専大日語・コラム
専大日語の教員による、月替わりのコラムです。
2019年4月:声優とナレーターの日本語
「声優」が大人気だそうです、今。
日本のアニメが大好きで日本語の学習を始めた、という学習者が海外には多くいます。アニメを見て独学しました、という人も。
巷で人気の声優さんは、アニメの声だけではなく、最近では歌ったり踊ったり、アイドル的な側面も必要だということで、見た目も大事だそうですが、今回は本来の「声」に着目してみたいと思います。
声優とは、そもそも俳優なので、演技が重要。そして、その一部として、アニメなどではキャラクターに合わせた、いわゆるキャラクターボイスも。
ときどき、留学生の日本語クラスでは、
学生「りょうかい~!」(キャラクターボイス、例えばピカチュウの声で・・・)
海外の日本語クラスでこのようなこともありました。
学生「majika, shine!」(シャイン、ではなく、死ね)
教師 “Do you know what you said?”
学生 “Subtitle said no way.”
音声的にも、語彙的にも、キャラクターボイスや、前回のコラムに出てきたような「役割語」がふんだんに用いられているアニメを素材や到達目標にすると、実は困ったことが出てくるというのが、日本語教育の場面ではよくあります。
一方、「ナレーション」という声を使った表現も注目できます。
ナレーションは、映像の解説をするものや、音声による説明をする録音を付ける仕事があげられます。テレビ番組では、最近、ナレーションが使用されているものが多く見られます。また、お風呂の湯沸かしが完了すると「お湯が沸きました」などと音声で知らせてくれるものも、プロのナレーターの録音です。ナレーターは、基本的には演技はしません。表現する日本語です。
では、どのように違うのか、ということを体験するために、私のゼミでは、1月にはプロの声優でありナレーターの仕事もしている岩居由希子さんに来ていただき、その声の違いや練習の違いなどについて講義をしていただきました。岩居由希子さんは、「名探偵コナン」で吉田歩美ちゃんを演じています。 さらに、声優がどのようにアフレコをするのか、ということを、本物の台本や映像を使って、マイクワークも含めて体験させてもらいました。
今年度は、「役割語とアニメの台詞」というテーマで岩居由希子さんに協力いただき、日本語学科の阿部貴人先生(社会言語学)とともに、秋に神田校舎で公開講座をおこなう予定です。