広田康生ゼミナール:「マイグレーションと場所」の研究を中心とするゼミナール

 

◆内容

 本ゼミの一つのテーマがタイトルに挙げた「マイグレーションと場所」です。マイグレーションとは、「(国境を越える)移動と定住に関わって生じる様々な社会過程」を指しますが、グローバル化とともに、こうした過程を取り上げる文脈や視点も変わってきています。本ゼミナールでは、「マイグレーションと場所」ということで、トランスナショナルな移動と定住をする人々やその子どもたちの、コミュニティ形成やアイデンティティ形成の問題、多文化・多民族化する地域の課題や、彼らの「社会への一体化」や「共生」過程を、トランスナショナリズム論やディアスポラ論、クレオール等々の問題もいれて考えてみたいと思います。日本社会は、明治期からハワイやアメリカ本土、南米のブラジルやペルー等々に“移民”を送り、その社会への一体化や独特のコミュニティ作ってきました。そして現在では、日本の中にも例えば新宿のコリアタウン、池袋の新チャイナタウン、横浜鶴見のリトル沖縄・リトルブラジル、群馬県大泉町のブラジルタウン等々に象徴されるような越境の磁場となるような場所が無数に出現しています。彼らの移動と定住、「下からの」都市空間の形成、編入や共生、アイデンティティの歴史と現在に焦点を当てることで見えてくる現代社会の一様相と課題を考えることができたら幸いです。なお、上記テーマ以外、都市社会学関連、コミュニティ研究関連、エリアスタディーズ関連、都市と観光等々、履修者は、自分の関心に応じたテーマを学べます。

 

◆進め方

 履修者の関心やテーマの状態を見てから決めますが、3年生の前期には、社会学の基本的な文献の購読、ないしは、上記の共通テーマに関連する文献を読むことから始めます。後期は、履修者各人のテーマを深めることが出来そうな文献を、各人が自分で選んで読み、その文献から、自分のテーマを考える上で、ヒントになる考え方や概念、方法についての議論をしていきます。なお、ゼミは、3年生と4年生の合同で行いたいと考えています。