2023.05.23 Tue
ONLINETOPICS

経済学部公開講座 グローバル経済の実像示す
初回は「ウクライナ戦争と世界の食料需給」


「グローバル経済像の再構築」を共通テーマにした経済学部公開講座(全6回)が5~6月、オンラインで開かれている。6人の講師陣が、新たな金融技術やアジア・アフリカ諸国の動向など多様なテーマを取り上げ、現代におけるグローバル経済の実像をダイナミックに提示する。

初回の5月13日は、ロシア経済が専門の野部公一教授が「ウクライナ戦争と世界の食料需給」と題して講演。ロシアとウクライナの農産物生産・貿易の変遷をひも解き、経済のグローバル化がもたらす影響や今後の展望について語った。
20230523経済学部公開講座_TOPICS01▲ロシアとウクライナの小麦輸出先の
特徴について説明する野部教授
世界有数の穀物輸入国であったソビエト連邦を構成していたロシアとウクライナは、計画経済の崩壊を機に広大な農地と肥沃な黒土を生かして土地利用型農業を推進。2010年代以降、収穫量を大きく増やした。野部教授は、両国の農産物貿易に関するさまざまなデータを紹介し、「世界有数の穀物輸出国が誕生したことは、経済のグローバル化による光の側面」と述べた。
一方、両国の工業は衰退。その状況を「国民経済の原始化」とし、経済のグローバル化による影の側面だと指摘。また、ロシアによる穀物禁輸が「アラブの春」の引き金となった歴史に触れ、新興穀物輸出国誕生に伴うリスクについても説明した。

最後に、今後の展望として、小麦とトウモロコシの全世界輸出量予測のデータを示したうえで、「日本についても現状に即した食料安全保障政策が求められている」と結んだ。

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