2021.11.10 Wed
ONLINETOPICS
政策科学シンポジウム
ポストコロナを見据え 日本経済の課題と展望語る

大学院経済学研究科(遠山浩研究科長)が主催する政策科学シンポジウム「ポストコロナの日本経済」が10月30日、オンラインで開催された。外部の専門家2氏と経済学研究科の教員が今後の日本経済について、金融、財政、労働など幅広い視点から議論した。
慶應義塾大学経済学部教授で、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会メンバーの小林慶一郎氏が基調講演。医療がひっ迫する感染爆発期には「経済社会活動の制限、一般医療の制限、コロナ医療の拡充それぞれの追加的な損失が釣り合うように、三つの制限の度合いを定めるべきだ」と説明した。
パネルディスカッションでは中村吉明教授がコーディネーターを務め、三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査本部主席研究員の小林真一郎氏、中野英夫教授、田中隆之教授、櫻井宏二郎教授がそれぞれ講演した後、日本経済の課題と展望について意見を交わした。
小林真一郎氏はエコノミストの立場から現状を分析。今後のシナリオとして「感染再拡大への警戒感から景気の回復は緩やかで、実質GDPがコロナ前の水準に戻るのは早くて年明け以降になる」との見通しを示した。
財政学が専門の中野教授は、コロナ後もゼロ金利が続くことで財政健全化は先送りされ、債務累増の問題が勤労所得世帯に深刻な影響を及ぼす可能性を示唆した。
田中教授は、円高を過度に恐れたことが日本経済の生産性上昇を阻んできたと指摘。「日本が不得手とするプロダクトイノベーションを後押しする、情報化や研究開発・人材育成・組織構築などの無形資産投資に力を注ぐべきだ」と語った。
櫻井教授は、「失われた30年」ともいわれる日本経済の問題点として、技術の変化やグローバル化に対応できなかった点を挙げ、「長期的視点で少子化対策に取り組み、財政資源を次世代のために使うことが重要だ」と結んだ。
財政学が専門の中野教授は、コロナ後もゼロ金利が続くことで財政健全化は先送りされ、債務累増の問題が勤労所得世帯に深刻な影響を及ぼす可能性を示唆した。
田中教授は、円高を過度に恐れたことが日本経済の生産性上昇を阻んできたと指摘。「日本が不得手とするプロダクトイノベーションを後押しする、情報化や研究開発・人材育成・組織構築などの無形資産投資に力を注ぐべきだ」と語った。
櫻井教授は、「失われた30年」ともいわれる日本経済の問題点として、技術の変化やグローバル化に対応できなかった点を挙げ、「長期的視点で少子化対策に取り組み、財政資源を次世代のために使うことが重要だ」と結んだ。
