アメリカ⽂学を読む[担当:宮本 文]
ゼミナール名称 | アメリカ⽂学を読む |
研究テーマ | アメリカ文学 |
ゼミナール所属 | 国際コミュニケーション学部 異文化コミュニケーション学科 |
学習内容 | 毎年異なる角度からアメリカ文学の短篇を読みます。主に文学作品を通して精読する訓練を行い、背景や関連する事柄、物語のパターンなどを探りつつ、自らの「視点」を定めて論じていく練習をします。また、ゼミのメンバーとのディスカッションや先行研究など「他者」の議論を踏まえて、自らの考えを言語化していくアカデミックなコミュニケーションを実践し、能⼒を伸ばしていくことを目標としております。アメリカ文学をベースにしますが、アメリカ文学に詳しいことが必須ではありません。アメリカが抱えてきた(あるいは現在形で抱えている)人種やジェンダー、階級など文化や政治経済の諸問題は、日本を含む世界の国々が現在抱えている問題や近い将来に起こりうる問題を先取りし、ラディカルな形で映し出していると言えるでしょう。敢えて言えば、このような問題を「ミクロ(草の根的)」な視点からじわじわ考えることが好きな人、複雑さ・言葉にする困難さをひきずりながらも考えて何とか言葉にしていくのが好きだという人は向いているゼミだと言えます。一方で、思いがけない出会いを楽しみにしておりますので、どんな動機でも基本的にはどなたでも歓迎です。ゼミのメンバーの興味を掘り起こす形で授業を展開していく予定です。 「アメリカ文学をベースにしますが、アメリカ文学に詳しいことが必須ではありません」ということをいま一度強調しておきます。国際コミュニケーション学部は、一般的な文学部のように1年生から(アメリカ・英語圏)文学を専門的に学ぶプログラムではありません。むしろ、他の言語や文化を学ぶ過程で、他の文化をさまざまな視点で「読み」新たな「つながり」を見つける訓練を積んできたと思います。したがって、このゼミでもそのような本学部・本学科の強みを活かす形でアメリカ文学を読んでいきます。すなわち、みなさんに「アメリカ文学」の伝統にならって自分の考えを位置付け形作ってもらうことを一番の目標にするのではなく(これもまったくしないわけではありません)、みなさんが1、2年生までの授業や留学そのほかこれまで蓄積した「知識」と「引っかかり」を持って、文学テクストをベースに自身で結びつきを見つけ、それを言語化するのを目標としています。別の言葉で言えば、みなさんが一生で出会うであろう様々な出来事や社会の変化に、レジリエンスやユーモアを持って「読み」「考え」「言語化」する力や(自分の)型を涵養していくことを目標としています。 一方で、ゼミでは丁寧に英語のテクストを読んでいく精読と批評(アカデミックなコミュニケーション)の訓練を行いながら、複数の、できればたくさんの文学作品その他の形式の物語に触れようと思っております。また、毎年テーマを設定し、議論の端緒として定点を設定し議論を促したいと思っております。 最後になぜ「文学なのか?」というと、文学は「何が書かれているか」(what)と同じぐらい、もしくはそれ以上に「どのように書かれているか」(how)ということが大きな問題となります。同じらしき出来事を描写するにも、「どのように書くか」(how)模索することによって、社会で支配的な価値観からこぼれ落ち、なかったことにされる個人レベルやある集団の持つ<声>が響く瞬間を、テクスト(文学)は読者に啓きます。howということはこれまでみなさんが様々な授業で「文化」を学ぶ時に注目してきたことであります。これまでみなさんが受けた授業ではhowに注目して「文化」を読む/学ぶことが多かったと思います。「確かにそうだったな」と思いあたる人、授業で様々な「目からうろこ」体験をした人は、ぜひ文学を通してもっともっとディープに考えてみましょう。 |
卒業論文・卒業研究 | 卒業論文を執筆してもらう予定です。執筆言語は日本語がデフォルトで、英語で書きたい場合はご相談ください。 |
教員紹介 | 専⾨は20 世紀以降のアメリカ⽂学で、とりわけ今は都市を歩くことをテーマにアメリカのモダニズム詩以降の展開についてあれこれと考えております。実⽣活でも、偶然性と匿名性に耽溺しながら東京の街をよく歩いています。(ほとんど徘徊といっていいかもしれません。)書く⽂章も、話す⾔葉も、おそらく頭のなかの思考も、直線的ではなく寄り道してばかりいます。
また、素材が⽂学であろうとなかろうと、⾃分が教室でしてきたことに通底しているのは、「知っているはずの⾵景の新しい⾒え⽅、知らないと思っている事柄や⼟地との秘密のつながりを提⽰するような⽂章を選び、組み合わせ」、それを学⽣と⼀緒に読むことです。その先には「学⽣はなにかに引っかかるだけでもいいし、願わくは⾃分なりの回路を⾒出して欲しい、それが⾒えてくるのが10年後、20年後だということもあるかもしれない」、そんな無定形な希望があります。 宮本 文[専修大学研究者情報システム] |


[2024年2月掲載]