2025.01.31 Fri
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熊本・玉名市で社会知性フォーラム
「やさしい日本語」で観光・防災考える

20250131社会知性フォーラム_01▲「やさしい日本語」をテーマに開催された社会知性フォーラム
専修大学の研究力、教育力を発信する「社会知性フォーラム」(専修大学、専修大学熊本玉名高校主催、玉名市共催)が12月7日、熊本県玉名市の玉名市民会館で開催された。
2年ぶり5回目となる玉名市での開催で、今回のテーマは「『やさしい日本語』で伝えよう―玉名の観光と防災―」。高校生や市民ら約470人が参加し、日本全国でインバウンドが増加する中、外国人にも分かりやすい「やさしい日本語」について、理解を深めた。

佐々木重人学長、藏原隆浩市長のあいさつに続き、玉名市産業経済部観光物産課主査の髙田千織さんが同市のインバウンドの現状と課題を解説した。髙田さんは、「2024年の玉名市内における外国人宿泊客数は9月末時点で4,623人となっており、既に昨年1年間の宿泊者数を超えている。特に台湾からの来訪が多い」との現状を踏まえ、玉名市のアピールポイントをあげるとともに、外国人旅行者向けの案内表示の不足など、課題を伝えた。

続いて登壇した本学国際コミュニケーション学部の阿部貴人准教授の専門は社会言語学。ゼミでは、「やさしい日本語」を使用した避難所運営ゲームを作成し、日本語学校や小学校に貸し出しを行っている。
阿部准教授は、「『やさしい日本語』が注目されるようになったのは阪神・淡路大震災がきっかけ。ことばによる情報伝達の差が問題となった」と指摘した。英語による情報提供、AIや翻訳アプリによる伝達でも不十分だとし、「国籍も言語も異なる多くの外国人被災者に、『迅速に』『正確に』『簡潔に』伝えるツールとして、簡単な日本語による情報提供が、現状では最も効果が大きい」と語った。

「やさしい日本語」で書かれた文章を表示し、クイズ形式で表記の特徴を説明。「分かち書きをする」「カタカナ語や外来語は使わない」「フォントは教科書体を使用する」など、基本的なルールを紹介した。最後に、「あなたにとっての当たり前は、誰かにとっての当たり前ではないのかもしれない。グローバル化が進む現在、『やさしい日本語』がより一層大切になってくる」とまとめた。

阿部准教授は2024年5月から約半年間にわたって専大熊本高の生徒を対象にオンライン授業を行っており、生徒7人が取り組み成果を発表した。生徒たちは、市地震防災マップの非常持出品ページと、市観光パンフレットの特集ページの「やさしい日本語」化に取り組んだ。完成した文章を表示しつつ、「どのような言葉で表すのか、誰が見ても伝わるものを考えながら文を作ることが大切だと思った」と気づきを報告した。

講演の合間には、同高吹奏楽部VENTURESによるマーチング演奏も行われ、フォーラムを盛り上げた。
20250131社会知性フォーラム_02▲佐々木学長
20250131社会知性フォーラム_03▲藏原市長
20250131社会知性フォーラム_04 ▲髙田氏
20250131社会知性フォーラム_05▲「やさしい日本語」化したパンフレットを示しながら
解説する生徒たち
20250131社会知性フォーラム_06▲フォーラムを盛り上げた吹奏楽部の演奏
20250131社会知性フォーラム_08▲阿部准教授(左から4人目)の指導を受けながら
「やさしい日本語」を学んだ生徒たち

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