第9章 未成年者の行為能力について

(9 Kap. Om underårigs omyndighet)

 

 第1条 18歳に満たざる者(未成年者(underårig)を無能力者(omyndig)とし、法律、贈与、遺言または保険金受取人指定約款もしくは私的年金預託法に規定されている年金預託約款に定められている場合を除いて、未成年者による財産の管理および債務の引き受けを禁止する。(1994:1433)

 

 第2条 未成年者の労務契約については本法第6章の規定にしたがう。(1974:236)

 

 第2a条 未成年者が単独で生計を営んでいる場合、未成年者は日常家事、育児に関して必要な法律行為を行うことができる。

 但し、未成年者と取引を行った者がその取引によって未成年者の取得した物が未成年者にとって必要としないものであることを知りまたは知りうべき場合、前項に規定されている法律行為は未成年者に対して拘束力を有しない。

 未成年者が第1項に規定されている権限を不当に利用した場合、または不当に利用するおそれある場合、裁判所は後見人からその請求が行われたとき、未成年者の日常家事に関する法律行為を制限することができる。但し、その状況が止んだ後、後見人または本人から請求が行われたとき、裁判所はその制限を取り消すことができる。

 裁判所において前項に規定されている決定が行われた場合、裁判所は、直ちにその決定を官報および地方新聞において公告しなければならない。(1977:658)

 

 第3条 未成年者が16歳に達した後、未成年者が自らの労働によって財産を取得したとき、未成年者は自分自身でその財産を管理することができる。その財産から生じた果実またはその財産に代わるべき財産についてもまた同様である。

 未成年者の養育また福祉からみて必要とみなされる場合、後見人は後見監督人の同意を得て、前項に規定されている財産を管理することができる。

 後見人から同意を求められた場合、後見監督人は同意を与える前に、未成年者に対して意見を述べる機会を与えなければならない。

 

 第3a条 1974年法律第236号により削除

 

 第4条 贈与または遺言によって、未成年者の管理に属することを条件として、未成年者が取得した財産または保険金受取人指定約款もしくは私的年金預託法の規定によって取得した財産に関しては、第3条第2項の規定が規定される。但し、未成年者が16歳に達している場合には、後見監督人の同意を要する。後見監督人は同意を与える前に、特に支障のない限り未成年者に財産を与えようとする者またはその相続人の意見を聞かなければならない。(1994:1433)

 

 第5条 第13章第13条または第14条第2項の規定によって未成年者が営業を行っている場合、未成年者は営業許可を得ている範囲内において法律行為を行うことができる。但し、第13章第10条に定められている法律行為については適用されない。(1994:1433)

 

 第6条 未成年者が必要な同意なしに他人と契約を行った場合、未成年者と契約を行った者はその法律行為について追認またはその契約について履行がなされるまでの間、何時でもその契約を取り消すことができる。但し、未成年者と契約を行った者が契約の相手方が未成年者であるということを知って契約をなしたる場合、または契約能力をもっているものと信ずべき正当な事由がある場合、未成年者と契約を行った者は未成年者が後見人の追認を得る必要な期間、または追認を得るために必要とみなされる間、当該契約を取り消すことができない。未成年者と雇用契約を行っている者は、その契約が履行されている間、その契約を取り消すことができない。

 未成年者との契約を取り消す場合、取消の通知は未成年者本人に対しても行わなければならない。

 

 第7条 必要な同意なしに行われた未成年者の契約が取り消された場合、既にその契約の一部またはその全部が履行されているとき、契約当事者は既に受領しているものを返還しなければならない。返還が行われなかった場合、その損害を賠償しなければならない。但し、第2項に定められている場合を除いて、未成年者は自己の生活費または利益のために費消した額を越えて返還の義務を負はない。

 未成年者が契約締結に際して、自己の契約締結能力に関し虚偽の資料をもってその契約を行った場合、その契約が履行されなかったとき、未成年者はその契約によって被った相手方の損害を賠償しなければならない。

 その行為が犯罪的行為によって行われた場合、不法行為による損害賠償責任を負う。

 

 

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