのですが、資金借入には一定の制約が存在する「金融市場の不完全性」に注目が当てられています。私の研究では、このゼロ金利政策と金融市場の不完全性に焦点を当てて、さまざまな経済政策が一国の経済全体に及ぼす効果の分析をしています。
氏名・職名岡田謙介 人間科学部准教授
研究課題名ベイズモデリングによる心理学研究の再現性の再検討
氏名・職名国里愛彦 人間科学部准教授
研究課題名恐怖条件づけの獲得・消去・再発の個人差に関わる認知機能と神経基盤
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私たちは恐怖を無条件に引き起こす刺激(無条件刺激)と恐怖を引き起こさない刺激(中性刺激)を同時に経験すると、元々は恐怖を引き起こさない刺激に対しても恐怖を感じるようになります(中性刺激が条件刺激に変わります)。このような現象を恐怖条件づけと呼びます。この恐怖条件づけにおける恐怖反応の獲得、消去、再発には、個人差があるとされます。これらの個人差について、学習過程で生じる信念、認知機能、脳波で測定する脳機能の側面から数理モデルを用いた検討を行っています。

若手研究(B)

氏名・職名小川健 経済学部准教授
研究課題名現代的特性を取り込んだ水産物貿易の理論研究
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獲り過ぎると減るが、獲るのを抑えると回復する漁業資源が、マグロやウナギ等よく食べる水産物を中心に絶滅しそうな状況で、資源管理が求められます。水産物は輸入もまた盛んで、水産物だけでなく経済や貿易の影響を無視しての資源管理は、国際合意が取り難いだけでなく、目標を立てても守られません。そこで、その国ではまだやった事のない資源管理も含めて、水産物貿易の影響と資源管理の関係を貿易理論から解明を目指しています。
氏名・職名鈴木奈穂美 経済学部准教授
研究課題名介護者がワーク・ライフ・バランスを実現するための就労・生活支援に関する研究
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介護保険は、介護の社会化を実現するために創られた社会保険です。「介護の社会化」とは、所得水準や家族に介護をする人がいるかにかかわらず、すべての人が介護保険サービスを利用できることを意味します。このような制度があっても、家族が介護することがなくなるわけではありません。仕事などの社会生活を送りながら、家族のための介護をするには、どのような仕組みが必要なのでしょうか。よりよい介護者支援の仕組みづくりにむけて、調査研究を進めています。
氏名・職名大西楠・テア 法学部准教授
研究課題名難民受け入れの法制度的基礎-ドイツにおける難民庇護と定住化支援を素材として
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ドイツは難民を自国で保護するという庇護権を憲法で保障しており、難民受け入れに積極的な国家である。そのため、適正かつ効率的に難民審査を行う手続、そして、受け入れた難民が社会に根付いていくための定住化支援について、豊富な経験を持つ。本研究はドイツにおける難民審査手続および難民の定住化支援法制を検討することを通じて、グローバル化社会に適合した難民受け入れの可能性を模索する。
氏名・職名妹尾哲志 法学部准教授
研究課題名ヘルムート・シュミットの東方政策に関する研究
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本研究では、1974年から82年までドイツ連邦共和国の首相を務めたヘルムート・シュミットが、冷戦時代に対立していたソ連やポーランドなどの東側諸国との関係改善を図った政策(東方政策)について、新たに公開された未刊行の外交文書等を利用しながら分析することを通じて、現在ヨーロッパでますます存在感を増しつつあり、敗戦から高度成長といった点で日本と比較されることも少なくないドイツの政治外交に関する理解を深める一助とすることを目的とします。
氏名・職名小川博雅 経営学部講師
研究課題名情報伝達時間を取り入れた組織内情報伝達モデルの構築
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組織のなかでは多くの人々が働いており、組織のなかで何かを決めたり協力し合ったりするためには、関係者の間で必要な情報が共有されていることが重要です。情報共有の難しい点は、関係者に正確な情報を伝えようとすると、それだけ長い時間を要してしまい意思決定が遅くなるという問題です。この研究では、情報伝達の正確性とスピードというトレードオフ(相反する関係)を克服するための組織のあり方について、ゲーム理論という数学の理論を使いながら、理論的に考察しています。
氏名・職名巴山竜来 経営学部講師
研究課題名旗領域の研究とホッジ理論への応用
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複素多様体と呼ばれる、複素数の世界で定義される図形についての研究を行っています。この分野は19世紀の数学者リーマンが礎を築き、岡潔や小平邦彦など日本の著名な数学者も大きな業績を残しました。とくにリー群と呼ばれる数学的対象を通してこれらの図形の構造を調べています。この研究は数学だけでなく、最近では素粒子論など物理の基礎理論とも関係しています。
氏名・職名西居豪 商学部教授
研究課題名日本的マネジメント・コントロールの理論的・実証的研究:会計コントロールからの接近
氏名・職名中原孝信 商学部准教授
研究課題名データ研磨技術を用いた選択集合からの潜在ニーズの発見
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スーパーマーケットで商品を購入する場合、たくさんの中から商品を選び購入しますが、そこでは多くの選択が行われています。また、最終的に購入した商品はデータから確認できますが、候補にあがったが購入されなかった商品はデータには残っていないため確認することはできません。本研究ではそのような購入候補になった商品をデータ研磨と呼ばれる分析技術を使って発見し、プロモーションなどに利用することを目的にしています。
氏名・職名八島明朗 商学部准教授
研究課題名ブランド・スイッチ要因とロイヤルティ要因の包括的研究
氏名・職名赤坂郁美 文学部准教授
研究課題名東南アジア・東アジアの気候と熱帯大気-海洋相互作用の100年スケールの連関解明
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東南アジアの中でもとくにフィリピンに着目し、降水の季節変化とその長期的な変化について研究しています。フィリピンの降水の季節変化は、熱帯の大気と海洋の変化により特徴づけられています。またこれは、日本を含む東アジアの降水の変化にも影響しています。そのため、最近100年間の東南アジア・東アジアの降水変動と熱帯の大気及び海洋との関係を明らかにし、近年の気候変化を解明するための調査を行っています。
氏名・職名古田徹也 文学部准教授
研究課題名形態学としてのウィトゲンシュタイン哲学の解明
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本研究は、ゲーテの自然研究(とりわけ形態学、およびそれと方法論的に連続する色彩論)と、言語をめぐるウィトゲンシュタインの哲学的議論とを比較し、その類似性と差異が具体的にどこにあるのかを解明する。それによって、ゲーテの思考を継承しつつもそれとは区別されるべき独自の形態学を展開するものとして、ウィトゲンシュタイン哲学の方法論を浮かび上がらせると同時に、それを現実の具体的な諸問題に応用する研究を進める。
氏名・職名高野祐一 ネットワーク情報学部准教授
研究課題名混合整数最適化を用いた制約付き変数選択による高精度パラメータ推定
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例えば中古マンションの価格を予測するためには,その広さや築年数などが重要な情報となるでしょう.このように予測に有用な情報を選び出すことは変数選択と呼ばれ,統計学の分野では最も基本的かつ重要な課題として知られています.本研究課題では,予測値を計算するための数式を精度良く推定することが可能な変数選択手法を考案することを目標としています.
氏名・職名土屋翔一 ネットワーク情報学部准教授
研究課題名Halin graphについての研究
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頂点集合と辺集合(頂点集合の二元部分集合族)で定義される組をグラフとよび、グラフのさまざまな性質や構造について調べる分野がグラフ理論である。グラフ理論は様々な応用があり、ネットワーク構築や道路網の設計などに用いられる。本研究では、「どのようなグラフの族がHalin graph (およびそれに近い構造)を持つか」という問題の解決を中心に研究を進めている。得られた研究成果や詳しい情報は以下のWebページで紹介していく。
https://sites.google.com/site/stsuchiyajapanese/

挑戦的萌芽研究

氏名・職名伊藤博明 文学部教授
研究課題名「イソップ寓話集」の近代ヨーロッパにおける流布と日本への影響
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「イソップ物語」として知られている古代ギリシア起源の寓話集は、15世紀以降、ラテン語のほか各国語に翻訳され、ヨーロッパ中で読まれました。それらをもとにして、1593年に天草のイエズス会から、ローマ字綴り口語体の『イソポのハブラス』が、また1620年代には文語体の『伊曽保物語』が刊行されます。本研究の目的は、この伝承過程の考察を通して、ヨーロッパ文学の日本への移入の一側面を明らかにすることです。
氏名・職名望月俊男 ネットワーク情報学部准教授
研究課題名21世紀型スキルとしての認識論的コンピテンシを育む協調学習環境の研究開発
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協調学習を通して、知識や知ること、学ぶことに関する「認識論的信念」を変容し、知識は教えられるもの、学びは伝えられるもの、といった信念ではなく、自ら知識を生み出していくような資質・態度(コンピテンシ)を育むための学習環境のデザイン原則を見いだすことを最終的な目標としている。その萌芽段階として、複数の文章を読解する中で、グループで読みを深めていく際に、そうした資質・態度をどのように発揮できるのか、またそうした資質・態度を引き出すには、どのような学習環境が必要なのかということについて明らかにしていく。