2023.10.17 Tue
ONLINETOPICS

千代田学 上映とトーク
「舩橋淳『谷中暮色』を見て考える」開催

20231016千代田学_01
映画鑑賞と監督による解説を通して、ドキュメンタリー作品の意義を探る「人の街を撮る難しさ 舩橋淳『谷中暮色』を見て考える」が9月30日、神田キャンパス10号館黒門ホールで開催された。

この企画は、2023年度の千代田学に採択された「文化的多様性を持つ千代田区の国際性に関する調査・研究――千代田区の街と人をめぐるフィールドワークとそのドキュメンタリー映像の制作」(研究代表:土屋昌明国際コミュニケーション学部教授)の一環。区の国際性や多様性を街歩きをベースに探り、映像として記録することを目指している。
今回のイベント開催にあたり、土屋教授は「今年度の千代田学では、学生と一緒に区民に話を聞き、そこにある生活を知り、多くの人と共有していきたいと考えている。今回上映する作品は台東区・谷中が舞台だが、千代田区に置き換え、活動のヒントにしたい」と意図を語った。

上映された『谷中暮色』(2009年公開)は、江戸時代から昭和まで存在した谷中五重塔の再建運動や、そこに暮らす人々のインタビューなどのドキュメンタリーと、若者の恋物語を描いたフィクションが融合した作品。映画の撮影を通して、谷中五重塔の焼失の実際の映像が発見され、この映画のラストシーンを飾った。監督を務めた舩橋国際コミュニケーション学部客員教授は「五重塔の思い出話を聞くことで、当時の街の様子が見えてきた。そこにはコミュニティがあり、塔がそれを表象する存在だったことが分かる」と撮影時のエピソードを交えながら解説した。

「ドキュメンタリー映像は住民の思いを一つにまとめて伝えるものでもある。日々の生活でスルーしてしまうようなことも映像にとどめることが必要だ。また、コミュニティを撮影し、上映することは、地域が抱える問題を語り合うきっかけにもなる」とまとめた。
中国語ドキュメンタリーの研究に取り組む土屋ゼミの3年次生は、「ドキュメンタリー作品にストーリー性を持たせるという手法が面白かった。今後、作品を作るうえでの参考にしたい」と話した。
20231016千代田学_02▲撮影時のエピソードを交えながら解説する舩橋客員教授
20231016千代田学_03▲来場者と活発な意見交換が行われた

関連情報