2021.03.24 Wed
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2020年度卒業式・学位記授与式
感染症対策を徹底 日本武道館で挙行

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2020年度の専修大学卒業式・学位記授与式が3月22日、東京都千代田区の日本武道館で行われた。午前と午後の2部制にして、感染防止のための対策を徹底して実施。学位記授与は武道館と神田キャンパスに分散して行った。

学部(一部・二部)卒業生は4206人、大学院修了生67人、法科大学院修了生12人。式では各総代に学位記を授与。優れた成績を収めた学生に与えられる川島記念賞では延べ47人が表彰された。
佐々木重人学長は式辞でこの1年を振り返り、「コロナ対策に苦闘していた本学を皆さんが鼓舞してくれた。卒業後もオンライン授業で身につけたスキルに磨きをかけ、それぞれの場所で活躍を続けてほしい」と述べた。

日高義博理事長は「大学生活で見つけた道を、確実に一歩ずつ歩んでほしい。自らが正しいと思った価値観を胸に、建学の精神を羅針盤に、社会の中に立ち、社会に貢献してもらいたい」と激励した。

午前の部(経済・法・経営・大学院経済学研究科・法学研究科・経営学研究科・法科大学院)で学部総代謝辞を述べたのは高橋未智さん(経営)。「多くの人と出会い、学びあった4年間は一生忘れられない貴重な時間。ここで培った考え抜く力と前に踏み出す力で、世の中に貢献できるよう精進していく」と誓った。
2020卒業式11▲「出会い、学びあった4年間は貴重な時間」と振り返る総代謝辞の高橋さん(午前の部)
pm▲「コロナ禍でも仲間との絆で困難を乗り越えることができた」と語る総代謝辞の坂井さん(午後の部)
午後の部(商・文・ネット情報・人間科学・大学院文学研究科・商学研究科)の学部総代謝辞の坂井恵実さん(人間科学)は、新型コロナウイルス感染症の影響で研究の修正を余儀なくされたが、「創意工夫し、仲間との強い絆で困難を乗り越えることができた。社会の変化に柔軟に対応できる力を4年間で身につけることができた」と語った。

今年度は感染防止のため、出席を卒業生と教職員に限定し、入場時には検温と手指消毒を行った。例年行ってきた専修大学フィルハーモニー管弦楽団の演奏や、校歌斉唱は中止された。式典の様子は、大学ホームページから配信された。

花曇りの下、スーツや袴にマスク姿の卒業生は、学位記を手に、笑顔で学び舎を後にした。

佐々木重人学長式辞

本日、専修大学の学部・大学院・法科大学院それぞれの課程を修了し、学位を取得された皆さん、ご卒業・修了おめでとうございます。

新型コロナウイルス感染症の拡大によって本学の行事や活動は、昨年から今日に至るまで大きな変更を伴いました。昨年度の卒業式、そして本年度の入学式は、中止を余儀なくされました。本日も保護者の方々には、感染防止対策上、本施設の収容人数を制限しなければならない事情から、ご臨席をいただけないことになり、誠に申し訳なく存じます。また、本年度の授業は、緊急事態宣言下のもとで、急遽、全面オンライン形式でスタートせざるを得ませんでした。これによって皆さんには、オンライン授業の受講に向けた環境整備等で、大きな負担をお掛けすることになりました。また大学キャンパスへの入構制限が行われたことで、論文作成や各種の国家試験、そして就職活動にラストスパートをかけようとしていた皆さんは、想定外の状況への対応に苦慮されたことと拝察しております。
2020卒業式12
昨年6月下旬から7月にかけて皆さんに「オンライン授業に関する学生アンケート調査」を行い、7307名から回答をいただきました。このアンケートでは、オンライン授業に対する皆さんからの忌憚のない意見を伺うため、自由記述欄も設けました。その結果、前期オンライン授業で具体的に改善すべき点や課題を把握することに役立つ有益な回答も多くいただき、後期の授業運営方針を決定する際の参考となりました。

他方、4年次生からいただいた回答のなかには、「オンライン授業の利点をうまく生かしていくことが重要だと思う」そして「この節約した時間をどう生かしていくかを自ら考えることが重要であり、この時期は、そのような意識付けを育てる良い機会だと考えている」という自らの気持ちを伝えてくれた回答もありました。私は後期の授業対応にあたり何が必要なのかを知りたい一心で、アンケート回答欄を大車輪で読んでいたのですが、この回答内容を読んだとき、一瞬、目の動きが止まり、何か少し、癒やされるような気持ちになったことを記憶しております。

学部を卒業される皆さんが本学に入学した2017年度入学式において、私は、当時取り組んでいた本学の創立140周年記念事業の内容を紹介し、専修大学の変革を、卒業する本日まで見届けてほしいとお願いしつつ、皆さんが決意した目標の実現に向かう気持ちも鼓舞したいと思いました。
しかし、新型コロナウイルス感染症対策で苦闘していた本学をアンケート回答により鼓舞してくれたのは、逆に皆さん達でした。あらためて皆さんのご理解とご協力に心から感謝申し上げます。

本学は、コロナ禍での教育研究活動に取り組む過程で、いろいろなことに気づかされる一年を過ごしました。
第一は、大学での学びとはなにかということです。大学での学びには、最初に共に学び、喜びや苦労も共有しあえる人同士が実際に出会えることが必要で、学生同士、教職員と学生との間でコミュニケーションを、人間の持てるあらゆる感覚を通じて確認することが必要であるということを再確認いたしました。学問とは、基本は孤独な作業によると思うのですが、同時に独立した個人と個人との間で行われる議論や情報交換を通じて互いを高めあう過程でもあると思うからです。それには、どうしても自由な意見を言い合える人間関係が成立していることが必要です。従って、入学した当初の1年次の学生には、特に対面を重視した教育環境が欠かせないと実感しました。一方、4年次の皆さんから寄せられたアンケートの回答には、オンライン授業の潜在的有用性を指摘してくれるケースが多くありました。私は、皆さんが、自分の意思を自由に伝えられる友人や先生との関係の存在を前提にして、以上のようなオンライン授業の評価をしてくれたと信じるとともに、卒業後もオンライン授業の受講で身につけたスキルにさらに磨きをかけて、これから皆さんがそれぞれ身を置く場所でも活躍を続けてほしいと願ってやみません。本学も、今後、このツールをベースとした新たな教育サービスの展開も可能となったと認識しております。

第二は、大学と学外環境との関係についてです。コロナ禍のなかで大学だけが、自己完結することは不可能で、大学は、その存在を持続させるためにも、学外の諸課題の解決に向けて積極的にコミットすることが求められております。本学の教育目標である「社会知性の開発」の一環として、本学はSDGsへの取り組みをより加速させていきたいと思います。皆さんも、ぜひこの意識を共有していただきたいと思います。

コロナ禍が、少しでも早く終息することを願いつつ、今後の皆さんのご活躍を心より祈念して学長式辞といたします。ご卒業おめでとうございました。


令和3年3月22日
専修大学 学長 佐々木 重人

学部長メッセージ



時代を生き抜く力に
経済学部長 兵頭 淳史
今年度卒業していく皆さんは、とりわけ不透明で困難な時代に船出をすることとなります。
そうしたなかで、本学でのさまざまな学びを通して身につけた方法と姿勢は、必ずやこの時代を生き抜く力となり、財産となるはずです。それはすなわち、的確な批判・検証を経た数量データ・史実などの根拠に基づく論理的な思考であり、人間の尊厳と社会・環境の持続可能性を重視・尊重する姿勢です。
これらは、いたずらな不安や根拠なき熱狂、権威主義・精神主義や根性論の迷妄から皆さんを守り、人生と社会にとって適切な選択をおこなっていくための指針となるでしょう。皆さんのこれからのご健康と、幸多き未来を心から祈念しております。
学生生活が「財産」に
法学部長 森川 幸一
ご卒業、おめでとうございます。皆さんが4年間の大学生活で得られたものは何だったでしょうか? ゼミナールやサークル活動で得られた友人や経験、講義を通じて得られた法律や政治の体系的な知識。特に卒業年次には、コロナ禍という未曽有の事態の中で、勉学や就職でさまざまな困難に直面し、それを乗り越えて今日を迎えられた方も多かったと想像します。それらすべては皆さんにとっての貴重な財産です。
そこで育まれた、ものの見方や考え方、他人の考えを理解し自分の考えを的確に伝える術は、きっとこれから皆さんの助けになるはずです。それらを最大限に活かして、それぞれの途で大いにご活躍ください。
重要なのは〝想像力〟
経営学部長 関根 純 
社会に出るとさまざまな能力を期待されますが、一つ身につけてほしいと思うのは想像力です。創造力も重要ですが想像力です。
仕事はどんな段取りで進めどこにリスクがあるか、上司ならどう考えるか、お客さんはこの提案にどう反応するか、競合他社はどういう手を打ってくるか、そして将来自分はどうあるべきかまで、可能な限りこれを想像してそれにどう対応するかを考えておくことが、人より一歩先んじた行動につながります。
全てを予測できるほど世の中は甘くはないかもしれませんが、日ごろから能動的に行動するマインドをもつことが成長につながります。自ら頭を使って道を切り開き、ご活躍されることを祈念しております。
学び続ける習慣こそ
商学部長 渡辺 達朗
皆さん、卒業おめでとうございます。これまで当然のこととして繰り返された日常が、当然でなくなること。そんな人生で何度もあってほしくない場面に、皆さんは学生生活最後の年に直面することとなり、見事乗り越え、社会に飛び立とうとしています。
その過程でDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ばれる新しい技術に対応した自己変革が求められたと思います。世界全体の不確実性が高まる中、皆さんにはさらなる困難がさまざま待ち受けているでしょう。それらを乗り越えるために、学び続ける習慣をぜひ身につけてください。
苦しい時には、商学部でともに学んだ仲間や教職員を思い出し、充実した人生を切り開いてください。
知的好奇心満たす旅へ
文学部長 高岡 貞夫
コロナ禍の中での卒業となりました。皆さんが文学部で学んだ分野は、医学のように人の命を直接救えるものではありませんが、このような時にこそ必要とされる、人の心を豊かにする学問であります。医学や工学の進歩は著しいですが、文学部で学んだことは時を経ても意外と古くはならず、むしろ、社会で歩んでいく中で反芻され、咀嚼され、徐々に深まっていくような知であります。
学士となった皆さんは、これからも一生かけて自分の知的好奇心を膨らませる旅を続けることができます。強いられることはないしテストもない。好きなことを好きなだけマイペースで探求する旅は、なんと楽しいことでありましょう。どうぞよい旅を。
未来に思索が活きる
ネットワーク情報学部長 松永 賢次
日本のインターネットの黎明期であった30年ほど前、大学の研究室で「将来、大学には誰も来なくなって、サーバだけが置かれているのかな」と仲間と語り合っていました。本当にそのような状況になってしまった一年前、そのときの風景を思い出しました。大学時代のさまざまな思索が現実になって、役立つことがあるのだと思いました。
皆さんも、ネットワーク情報学部での学びの中で、その場での成果を求めるだけではなく、将来のICT社会がどうなるか想像してきたと思います。卒業後、それが活きるときがやって来るでしょう。そのときには、一緒に学んだ仲間に、そして現役の学生たちに話をしてほしいと思います。
思考を積み重ねよう
人間科学部長 嶋根 克己
皆さん、ご卒業おめでとうございます。学校制度での長い学業修得の時期を終え、明日からは学んだことを実践していくと同時に、自ら学び続ける歳月が続いていくことでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大は皆さんの大学生活の最後に大きな影響を与えました。そして今後の人間や社会のありようも大きく変えることでしょう。皆さんはこれからは「正解のない時代」を生きていかねばなりません。そのためには事実に基づいた思考を積み重ねることによって、自分なりの解決策を見いだすことを切に願います。
自ら学び考えること、それこそが学業生活の総仕上げとして専修大学で学んだ力だと思うからです。


大学院研究科長・法科大学院長メッセージ

研鑽進め次の高みへ
経済学研究科長 遠山 浩 
大学院の課程を修了し修士または博士号を取得された皆さん、研究科を代表し心からお祝い申し上げます。
修了したこの日は「終わりでなく始まり」の日です。
研鑽を積み取得した学位を活かすのはこれからのあなた自身の真摯な姿勢、取り組みです。学位に示された専門性を土台に、さらに高みを目指し研鑽を怠りなく進めていくことが、この学位を取得するために費やしてきたご自身の努力に報いる唯一の道、真の差別化への道です。
今日を始まりに、大学院で学んだ日々を忘れず、さらなる活躍の場へ踏み出されることを教職員一同願っています。
大志抱き人間力を培おう
法学研究科長 増田 英敏
大学院修士課程・博士課程の修了、おめでとうございます。修士論文・博士論文を見事に完成させた皆さんを誇らしく思います。
学位論文を書き上げたことで皆さんは大きく成長し、さらに人間力が培われたことと思います。皆さんは難関の論文をものにしたのですから自信を持ってください。人間力は世の中をよくしていくために不可欠です。
人間力を培っていくためには大志を抱くことです。人間の器は志の大きさにより決まります。学問研究も物事の本質を見極める器を拡げることに帰着します。
コロナ危機の今だからこそ10年、20年後の自身のさらなる飛躍のための充電の時と心してください。心から皆さんのご活躍を期待しております。
事実に基づく判断を
文学研究科長 飯尾 秀幸
修士・博士の学位を取得された皆さん、おめでとうございます。今年度はコロナ禍で学位論文を作成するに当たって多くの困難があったでしょう。よく頑張ってくれました。孤独な作成に耐え、論文を完成させた時の達成感は格別だったはずです。この気持ちを今後も大切にしてください。
原発事件に続いて、今回も「専門家」であることの意味が問われ、そのうえ学問の自由に対する権力の違憲介入という危惧すべき事態が起こりました。私たちはともに学問という真実を追究する誠実な専門家として精進してまいりましょう。大学院で培った事実に基づいた判断力を、それぞれの分野で発揮していってください。一緒に頑張りましょう。
ここからがスタート
経営学研究科長 廣石 忠司
博士・修士の学位を修得し、課程を無事修了することができた皆さん、おめでとうございます。学位授与式のことを英語でThe commencementともいいます。この言葉には「開始・始まり」という意味もあり、学位修得は専門的職業人、あるいは研究者の道へのスタート時点にすぎません。
皆さんが志望した道で求められていることは、自己研鑽や変化する環境への対応など、簡単とは言えない課題ばかりで、これからの道の方が厳しいものとなるでしょう。今後の一層の精進と健闘を教職員一同、心から祈っております。
最後に、この1年は十全ではない環境での研究指導だったと思います。しかしそれを乗り越えて研究論文を完成させた皆さんに心からの敬意を表します。
諦めず自分を信じて
商学研究科長 小林 守 
修了おめでとうございます。数年にわたって勉学に励んでこられたことは皆さんの知識や思考力だけでなく、人間力をも鍛えたのではないかと思います。今後の進路は皆さん一人一人違うことと思いますが、大学院で身につけた知的な能力と人間力で将来を切り開いていっていただきたいと思います。
世界の変化は激しく、そのまますぐに望むような将来につながらないかもしれません。時には迂回路を行く必要もあるでしょう。その時こそ人間力を発揮し、自分を信じて諦めず忍耐強く頑張っていただきたいと思います。
また、大学院生活で得た友人は宝です。大事にしていただきたいと思います。

他人思う温かい心を
法科大学院長 佐野 裕志
法務博士の学位を修得され、16期目の修了生となった皆さんに、スタッフ一同を代表して心からお祝いを申し上げます。
入学したころと比べると、自分がいかに成長したかを実感できるでしょう。皆さんのほとんどは5月の試験のことで頭がいっぱいでしょうが、少しその先のことも考えてみてください。皆さんが目指している法律家は、人の不幸を正面から受け止める仕事がほとんどです。身につけた法的思考に基づき、事実を正確に踏まえたうえで、冷静で鋭利な分析をしなければならないことは当然ですが、それ以上に他人の不幸に共感できる温かい心が必要です。
このことを肝に銘じ、未来に向かって大きく羽ばたいていってください。

学窓を飛び立つ卒業生・修了生に贈る書

20210322入学式書2
揮毫(きごう) 松尾治 文学部准教授(書家)
専修大学校歌には「鳳の翼(はね)両手に開き/世に魁し我等が大学」とうたわれる。
世界が変わり、最後の一年を思うように活動ができなかった卒業生・修了生も多いだろう。今こそ大きく翼を広げて、力強く飛び立ってほしいとの思いを込めて、卒業生・修了生に「翼」の文字を贈る。
2020卒業式13
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2020年度卒業式05
_HNP1741
2020年度卒業式04
2020年度卒業式07