2022.06.02 Thu
ONLINETOPICS

経済学部公開講座
社会経済とマイノリティ 6教員が多角的に解説

20220602経済学部公開講座▲各国の最低賃金水準について説明する山縣准教授
「社会経済と『マイノリティ』の問題」を共通テーマにした経済学部公開講座(全6回)が5~6月、オンラインで開かれている。移民、非正規雇用労働者、女性、LGBTQなど、マイノリティと見なされてきた人々の存在なしに私たちの社会経済は成立しないとして、講座では、マイノリティの問題を現在の状況と過去の経験から捉え直し、あるべき社会経済像やそこに向けての課題を多角的に提示した。

第2回の5月21日は、労使関係論が専門の山縣宏寿准教授が「非正規雇用と最低賃金」と題して講演。最低賃金の今後の方向性について問題提起を行った。身近で関心の高いテーマとあって、100人を超える参加者が聴講した。
経済学では長く、「最低賃金の上昇は失業を増加させるものであり、社会にとって必ずしも望ましいものではない」とする考えが主流であったが、90年代以降、それに異を唱える研究が次々と発表された。こうした背景を踏まえたうえで山縣准教授は、日本の労働政策において最低賃金がどのように位置づけられてきたかを解説。正社員と専業主婦からなる家族モデルを前提にした従来の労働政策では、非正規雇用や最低賃金の問題に対応できないと指摘した。

また、日本の最低賃金が国際的に見ても低い水準にある一方で、大企業の内部留保は急伸しているとのデータを紹介。「最低賃金の問題を考える際には、社会全体で生み出されている富の分配という視点が重要である」と論じた。

関連情報