2022.03.24 Thu
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2021年度卒業式・学位記授与式
感染症対策を徹底 日本武道館で挙行

壇上
2021年度の専修大学卒業式・学位記授与式が3月22日、東京都千代田区の日本武道館で行われた。新型コロナウイルスの感染症拡大を防ぐため、昨年度に引き続き、午前と午後の2部制で実施した。

学部(一部・二部)卒業生は4028人、大学院修了生82人、法科大学院修了生10人。式では佐々木重人学長が各学部総代に学位記を授与。優れた成績を収めた学生に与えられる川島記念賞(学術賞・体育賞・奨励賞)では、45人が表彰された。
謝辞・難波さん「大学で得た財産を生かして社会に貢献していく」と誓った総代謝辞の難波さん(午前の部)
佐々木学長は式辞で、「コロナ禍での2年間を経て思うことは、持続可能な社会を作り上げることがいかに重要かということ。皆さんも問題意識を持ち続けてほしい。これこそが『社会知性の開発』の実践にほかならない」と述べた。

松木健一理事長は「本学で身につけた知力と人間力をもって、社会の屋台骨を支える人材として活躍してほしい」と祝辞を述べた。日髙義博総長は「自分の価値観を大事にし、社会に出て専修人として活躍することを期待している」と激励した。

午前の部(経済・法・経営・大学院経済学研究科・同法学研究科・同経営学研究科・法科大学院)で総代謝辞を述べたのは難波健太さん(経済)。「4年間の学びの中で、知識の量だけでは測れない力を身につけ、高めていった。自分自身を奮い立たせてくれた専修大学での日々と、今持つ揺るぎない決意を決して忘れない。大学で得た財産を最大限に生かし、社会に貢献していく」と誓った。
午後の部(商・文・ネット情報・人間科学・大学院文学研究科・同商学研究科)の総代謝辞の島野蘭さん(文)は、英語英米文学科で学んだ日々を「学生同士や留学生との交流が豊富にあり、世界の一員として、物事を広く考えるようになった」と振り返った。コロナ禍で学生生活の半分は想像すらしなかったものとなったが、「後悔しないよう、できるだけ実りあるものにしようと、講義やゼミ、進路活動で努力した」と語った。
当日は、雪も舞う冬のような一日となったが、学位記を受け取った卒業生・修了生は、晴れやかな表情で、新たな一歩を踏み出していた。

感染防止の観点から、ご父母・保護者の出席は見送られ、参列者には検温や消毒を徹底。式の様子はライブ配信され、引き続き本学ホームページで公開している。
謝辞・島野さん「物事を広く考えるようになった」と専大での日々を振り返った総代謝辞の島野さん(午後の部)

佐々木重人学長式辞

佐々木学長
本日、専修大学の学部・大学院・法科大学院それぞれの課程を修了し、学位を取得された皆さん、ご卒業おめでとうございます。

本日から「まん延防止等重点措置」が解除されたのですが、保護者の皆さまには、感染防止対策上、大事をとって、この会場にご臨席いただけないこととなり、誠に申し訳なく存じます。ライブ配信越しではありますが、この場を借りて、保護者の皆様に、謹んでお慶びを申し上げますとともに、コロナ禍での本学の教育活動に物心両面でお力添えいただきましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。

学部卒業生の皆さんは、ご卒業にあたり、本学に入学した2018年度からの4年間を、どのように振り返っていらっしゃるでしょうか。本学は、一教員としての私個人の経験から申し上げても、これほど大きな起伏を伴った年月を経験することは近年極めて稀でありました。これは、予定した出来事と予期せぬ出来事が同時に発生し、しばしば我々を翻弄させた期間でもありました。
予定した出来事とは、学部卒業生の皆さんが入学した年からの2年間に集約できます。私は、皆さんの本学入学に際して、「在学中、大きく変化する専修大学」を体験できるとお伝えしました。その意図は、2020年の本学創立140周年に向けた学部・学科の新設・再編・移転と神田10号館の新築による新しい教育インフラづくりを一緒に体感してほしいという思いにありました。また、本学は、それらを基盤として、本学の21世紀ビジョン「社会知性の開発」の見える化のため、SDGsの実現に向けて積極的に取り組むと宣言いたしました。
 
ところが、その2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、直前の卒業式や直後の入学式の中止、新入生オリエンテーション・ガイダンスや授業の対面実施ができないという現実に直面しながら始まりました。特に授業を対面形式に代えて、オンライン形式で行うため、教職員の力を総動員いたしましたが、当初の授業開始日から約1カ月間を要しました。当時は、国全体のインターネット通信容量が脆弱で、いわゆるデータダイエットの必要性、すなわち同時双方向型授業は最低限にすることが大学に求められておりました。しかも、教員のほとんどがオンライン授業の経験はございませんでした。とにもかくにも授業を始めなければという思いだけで、スタートした予期せぬ新学期となりました。その際、皆さんには、オンライン授業の受講を巡って、さまざまなストレスを与えてしまったと思います。この場を借りて、お詫びしたいと思います。
現在のところ、来年度は、感染防止対策を踏まえ、全授業の約9割を対面形式で行い、残りは、オンライン形式での授業を有効に活用することにしております。
 
コロナ禍での2年間を経て思うことは、教育活動以外でも、経済・社会・文化・スポーツ活動等の維持のため、人々が懸命に努力している姿を見て、改めて「持続可能な社会」を創り上げることがいかに重要で喫緊の課題であるかということでした。これから社会人としてのキャリアを始める皆さんにもこの問題意識をぜひ持ち続けていただきたいと思います。それは、職場に限らず、家族や地域を継続的に維持発展させるための創意工夫を他者とも協力して行おうというマインドを持ち続けることだと思います。これこそが「社会知性の開発」の実践にほかなりません。
 
「質実剛健」および「誠実力行」は、本学の学風とされますが、それは、何事にも自分らしく自然体で、心身を鍛えながら、誠実に人生を歩むという誓いが込められております。昨年末、ある雑誌の取材を受けた際に、専修大学の生き残り戦略は何かという質問を受けました。私はこの問いに、「活躍する卒業生の姿を見せること」と答えました。ぜひ、本学で学んだことにプライドを持って、堂々と楽しく人生を歩んでください。
 
SDGs目標16は、「平和と公正をすべての人に」でありますが、今、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により無辜の市民の命が奪われている悲劇を一刻も早く止め、世界の持続可能性のために何をしなければならないかを考える必要性を訴えたいと思います。世界が最も期待するのは、国連の安全保障理事会の役割にあります。ただし、現状、それが機能不全に陥っているかに見えるのは、残念であり、大きな課題と言えましょう。一日も早く、ウクライナにまた平和が戻ることを祈りつつ、学長式辞といたします。
 
令和4年3月22日
専修大学 学長 佐々木 重人

学部長メッセージ

経済学部長 兵頭 淳史
卒業は人生の大きな節目であり、多くの皆さんはここで学生生活を完結させます。しかし大学の卒業は学生生活の区切りではあっても、学ぶことの終点ではありません。社会と時代はいよいよ混迷の度を深めつつありますが、こうした状況のもとでこそ、「空気」や情緒に押し流されることなく、自身と社会にとって合理的で適切な選択や判断を行ってゆくことは何より大切です。
そのためにも、本学で学んだことを基盤として、さらに学び続けてください。皆さんの母校・専修大学は、これからも続く学びの旅のなかで、いつでも立ち寄れる「母港」でありたいと願っています。
法学部長 田邊 宏康
ご卒業おめでとうございます。
法学部を卒業した皆さんは、「法学士」または「政治学士」として社会に出ます。昔は、大学を卒業すれば、「学士様」などと言われていましたが、今後の人生で「学士」であることを意識する場面はあまりないかもしれません。
しかし、皆さんは、実際に数年間専修大学に通い、十分に学問の世界に触れています。その経験は、決して消えるものではありません。「学士」であることを意識しなくても、学問は勝手に皆さんの中に根付いています。
社会は厳しいですが、皆さんはそこで生き抜く力を持っています。自信を持って社会に羽ばたいてください。
経営学部長 関根 純
社会に出るとさまざまな能力を期待されます。仕事を覚えることがまず最初でしょうが、それとともに、想像力を身につけてほしいと考えています。創造力も重要でしょうが想像力です。
仕事はどんな段取りで進めどこにリスクがあるのか、上司ならどう考えるか、お客さんはこの提案にどう反応するか、そして自分は将来どうあるべきかまで、可能な限りこれを想像することで、全体像が見え、人より一歩先んじた行動につながります。
全てを想像できるほど世の中は甘くありませんが、日ごろから想像に基づき能動的に行動すればそれだけ成長にもつながります。自ら頭を使って道を切り開き、ご活躍できることを祈念しております。
商学部長 石原 裕也
ご卒業おめでとうございます。今なお続く新型コロナウイルスの猛威のために、皆さんの大学生活は大きく様変わりし、失われたものも多かったかもしれません。しかしその半面、皆さんはこれまでの大学生とは異なる能力と可能性をもって社会に翔び立とうとしています。
これから向かう社会では、これまで以上の変化と驚きが待ち受けています。大切なのは、そうした環境に学ぶしなやかさと、そのような中でも自分を見失わない頑固さではないかと思います。しなやか頑固で素敵な人生を、そしてそれにちょっと疲れたときには大学に羽を休めに来てください。これからは専修大学が皆さんにとっての「母校」なのですから。
文学部長 高岡 貞夫
コロナと過ごしたこの2年間は、学問をする目的を自問する機会になったかもしれません。皆さんが文学部で学んだ分野は、医学のように人の命を直接救うものではありませんが、このような時にこそ必要とされる、人の心を豊かにする学問です。医学の進歩は著しいですが、文学部で学んだことは時を経ても古くはならず、むしろ社会で歩んでいく中で反芻され、咀嚼され、徐々に深まっていくような知であります。学士となった皆さんは、これからも一生かけて自分の知的好奇心を膨らませる旅を続けることができます。強いられることはないしテストもない。好きなことを好きなだけマイペースで探求する旅は、なんと楽しいことでありましょう。どうぞよい旅を。
ネットワーク情報学部長 飯田 周作
皆さん、卒業おめでとうございます。今この時期、皆さんの心は新天地への期待に満ちていることと思います。我々教員も毎年その気持ちを共有できることに大きな喜びを感じています。
情報学は社会のあらゆる場所における共通の知識基盤となりました。皆さんは情報学の専門家として新しいスタートを切ります。しかし、それは例えて言えばロケットの1段目にすぎません。急速に進歩を続ける情報化社会において社会に貢献し続けるためには、2段目、3段目の推進力を用意する必要があります。
皆さんが大学で体験された学ぶことの楽しさが、人生の水先案内となることを心から願っています。
人間科学部長 嶋根 克己
皆さん、ご卒業おめでとうございます。この2年間、私たちの生活はコロナ禍のために試練の連続でした。また世界全体を見渡してみても、自然環境の激変、国際政治の混迷、世界経済の停滞など、まったく先行きの読めない事柄が続いています。J.ダイアモンドのいう「激動」(upheaval)の時代に人類社会は直面しているのかもしれません。
世界が激動する中で、至急に解決しなければならない正解のない課題が突き付けられています。皆さんにとってそれはチャンスです。専修大学で培った「社会知性」が解決策を暗示してくれるはずだからです。皆様に明るい希望がありますように。

大学院研究科長・法科大学院長メッセージ

経済学研究科長 遠山 浩
大学院の課程を修了し修士または博士号を取得された皆さん、研究科を代表し心からお祝い申し上げます。
修了したこの日は「終わりでなく始まり」の日です。
研鑽を積み取得した学位を活かすのはこれからのあなた自身の真摯な姿勢、取り組みです。 学位に示された専門性を土台に、さらに高みを目指し研鑽を怠りなく進めていくことが、この学位を取得するために費やしてきたご自身の努力に報いる唯一の道、真の差別化への道です。
今日を始まりに、大学院で学んだ日々を忘れず、さらなる活躍の場へ踏み出されることを教職員一同願っています。
法学研究科長 内藤 光博
修了生の皆さん、学位の取得、誠におめでとうございます。これまでの努力に敬意を表するとともに、心からお祝い申し上げます。
皆さんは、学問研究の奥深さ厳しさを目の当たりにして、不断の研鑽の重要性を痛感するとともに、さらなる研究意欲をかき立てられたことと思います。
21世紀の現在、世界的な新型コロナ感染拡大や国際社会における深刻な諸問題に代表されるように、私たちの前には、これまで予想もしなかった解決困難な諸課題が山積しています。
皆さんには、大学院での研究で培った知見をもとに、世界の平和と人々の幸福の実現に向け、新たな知の創出に果敢に挑戦していただきたいと思います。
皆さんの大きな飛躍をお祈りいたします!
文学研究科長 伊藤 博明
修士号・博士号を取得した皆さん、おめでとうございます。コロナ禍で研究活動が困難な情況のもと、修士論文・博士論文を書き上げられたことに、心から敬意を表します。
皆さんはこれから、さまざまな道を歩むことになります。引き続き研究を続ける方も、異なる環境で仕事に就く方もいるでしょう。しかし、いかなる境遇にあっても、皆さんが文学研究科で培った研究者のスピリットは必ずや力を発揮すると思います。
ラテン語で「カルペ・ディエム」(その日を摘め)という格言があります。「今という時を大切に使え」という意味です。皆さんには、日々、挑戦する人生を歩まれることを願っています。
経営学研究科長 馬塲 杉夫
修了おめでとう。この日を迎えることができたことを、心の底からうれしく思います。
ここにたどり着くまで、多くの困難があったことでしょう。テーマの設定、先行研究の渉猟・解釈・整理、仮説の構築、検証そのどれをとっても、当初は想像できなかった課題が潜んでいます。その壁を乗り越えた今、自身の成長を実感していると思います。
職業人生50年、今回乗り越えた課題以上の難題が立ちはだかります。壁をよじ登るか、穴をあけるか、回り込むか、避けるか、多くの選択肢が考えられます。論文執筆の経験は、その中から最も適切な道を選ぶことへ誘うでしょう。今後のますますの活躍を祈っています。
商学研究科長 小林 守
修了おめでとうございます。数年にわたって勉学に励んでこられたことは皆さんの知識や思考力だけでなく、人間力をも鍛えたのではないかと思います。今後の進路は皆さん一人一人違うことと思いますが、大学院で身につけた知的な能力と人間力で将来を切り開いていっていただきたいと思います。
世界の変化は激しく、そのまますぐに望むような将来につながらないかもしれません。時には迂回路を行く必要もあるでしょう。その時こそ人間力を発揮し、自分を信じて諦めず忍耐強く頑張っていただきたいと思います。
また、大学院生活で得た友人は宝です。大事にしていただきたいと思います。

法科大学院長 佐野 裕志
法務博士の学位を修得され、17期目の修了生となった皆さんに、スタッフ一同を代表して心からお祝いを申し上げます。
入学した頃と比べると、自分がいかに成長したかを実感できるでしょう。皆さんのほとんどは5月の試験のことで頭がいっぱいでしょうが、少しその先のことも考えてみて下さい。皆さんが目指している法律家は、人の不幸を正面から受け止める仕事がほとんどです。身につけた法的思考に基づき、事実を正確に踏まえたうえで、冷静で鋭利な分析をしなければならないことは当然ですが、それ以上に他人の不幸に共感できる温かい心が必要です。
このことを肝に銘じ、未来に向かって大きく羽ばたいていってください。

卒業生・修了生に贈る書

松尾治准教授揮毫「光」揮毫(きごう) 松尾治 文学部准教授(書家)
卒業生・修了生ならびに保護者の皆様おめでとうございます。
校歌の終盤に「我等が行く道 盤石なせり 我等が行く手は 光に充てり」と高らかに歌い上げる詞があります。「光」は、皆さんの前途を祝して書かせていただきました。
式典03
式典01
式後03
卒業式 黒門前
屋外04
屋外03