専大日語・コラム
専大日語の教員による、月替わりのコラムです。
2017年6月:文字で会話する?
このコラムを読んでいるあなた,LINEやTwitter,Facebook等の何らかのSNSを利用していませんか?
きっと,このコラムを読みながら,多くの人が「はい,利用しています」と答えていることでしょう。ソーシャルメディアのユーザー数は増加の一途をたどり,今や日本の人口の半数を超えるものまであるのです。
ソーシャルメディアの広がりによって,私たちのコミュニケーションは劇的に変化しました。文字によるコミュニケーションが増えたのです。
「現代人の活字離れ」が話題になりますが,現代人はホームページやSNS上での文字のやりとりによって,むしろ,かつて以上に文字を読み,書いているのかもしれません。
ところで,SNS上で文字を媒介して行うコミュニケーションは「読み書き」なのでしょうか。それとも「会話」でしょうか?
ある授業で学生に対してこの質問をしたところ,2/3の学生が「会話である派」で,残り1/3が「会話ではない派」でした。「会話ではない派」には,音声を伴わないコミュニケーションは会話ではない,という意見が多く見られました。
「会話である派」が多数派になっていることをどう見たらよいでしょう。多数決で決めることではないでしょうけれど,文字の使用を「読み」「書き」というカテゴリで括ることができないような,いわば「文字による会話」といった新たなコミュニケーションのあり方が広がっているのかもしれません。
「音声による会話」の場合には,会話の始まり,会話の展開,会話の終了といった言語行動に,社会通念としてのルールが存在します。
また,私たちは音声による会話を円滑に進め,終えるために,さまざまなストラテジー(方略)を駆使しています。
では,「文字による会話」にはどのようなルールがあり,どのようなストラテジーが用いられているのでしょう。それらのルールやストラテジーは「音声による会話」のそれとは異なるのでしょうか。
みなさんのスマホに保存されている「文字による会話」のやりとりから,答えを探ってみてください。
<参考文献>