第6章 郵送投票

 第1節 総 説

 ここに郵送投票 (brevröstnig)とは、郵便による投票のことをいいます。郵送投票は、国会、ヨーロッパ議会代表者選挙および国民投票の場合に利用される投票法ですが、ドイツまたはスイスに居住しているスウェーデン国民、または外国航路航行中のスウェーデン船舶内に在るスウェーデン国民(乗組員、船客)にのみ認められている投票方法です(郵送投票法第1条)。

 郵送投票を行おうとする者は、まず、投票用紙の封入されている投票用封筒を、二人の証人の前で郵送投票用外封筒(ytterkuvert för brevröst)に封入します。そしてその後で、郵送投票用外封筒の表に、郵送投票用外封筒が所定の方法で、所定の準備期間内にドイツまたはスイスもしくは航行中の船舶内において準備されたものであることを記載し、同時に自分の氏名と個人番号を記入し、署名をします。選挙人の署名が終わった段階で、証人によって郵送投票用封筒が所定の方法で準備されたことを証明し、自己の住所、氏名を記載し署名を行います。尚、郵送投票が航行中の船舶内で行われる場合、郵送投票用外封筒の表に、船長または船長によって指名された者によって船舶名が記載されます(郵送投票法第6条)。

 郵送投票の証人となりうる者は、18歳に達していること、選挙人の配偶者、子、配偶者の子、内縁配偶者または内縁配偶者の子でないことが必要です。

 郵送投票がドイツまたはスイス国内で行われる場合、選挙が国会、地方議会またはヨーロッパ議会代表者選挙の通常選挙、再選挙もしくは国民投票の場合には、郵送投票用外封筒は選挙日の24日前から、船舶内で行われる場合には、選挙日の55日前から準備することができます。国会の臨時選挙の場合には、前者の場合が20日前、後者の場合が30日前からとなっています。それ以前に郵送投票用外封筒の準備が行われた場合、その投票は無効となります。

 以上のような手順で郵送投票用外封筒が整えられた後、選挙人はその郵送投票用外封筒を郵送用封筒(omslagskuvert)に入れ、封をし、その封筒の発信人欄に自分の住所、氏名を記載します。その後、選挙人は郵送投票用外封筒の封入されている郵送用封筒を郵便局に持参し、中央選挙庁に発送します(郵送投票法第5条)。尚、郵送投票がドイツ、スイス国内において行われた場合、郵送投票は郵送用封筒に印されている消印日をもって投票日とみなされ、郵送投票が航行中の船舶内において行われた場合には、郵送投票用外封筒が整えられた日をもって投票日とみなされることになっています(郵送投票法第8条)。

 ドイツ、スイスまたは航行中の船舶から郵送投票郵便物が中央選挙庁に到着した場合、中央選挙庁は、到着郵送投票郵便物の発送人の住所、氏名を受領記録簿に記録した後、選挙人の選挙人名簿の設置されているコミューン選挙管理委員会に転送します。但し、到着郵送投票郵便物が選挙日の翌翌日以降に中選挙庁に到着した場合、無効投票として処理されることになっています。したがって郵送投票を行おうとする者は、遅くとも選挙日の翌日までに中央選挙庁に郵送投票郵便物が到着するように注意して、発送しなければなりません。

 

 第2節 コミューン選挙管理委員会における到着郵送投票郵便物の処理手続

 郵送投票郵便物が、中央選挙庁からコミューン選挙管理委員会に転送されてきたとき、コミューン選挙管理委員会は、到着郵送投票郵便物の受領台帳に受領記録を記載し、公職選挙法第17章に規定されている第一次開票計算のために開催されるコミューン選挙管理委員会まで、そのままその郵送投票用郵便物を安全な方法で保管しておかなければなりません(郵送投票法第11条)。そして選挙が終わった後の最初の水曜日以降に開催されるコミューン選挙管理委員会会議において開披、点検が行われます(郵送投票法第12条、公職選挙法第17章第1条第2項)。

 

コミューン選挙管理委員会は、まず、最初に、郵送投票郵便物の開封に先立って、郵送投票郵便物の枚数を計算し、その数を選挙記録の中に記載しておきます。郵送投票郵便物の枚数計算に際し、コミューン選挙管理委員会は次の点を点検、確認しておかなければなりません。

1.郵送投票郵便物が事前に開封されていないか否か。

2.郵送投票郵便物がドイツまたはスイスもしくは外国航路航行中の船舶から、郵便をもって発送されているか否か。

3.郵送投票郵便物が選挙日以前に投函されているか否か。

 

郵送投票郵便物が以上の要件を満たしている場合、次に選挙管理委員会は、郵送投票郵便物の中から郵送投票用外封筒を抜き出し、次のことを点検、確認します。

1.郵送投票を行った者の氏名が、当該コミューン内に設置されている選挙人名簿に搭載されているか否か。

2.郵送投票を行った者が、選挙日当日、投票区投票所において投票を行っていないか否か。

3.郵送投票用に郵便局、特設投票所または在外公館投票に使用されている窓開き封筒が使用されていないか否か。

4.郵送投票を行っている者が別に郵送投票を行っていないか否か。

5.郵送投票用外封筒が事前に開封されていないか否か。

 

以上のことが確認され、特に問題がなければ、次にコミューン選挙管理委員会は、郵送投票用外封筒の表に記載さるべき必要記載事項を点検、確認し、問題がなければいよいよ郵送投票用外封筒を開封し、中から投票用封筒を抜き出し次のことを点検、確認します。

1.投票用封筒の上に必要記載事項以外のことが記載されていないか否か。

2.投票用封筒の中にそれぞれの選挙の種類別に、一枚ずつ投票用紙が封入されているか否か。

以上のことが確認できたとき、選挙管理委員会は、予め選挙の種類別に用意されている投票箱に一枚ずつ投票用封筒を投函します。そして郵送投票を行った者が選挙を行った旨を郵送投票者の氏名が搭載されている選挙人名簿に記載します。

郵送投票用封筒が事前に開封されていると思われる場合、郵送投票郵便物が選挙日以降に投函されている場合、郵送投票郵便物はひとまとめにして梱包されコミューン委員会において保管されます。また郵送投票用封筒が、郵送投票法第13条、第14条に規定されている要件を満たしていない場合、もしくは投票用封筒が所定の要件を満たしていない場合、別に梱包し、次回選挙までコミューン選挙管理委員会によって保管されます(公職選挙法第17章第5条)。尚、梱包された小包は封印され、その表にその中に含まれている郵送投票郵便物の数を記載しておかなければなりません。


       第7章代理投票へ進む    郵送投票法参照