専大日語・コラム
専大日語の教員による、月替わりのコラムです。
2026年4月:語のアクセントを考えよう
新しい年度になりました。専大日語に入学した新1年生のみなさん、ご入学、おめでとうございます! 4年間、どうぞ有意義な、実り多い時間を過ごしてください。
みなさんが専大日語で主に学ぶのは、「日本語学」と呼ばれる学問分野です。ヒトの言語一般を研究の対象とする「言語学」のうち、特に日本語を対象とするのが「日本語学」です。日本語の仕組み(音声、文字、語、文など)から、日本語の応用分野(歴史、社会、教育、情報処理など)まで、幅広く学んでいくことになります。
「いつも普通に日本語を話してるけど、なんでわざわざ日本語を勉強するの?」と思うかもしれません。ところが、自分が話している言葉について客観的に(言語学的に)把握することは、実は難しいものです。日本語には日本語の規則があり(それは音の規則だったり、語の規則だったり、文の規則だったりします)、母語話者は知らないうちにその規則を身につけていますが、いざその規則を客観的に考えようとすると、「あれ...?」となることが多いのです。みなさんには、これから専大日語で過ごす4年の間に、「自分の日本語を客観的に観察して分析できる能力」を身につけてほしいと思います。
アクセントを考えてみよう
ここでは、自分の日本語を客観的に観察する例として、「アクセント」について考えていきましょう。ひとまず、共通語のアクセント(東京式アクセント)について考えていきます。みなさん、次の語をゆっくり音読してみてください(声に出してみることが大事です)。
うまく発音できましたか(できましたよね)。
さて、日本語のアクセントは、語を構成する一つ一つの音が「高いか」「低いか」によって区別されます。上に挙げた語に高低を付けると、以下のようになります。音の高低を意識して、もう一度音読してみてください。
音の高低を意識して、うまく発音できたでしょうか。この結果を見ると、2拍の語は「いぬ」と「うま」が同じアクセント、「ねこ」と「わに」が同じアクセントということになります。3拍の語は、「メロン」と「ミカン」、「イチゴ」と「スイカ」がそれぞれ同じアクセントの形になっています。
どうですか。普段は無意識にしゃべっている分、「音の高低を意識する」というのはあまり経験したことがないのではないでしょうか。
アクセントの不思議
日本語のアクセントは、音の高さによって区別されます(「高低アクセント」と言います)。高低アクセントを持つ言語では、どの音を高く読み、どの音を低く読むかが、単語ごとに決まっています。「いぬ」や「メロン」などの語を読むとき、音の高さを間違えて読んでしまうことはまずないでしょう。これは、みなさんの頭の中に、語のアクセントの形が知識として蓄えられていることを示しています。
これに対して英語のアクセントは、音の高さではなく、音の強さによって区別されます(「強弱アクセント」と言います)。強弱アクセントを持つ言語では、どこにストレスを置いて読むかが単語ごとに決まっています。例えば interesting という語は冒頭の í にストレスが置かれますが、international という語は一つ目の á にストレスが置かれます。また、record という単語は、é にストレスが置かれると名詞になり、ó にストレスが置かれると動詞になります。
私たちはアクセントについてきちんと勉強したりいちいち暗記をしたりしたわけではないのに、語のアクセントをきちんと区別することができます。「金子」と「金田」という苗字を見れば、「かねこ」「かねだ」と、読めてしまいます。「菅原」という苗字も、読み方によって「すがわら」「すがはら」と区別をつけることができそうです。「ガセブゴロ」は「ガセブゴロ」、「ガセブゴロッタ」は「ガセブゴロッタ」になるかと思います(今私が適当に作った語なので、唯一の正解があるわけではありません)。
私たちの頭の中(脳)には、どのような言語知識が、どのように格納されているのでしょうか。それを、私たちはどのように使いこなしているのでしょうか。考えてみると、とても不思議なものです。
日本語のアクセントは、単に「高い」「低い」だけでなく、その組み合わせによっていくつかの種類を考えることができます。これを「アクセント型」と言います(「頭高型」「中高型」「尾高型」「平板式」などの種類があります)。また、ここでは共通語のアクセントについて述べましたが、日本語の方言には共通語とは異なるアクセントの形や組み合わせが豊富に存在します(例えば、関西方言では「いぬ」「ねこ」「わに」「うま」になります)。これらの問題については、より専門的な立場から、授業の中で扱っていくことにしましょう。
先生たちの名前のアクセント
最後に、専大日語の教員の名前を、アクセントの観点から分類してみましょう。専大日語には、以下の10人の教員がいます。ひらがなの部分を音読して、それぞれの音の高低がどうなるか、誰と誰が同じアクセントの形になるか、考えてみてください。
- 2拍の苗字
- 阿部(あべ)先生
- 王 (おう)先生
- 須田(すだ)先生
- 孟 (もう)先生
- 3拍の苗字
- 宇佐美(うさみ)先生
- 八田 (はった)先生
- 4拍の苗字
- 斎藤(さいとう)先生
- 高橋(たかはし)先生
- 丸山(まるやま)先生
- 山下(やました)先生
ついでに、教員の顔と名前も一致させてくださいね。教員紹介のページを見ておいてください。
それでは、4年間、どうぞよろしくお願いします。自らの日本語について客観的に考える、楽しい時間を過ごしていきましょう。

