教授・日暮 美奈子

歴史(日暮)
帝政期ドイツの「社会問題」とその克服の試みを、ジェンダーや人の移動といった観点から考えています。(写真はハンブルクの移民博物館)
日暮 美奈子
教授 (ドイツ近現代史)

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教員データ

氏名・職位 日暮 美奈子(HIGURASHI MINAKO) 教授
文学部開講科目近代ヨーロッパ政治史1
近代ヨーロッパ政治史2
歴史資料研究法5
歴史資料研究法6
ゼミナール1・2・3
卒業論文
大学院開講科目西洋史特講Ⅲ 西洋史特講Ⅲ演習 西洋史特殊研究Ⅱ 西洋史特殊研究Ⅱ演習
略歴東京外国語大学大学院地域文化研究科博士課程修了 博士(学術)[東京外国語大学]
専門分野ドイツ近現代史
研究キーワードドイツ 第二帝政 女性 ジェンダー 社会事業 社会政策
所属学会歴史学研究会 歴史科学協議会 現代史研究会 ドイツ現代史学会 社会事業史学会 ジェンダー史学会

ゼミ紹介

テーマ:近現代ドイツおよびヨーロッパにおける政治と社会

<到達目標>
・先行研究文献と欧文史料を批判的に読めるようにする。
・グループごとに設定したテーマに沿ってレジュメを用いた報告ができるようにする

<講義概要>
この授業の目的はふたつある。
第1に、先行研究文献と欧文史料を読む力を養うこと。4年次の卒業論文作成にあたっては、和文および欧文で書かれた史料・文献を用いることが要求される。その準備段階として、ゼミでは書かれたものを批判的に読む訓練をする。とりわけ欧文テキストを理解するためには,単に母語に置き換えて内容を把握するだけではなく,関連するさまざまなことがらについて調べ、考える必要がある。そのための技術と態度を、参加者は授業を通じて身につけるように努力してほしい。
第2の目標は,卒業論文の作成に向けて各自の問題意識を明確にし、テーマを決定することにある。この作業それ自体はひとりでもできることではあるが、ゼミでは参加者それぞれが自らの問題関心について定期的に報告し、参加者全員で討論する場を設定する。担当教員や他のゼミ生と議論を交わすことによって、研究内容をより充実したものにするためである。

メッセージ

​ 帝政期(1871-1918)のドイツは、急速な発展の影でさまざまな社会問題が噴出した時代でもありました。私の研究対象は当時「婦女売買」と呼ばれた社会問題です。「婦女売買」とは、売春の強要を目的に若い女性を国外へ連れ出す行為として理解されていました。では、実際に何が起こっていたのでしょうか。当時の人々はどのように対処しようとしていたのでしょうか。そこには、この時代の特徴がどのような形であらわれているのでしょうか。こうしたことを、行政の史料を手がかりに調べています。史料の読み解きによって、時代も地域も異なる社会が現在の私たちとつながりを持っていることを理解できるのは、歴史学ならではの面白さと言えるでしょう。

大学院

 
西洋史特講Ⅲ
​この講義では、テキスト(Ewald Frie, Das Deutsche Kaiserreich, Darmstadt, 2004)を用いて第二帝政期ドイツ史に関する主要先行研究を紹介し、研究史上の論点を整理する。とくにヴィルヘルム期をめぐる諸研究の成果と課題について重点的に論じる予定である。重要と思われる論点については、受講者諸君と議論する機会を設ける。
 
西洋史特講Ⅲ演習
​この講義では、テキストを用いて、トランスナショナル史の立場から第二帝政期ドイツ史を再考する新しい研究を検討する。
 
西洋史特殊研究Ⅱ
​近年のヨーロッパ史研究において、19/20世紀転換期をグローバル化が最高段階に入った初期の時点として捉え、トランスナショナルな視点から一国史的枠組みを乗り越えようとするものがあらわれている。この授業では参加者と一緒に欧文研究文献を読み、19/20世紀転換期ヨーロッパにおける越境的犯罪と警察組織の国際化を切り口としてトランスナショナル史研究を検討する。
 
西洋史特殊研究Ⅱ演習
この授業では、参加者と一緒に研究文献(Jens Jager, Verfolgung durch Verwaltung.Internationales Verbrechen und internationale Polizeikooperation 1880-1933, Konstanz, 2006)を読み、19/20世紀転換期ヨーロッパにおける犯罪と警察組織の国際化について考察する。また、博士論文作成に向けての指導も行う。