2023.11.29 Wed
人間文化学科トピックス一覧

【人間文化学科】日本文学・文化研究室、日和山スタディツアーを実施

人間文化学科の日本文学・文化研究室(担当教員:遠藤郁子)では、文学、映画、マンガなどの日本文学と文化について幅広く学びながら、石巻を起点とした文学や表現活動についても地域の中で学んでいます。
昨年度は、石巻市震災遺構門脇小学校を訪問したほか、地域で開催されたリボーンアート・フェスティバルにも貢献しましたが、今年度は、10月27日(金)に日和山公園スタディツアーを実施しました。
hc1△古い石碑の文字は消えかけていて、読み取りに苦労しました。
hc3 △斎藤茂吉の歌碑。茂吉はどの辺りから北上川を眺めたのでしょうか。
石巻は、古くは松尾芭蕉『奥の細道』にも登場していますが、その後も多くの文人が訪れています。東北が誇る詩人、宮沢賢治もまた、森岡中学4年生の頃に修学旅行で石巻を訪れ、はじめて海を見た感動を詩に表現しました。日和山とその周辺には、彼らをはじめとした文人たちの文学碑が点在しています。

今年度の前期に宮沢賢治の文学を学んだ本研究室では、賢治の詩碑をそこに描写された風景とともに味わうべく、日和山を訪れることにしました。そして、せっかくなので、賢治だけでなく、点在する文学碑のひとつひとつを確認しながら散策し、そこに表現された石巻の情景の特徴について互いの意見交換をしました。
hc2△宮沢賢治がはじめて海を見た感動を詠った詩碑の前で。
さらに、暮れていく日和山の空気を味わいながら、石巻を題材として近年刊行された吉増剛造の詩集『Voix』(2021)に収録された〝隅! 日和山!〟という詩を鑑賞しました。
ゼミ生たちは、詩についてのそれぞれの考えを語り合い、改めて、詩人が幻視した夕暮れに赤く染まる日和山へと思いを馳せました。


現在、本研究室では、このスタディツアーで得た素材をもとに、日和山文学マップを共同制作しています。

hc4 △ ツアーの締めくくりは、吉増剛造〝隅! 日和山!〟の鑑賞会。
hc5△文学碑の位置を地図や写真で思い出しながら、マップを構想中。
○学生のコメント
人間文化学科3年次 阿部 志保子さん(古川学園高等学校出身)
詩碑は公園の中でも旧北上川に近い東側に多く設置されていた。詩碑の多くは、北上川や海についてという点では共通しているが、海についての描写が様々で、それぞれ異なる印象を受けた。
 
人間文化学科3年次 菅原 康誠さん(屋久島おおぞら高等学校出身)
日和山や石巻という地ゆかりの文人や俳人の数の多さに驚かされた。石巻の手前に松島という有名な景勝地があるからか、今日における日本文学史上で重要な位置を占める俳人の碑が多く、個人的にかなり嬉しかった(特に種田山頭火・斎藤茂吉)。
地域性や、それら周辺の風土に根ざした文学についての直接的な体験は非常に稀なものだと思うので、この経験を今後の文学研究のひとつの標としたいと感じた。


 
〈昨年度ゼミ活動の記録〉
【人間文化学科】活動レポート・遠藤ゼミ・リボーンアート・フェスティバル
https://www.senshu-u.ac.jp/ishinomaki/news/nid00017665.html
 
【人間文化学科】石巻市内の震災遺構「門脇小学校」で特別授業
https://www.senshu-u.ac.jp/ishinomaki/news/nid00016634.html