2022.03.29 Tue
生物科学科トピックス一覧

【生物科学科・海洋生物コース】多彩な研究成果を発表・卒業研究発表会

2月9日(水)、4号館で理工学部生物科学科・海洋生物コースの卒業研究発表会が開催されました。
BI卒研スライド▲発表者のスライド

  当日は4年次23名が発表し、質疑応答が行われました。 
この様子は、生物科学科のブログでも紹介されています。

主な発表タイトルは、以下の通り。
・太田研究室  ミズクラゲのエフィラとポリプに対するカワハギ稚魚の摂餌について
・太田研究室  石巻沿岸域における繊毛虫群集組成の季節変化-簡易図鑑作成に向けて-
・太田研究室  スギ花粉はシオダマリミジンコの生残、生殖、次世代にどのような影響を及ぼすか?
・角田研究室  熟成魚刺身の旨味成分分析と安全性
・角田研究室  異なる海域で捕獲されたハタハタ卵色の違いとその原因に関する研究
・角田研究室  照明がイソギンチャクの行動に及ぼす影響
・佐々木研究室 大鳥池のタキタロウとは?―謎の大型魚の正体に迫る―
・佐々木研究室 数理モデルで推測された有毒渦鞭毛藻Alexandrium tamarense 現存量の急減要因
・松谷研究室  マガキへの風味付加法の検討
・松谷研究室  ムラサキガイに対するワカメの茎とアカモク葉状部の餌料効果
・渡辺研究室  日本のデータから読み解く新型コロナのワクチン効果:修正版SIRモデルを用いた数理的解析
【発表した学生へインタビュー】
■大橋さん(理工学部生物科学科4年次・宮城県石巻北高校出身)
BI大橋さん▲発表を行う大橋さん
・卒業研究のテーマ・研究内容を教えてください。
テーマ:石巻沿岸域における繊毛虫群集組成の季節変化-簡易図鑑作成に向けて-
 繊毛虫というプランクトンが石巻の海にどんな種がどのくらい出現するのか、また季節によりどう変化するのかを研究しました。その結果から石巻の海に出現する繊毛虫の簡易図鑑を作成しました。
・なぜそのテーマを選びましたか?
 繊毛虫は海洋食物連鎖のなかで重要な役割を果たしており、どの海域でも出現します。しかし種同定が難しく、手間のかかる染色が必要であったり実用的な分類図鑑がないため、詳細な出現情報が極めて少ないです。そのことを受け、まずは身近な石巻の海にいる繊毛虫の情報を明らかにし、誰でも利用しやすい簡易図鑑を作成することで他の研究の役にも立つことが出来たらと思い、本テーマを選びました。
・ 卒業研究で判明したこと、理解が深まったことを教えてください。
 石巻漁港において、繊毛虫の出現量は高水温低塩分の夏季に最大になることがわかりました。石巻漁港は北上川の淡水も流れ着くため、淡水の流量が増加し夏に塩分が低くなったと考えています。また、基本的には小型の繊毛虫(10-20㎛)が多く出現していましたが、夏季になると比較的大型の繊毛虫(50㎛以上)も増加することがわかりました。
・卒業研究で苦労した点を教えてください。
 一番苦労したのは染色処理です。丁寧かつスピーディに行わなければいけなく、様々な工程があったため大変でした。1つのサンプルの染色処理を始めてから実際に顕微鏡で検鏡できるようになるまで最低でも4日はかかるため、とても時間がかかりました。
・大学生活4年間で成長を実感していることを教えてください。
 何かに取り組む際、先を見据え、道筋を立てて考えることができるようになったと思います。
・卒業後の目標を教えてください。
 就職活動では研究室の太田先生にエントリーシート見ていただくなど、本当に手厚くご指導していただきました。社会人になっても大学生活で学んだことを活かしつつ、新たな知識をたくさん吸収して今よりもパワーアップできたらいいなと思います。




【発表した学生へインタビュー】
■川内さん(理工学部生物科学科4年次・宮城県仙台第一高校出身)

BI川内さん▲発表を行う川内さん
・卒業研究のテーマ・研究内容を教えてください。
テーマ:数理モデルで推測された有毒渦鞭毛藻Alexandrium tamarense 現存量の急減要因
 有毒渦鞭毛藻であるAlexandrium属は春から夏にかけて大量発生しますが、減少の要因は解明されておりません。シスト形成(休眠)に注目し、数理モデルを作成することで、荻浜湾におけるAlexandrium属の消長の要因を推定しました。
・なぜそのテーマを選びましたか?
 石巻市はホタテやカキなどの養殖が盛んですが、Alexandrium属の大量発生により出荷に制限がかかることがあります。Alexandrium属のメカニズムを解明することで、貝毒の発生の予測ができると考えました。
・卒業研究で判明したこと、理解が深まったことを教えてください。
 荻浜湾では、水温、塩分濃度などの環境要因によってAlexandrium属の減少の説明ができないことが判明しました。また、シスト形成と捕食によってAlexandrim属の減少の説明ができたことから、シスト形成は消長の大きな要因になっている可能性があることが判明しました。
・卒業研究で苦労した点を教えてください。
 数式を一から作ることの難しさを実感しました。何が正しいか間違っているかも分からない状況で試行錯誤することに不安を抱えながら、一方で楽しいと感じながら研究に挑みました。
・大学生活4年間で成長を実感していることを教えてください。
 一つの学問分野が、他の分野に深く関わっていることに気付きました。今後も多角的な視点を持って物事を考えられるような社会人を目指したいと思います。
・卒業後の目標を教えてください。
 中学校の理科の教員を目指しています。大学で培った経験をもとに、理科の楽しさを伝えられるような教員になりたいと考えています。

 
 
   
「動物コース」の卒業研究発表の様子はこちら
  ◆
「植物コース」の卒業研究発表の様子はこちら