カリキュラムの特色

1・2年次生では、教育の基礎科目が多領域にわたって履修できるように配慮されています。1年次では「教育原論」により、教育の基本的概念、教育の歴史、そして主要な教育思想についての省察を行い、「公教育制度論」では、現代の公教育制度を理解し、それを支える法的・制度的仕組について基礎的知識を身に付けることができます。

「教職入門」は、教職課程全体の土台と位置づけられます。どうして教職課程を履修したのか、なぜ教員を目指すのか、どんな教員になりたいのか、を問い直すことから始め、教員に求められる資質・能力、学校教育が抱える課題といった問題群に取り組んでいきます。各自の教育観を深めるためにもグループワーク、討論、ロールプレイングをとり入れた参加型授業も展開しています。

今、学校現場は指導力のある教員を求めています。生徒の「心」をつかめる教員、生徒の「心と体を動かせる」教員、そして彼等と「共に歩める」教員を必要としています。「特別活動・総合的な学習の時間の指導法」(1年次配当)「教育相談の理論と方法」(2年次配当)「生徒・進路指導論」(3年次配当)では、「学級、ホームルーム運営の実際」「カウンセリングの精神と技法及び生徒理解のための知識」「生徒指導の理論と方法及びキャリアガイダンスの進め方」について学び、「実践的指導力」のアップをねらいます。

2年次で学習する「心身の発達と学習の過程」は、人がどのように発達し学習していくのかについて、特に学童期・思春期・青年期を中心として理解を進めていくことを目的としています。また、心身の発達と学習の過程におけるさまざまな障がいについても理解を深めます。そして、教員として生徒を理解するために必要な、また教育的効果を高めるのに有用な発達および学習の諸理論などについて、ワーク等を用いて体験的に理解し考察します。また、教職に向けた明確なキャリア意識を形成することを目的に、大学が独自に設定する科目として「教職実践入門」を開設しています。

3年次で学習する「特別支援教育論」は、特別支援教育の歴史と制度を概観し、インクルーシブ教育を含めた特別支援教育の理念や教育課程を理解することを目的としています。そして、特別の支援を必要とする生徒の障害特性や発達過程を理解し、支援方法について学びます。また、今日の教育的課題でもある母国語や貧困・虐待等の問題、LGBTなど特別の教育的ニーズのある生徒への理解を深め対応について考えます。「道徳の理論と指導法」の主な狙いは、受講者が道徳教育に関わるうえで必要な資質を身につけることです。具体的には、道徳教育に関する諸理論の理解、道徳教育の歴史の理解、学習指導要領の内容の理解、現代社会の子どもたちの道徳的な課題についての理解、道徳教育の多様な教材や教育方法の理解、指導案作成と模擬授業、その結果をフィードバックして授業改善の視点を身につけることを目的としています。

本学では「教育実習」を1および2・3に分け、3年次から4年次にかけて継続的に履修させています。これは学校段階別の教育実習・事前事後指導をきめ細かく実施することをとおして、教職の道を志望する実習者の資質と学力の向上を図ることが目的です。特に、教育実習・事前指導では十分な時間を取り、基礎学力の向上と教育技術の習得の徹底を図っています。「教職実践演習(中・高)」は、教科及び教職に関する科目の履修状況を踏まえ、教員として必要な知識技能を習得したことを確認することを目的として、4年次の後期に開講されます。

具体的には、教員に求められる4つの事項①使命感や責任感、教育的愛情等に関する事項、②社会性や対人関係能力に関する事項、③幼児児童生徒理解に関する事項、④教科等の指導力に関する事項について、役割演技(ロールプレイング)・事例研究・現地調査(フィールドワーク)・模擬授業等を含めた演習を中心とした授業を実施し、教員としての資質能力を確実に身に付けているか確認を行います。教員を目指す学生がこの科目の履修を通じて、将来教員になる上で自己にとって何が課題であるのかを自覚し、必要に応じて不足している知識や技能等を補い、その定着を図ることにより、教職生活をより円滑にスタートできるようになることを期待して設置しています。