2026.04.10 Fri
生物科学科トピックス一覧

【生物科学科】卒業生の卒業研究が国際学術誌に掲載

タヌキのしたたかな生き残り戦略を世界で初めて解明!
理工学部生物科学科の卒業生である伊藤孝亮さん(令和6年度卒)の卒業研究を基礎とした研究成果が、ヨーロッパの国際学術誌 European Journal of Wildlife Research において、2026年3月10日付でオンライン公開されました。

人里に暮らすタヌキは、漢字では「けものへん」に「里」で表されるくらい(狸)、私たち日本人にとって身近な存在です。その一方で、野生動物としてのタヌキの生態には未解明な部分も多くあります。本研究では、大学演習林を含む宮城県石巻市周辺に生息するタヌキの採食戦略に注目。身近な野生動物であるタヌキが、季節や環境の変化に応じて食べ物を柔軟に切り替えながら生き抜いている実態を初めて明らかにしました。
学部生が主体となって進めた研究が国際学術誌に掲載されたことは、快挙といえます。

BI卒業生伊藤さん△筆頭著者の伊藤孝亮さん(本学卒業生)
【論文の概要】
本研究では、2020年から2024年にかけて採取したタヌキの糞の分析と、果実や昆虫の量を調べる現地調査を組み合わせ、タヌキの食性を定量的に分析しました。その結果、「果実が多い季節には果実を中心に食べる」「昆虫が増える夏には昆虫を積極的に利用する」「食べ物が乏しくなると、ネズミや鳥、時には人工物(人の生活に由来する食べ物)も利用する」といった、環境に応じて食べ物を切り替える日和見的な採食戦略が明らかになりました。


こうした柔軟性を身につけたことが、タヌキが森林から人里、さらには都市周辺とさまざまな環境で生き延びることができた理由の一つだと考えられます。 本研究は、タヌキが果実を食べることで種子散布に関わる可能性や、他の動植物との関係性を理解する手がかりにもなり、野生動物と人間社会との共存を考えるうえでも重要な知見を提供しました。
伊藤孝亮さんのコメント
【論文公開にあたって】
まさか自分の卒業研究がこのような形で、しかもこんなにも早く公開されることになるとは思ってもいなかったのでとても嬉しいです!卒業後に指導教員の辻先生から度々論文公開への進捗のメッセージが来るたびに、とても待ち遠しく感じていました。論文公開に当たり研究に協力してくださった辻先生をはじめ、当時の研究室のメンバーに感謝しています。

【大学時代・研究室(動物生態学研究室)での思い出】
やはり3年生後期から大学卒業までの研究室での出来事全てが一番の思い出です。当時は最低でも週に1回は演習林へ行きサンプルを集め、研究室に帰ったら分析・解析等を行うという作業をひたすら繰り返していました。今思うとこんな作業よく1年も続けられたなあと思います。ただ、この作業を継続できたのも当時の研究室メンバーとの日常会話やしょうもない雑談が良い息抜きになっていたんだと思います。時には雑談だけで1日過ぎたこともありましたが、おかげで仕事と遊びのメリハリが身につきました(笑)!

【卒業後、大学での学びが役立っていると感じることは?】
現在はペットショップで働いています。野生動物とは真逆で無関係に思うかもしれませんが、研究室で培ってきた、「報告・連絡・相談」や「コミュニケーション能力」といった力が接客業である今の仕事にすごく役に立っています。就職して約1年が経ち、それでもまだまだ覚えることが多くて大変ですが、研究室で鍛えた能力を発揮して今後も頑張ります!

【後輩へのメッセージ】
これからの大学生活や将来何かをしようとするときに一番重要なのは「準備」と「コミュニケーション」だと思っています。就職活動も内定をもらうために試験勉強・資料作成などの準備が必要ですし、面接では試験官とのコミュニケーションが必要です。卒業研究も自分のやりたい研究を行うにあたって何が必要か、分析はどのように行うのかなどの準備や、研究室のメンバーとのコミュニケーションを通して研究のクオリティが上がっていくと思います。もちろん残りの大学生活を悔いの残らないように遊び尽くすためにもこの2点は必須です!これから様々な出来事があると思いますが、この2点を頭に入れて生活してみてください。皆さんのこれからの活躍を期待しています!
BI卒業生伊藤さん②△タヌキの糞を採集する伊藤孝亮さん
辻研究室△当時の研究室の様子
【関連リンク】
動物生態学研究室  
理工学部生物科学科