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刑法の基本問題の研究[担当:稲垣 悠一]

ゼミナール名称 刑法の基本問題の研究
研究テーマ 法的文書作成能力、刑法解釈の基礎力の育成
ゼミナール所属 法学部法律学科
学修内容  本ゼミの目標は、学部の刑法の講義を受講していることを前提に、法的な文書の書き方を身に付け、より深く刑法の解釈論を展開できるようになってもらうことです。
 ゼミでは、刑法に関する具体的な事例問題(前期は、刑法総論に関する問題、後期は刑法各論に関する問題)について議論をしますが、きちんとした書面を作成することが前提となります。書面作成能力は、法律家のみならず、社会人にとっても必須の能力です。問題点を適切に整理したレジュメの作成の仕方、答案の書き方といった法的文書を作成する作法について丁寧に指導しています。扱う事例問題には、刑法を理解する上で基本的かつ重要な問題点が必ず含まれていますので、通年でしっかり学修すれば、刑法の全体像が掴めるようになるはずです。また、司法試験を目指す学生にとって、有益になるような方法論を提示することも心掛けています。
ゼミ生の人数 3、4年生を合わせて10~16名程度で、男女比はほぼ1:1です。
開講日時など 水曜5時限。なお、令和5年度は、相馬学術奨励基金の支援による在外研究のため、開講しません。
卒業論文・卒業研究  後期には、3、4年生ともにゼミ論の提出を課しています。3年生は4000字以上、4年生は8000字以上の分量を執筆する必要があります。テーマ設定は各自の自由です。学部生に求めることは、新たな学説を提示するといった学術的に高度なものではなく、刑法の特定の問題に関する学説・判例の状況を調査、整理し、各自の意見をまとめてもらうことです。ゼミ論は、基本的に、「論説」、「判例研究」のいずれかの形式でまとめてもらいますが、特定のテーマをまとめ上げるためには、書面作成上のルールがあることから、それを指導する機会を設けています。
 提出してもらったゼミ論は、ゼミ論集として製本化しています。本年度は、第5号目となるゼミ論集が完成しました。
サブゼミナール  本ゼミでは、担当班に事例問題についてのレジュメや答案の発表をしてもらいます。発表内容が充実したものになるかは、サブゼミでの準備の質に依存します。令和4年度の3、4年生に確認したところ、対面よりは、LineなどのアプリやGooglemeetといったオンラインシステムを使ってサブゼミを行っていることが多かったようです。検討すべき論点、学説・判例の内容や問題点を正確かつ効率的に整理し、書面を準備するためには、こういったツールを駆使することは重要でしょう。他方で、実際の発表の際には、発表班内の役割分担、他のゼミ生とのコミュニケーションが大事になります。ある班は、議論を盛り上げるために、あえて通説・判例とは異なる有力説を採用したり、学生同士のコミュニケーションの仕方について準備をしたりといった工夫をしていた班もあったようです。
ゼミナール合宿  コロナ禍以前は、春と夏の合宿(いずれも2泊3日)を実施していました。勉強と遊びを両方兼ねたものです。勉強の方では、検察側と弁護側に分かれて議論をするなど、通常のゼミとは異なる形式で実施することもありました。ゼミ終了後には、自由時間を設け、飲み会などを実施していました。
 普段のゼミとは異なる雰囲気を味わうことができ、親密にもなれるので、コロナ禍が収束すれば是非再開したいと考えています。
OB・OGの進路  一般企業への就職者が多いですが、警察官、県職員、裁判所職員(書記官、事務官)等の公職に就く者、法科大学院等への進学者もいます。最近では、進学後に司法試験に合格したゼミ生出身者もいます。
OB・OG会  現時点で8期の若いゼミなので、全体のOB・OG会は開催したことはありませんが、いずれ開催したいと考えています。8期生までの総数は、60人程度です。
教員紹介  これまで弁護士(旧60期)実務と研究・教育活動の両方に携わっていましたが、現在はほぼ研究・教育活動のみを行っています。実務感覚は大分薄れていますが、刑法理論を考える際には、実務との架橋を常に考えています。主たる研究対象は、過失犯論です。 専修大学出身でなおかつロースクールに所属して法曹育成に関与しているので、個人的には、多くの学生が法曹を目指し、法律家として活躍してもらいたいという強い思いがあります。ドイツでの在外研究では、ドイツ刑法の理論面だけではなく法曹養成の実際についても見聞し、そこで得られた種々の視点を何らかの形でゼミに反映したいと考えています。

稲垣 悠一[専修大学研究者情報システム]
その他  ロースクールで指導をした学生が司法試験に合格した場合には、勉強方法などについて自由に話してもらう座談会をお願いしています。学部生が司法試験合格者から直接話を聞ける機会はあまりないようなので、合格を目指す学生への情報提供という意味を込めて、ここ数年実施しています。ゼミの時間帯を利用したもので、それほど大規模なものではありませんが、ゼミ生だけではなく、刑法の講義の受講生についても、希望者には参加を認めています。
 本年度は、11月に実施し、合格者2名(1名は本ゼミ出身者、もう1名は本学ロースクール修了生)にお話頂きました。ゼミ生と受講生を合わせて、30名程度が参加し、活発な質疑がなされました。
 令和5年度は在外研究でゼミを開講しないことから、 一旦ゼミの連続性が途切れますが、ゼミの再開後も、 「良く学び、良く遊ぶ」をモットーとしたゼミとして、 伝統を引き継いでいってもらいたいと考えています。
ゼミナール紹介_法学部_稲垣悠一01▲令和4年度最後のゼミ
今年のゼミは、白熱した議論が度々展開される活気あるものとなりました。
[2023年2月掲載]