2024.05.21 Tue
ONLINETOPICS

経済学部公開講座 5年ぶりに対面開催
低迷続く日本経済の課題と対策を解説

20240520経済学部公開講座_01▲日本経済の動向に関心を寄せる多くの受講者が聴講した
「低成長と人口減少に立ち向かう日本経済」を共通テーマにした経済学部公開講座が生田キャンパスで始まった。低迷が続く日本経済の課題や対応について、6教員がマクロ経済、財政、金融、産業、地域、家計など多角的な側面から論じる。

初回の5月11日は、日本経済論が専門の櫻井宏二郎教授が「人口減少と少子高齢化の影響」と題して講義を行った。全6回からなる公開講座の導入的位置づけで、今年度のテーマを深く学ぶうえで必要な視座を提供した。コロナ禍を挟んで5年ぶりの対面開催ということもあり、約70人の受講者が足を運び、熱心に聴講した。

50年後の日本の総人口は、現在の7割まで減少すると見込まれている。講義前半は、さまざまな統計や予測に基づき人口の推移を確認。人口減少によって、今後のGDP成長率、一人当たりGDP成長率、経済構造がどのような影響を受けるかについて解説した。

後半は少子化に焦点を当て、その要因と対策に言及した。OECD13カ国を対象にした研究によると、女性の労働力率と合計特殊出生率は、1980年には負の相関関係にあったが、現在は正の相関関係に転じている。櫻井教授は、ワークライフ・バランス施策や家族政策を積極的に進めて出生率を回復させた欧州の例を引き、日本においても「女性の就業と子育ての両立支援、経済的支援や夫の育児参加が望まれる」と指摘。「粘り強く少子化対策に取り組むとともに、人口減少・少子高齢化を前提に社会や制度を設計する必要がある」と結んだ。

質疑応答の時間には、人口減少社会を踏まえ、移民政策や高齢者の就労などに関して鋭い質問や発言があり、活気あふれる公開講座となった。
20240520経済学部公開講座_02▲人口減少社会の課題と対策を解説する櫻井教授
20240520経済学部公開講座_03▲5年ぶりの対面開催。活発な質疑応答が行われた

関連情報