第6章 子の監護、居所及び子の面接交渉権

(6 Kap. Om vårdnad, boende och umgänge)

(1998年法律第319号にて表題変更)

 

 総 則(Inledande bestämmelser)

 第1条 子は日常生活の世話を受け、精神的に安定した生活を享受し、社会生活を維持して行くために必要な躾を受ける権利(rätt till omvårdnad, trygghet och en god fostran)を有する。子はそれぞれその特性に応じて、一人の人間として尊重され、体罰またはその他精神的虐待を受けない。

 

 第2条 子の監護が裁判所によって特別に選任された1人または2人の監護者に委ねられている場合を除いて、子は父母の双方またそのいずれか一方の監護に服する。子は18歳に達するまで親の監護に服する。但し、子が婚姻した場合にはその限りでない。

 子の監護者は、子の個人的問題に対して責任を負い、且つ第1条の定めるところにより、子の要求に応えなければならない。子の監護者は子の年齢、成熟度、その他の状況からみて、必要と思われる限度において、子を監督し、且つ子が十分な生活と教育が受けられるよう配慮しなければならない。子が他人に損害を与えることがないよう、監護者は子を監視しまたはそのため適切な措置を講じなければならない。

 子の財産管理に関する責任については本法第9章、第15章に定める。(1994:1433)

 

 第2a条 本章の規定によって子の監護、居所及び面接交渉に関する決定が行われる場合、その決定に際し、子の最善(barnets bästa)を最優先的判断基準としなければならない。何をもって子の最善とするかを判断する場合、特に子と両親との親密、且つ良好な関係の必要性に意を用いなければならない。その場合、子が虐待、拉致または監禁もしくはその他のいじめを受ける危険について配慮しなければならない。(1998年法律第319号にて追加)

 

 第2b条 本章の規定よって監護、居所及び面接交渉の問題を決定する場合、子の年齢、成長の度合いに応じて、子の意思を尊重しなければならない。(1998年法律第319号にて追加)

 

 監護者(Vårdnadshavare)

 第3条 父母が婚姻している場合、出生のときから子は父母の共同監護に服し、その他の場合にあっては、母の単独監護に服する。子の出生後、父母が婚姻したとき、裁判所によって子の監護が特別に選任された一人または二人の監護者の監護に委ねられている場合を除いて、子は父母の婚姻と同時に父母の共同監護に服する。

 父母が離婚した場合であっても、第5条、第7条または第8条の規定によって父母の共同監護が解消されない限り、子は、父母の共同監護に服する。離婚判決後、子が父母の共同監護に服する場合、裁判所は、判決において父母の共同監護が将来ともに継続することを注意しておかなければならない。(1994:1433)

 

 第4条 子が父母いずれか一方の単独監護に服している場合で、且つ父母が共同して子の監護を行うことを欲する場合、父母の双方から子に対する共同監護の申し立てがなされたとき、共同監護によって明らかに子の利益が害されない限り、裁判所は共同監護を行うことを認めなければならない。

 次に掲げる場合、父母の双方によって共同監護を行うことができる。

  1.社会福祉委員会による父性確認の承認と関連して、父母の双方が社会福祉委員会に届け出た後、県税務事務所へ共同監護の登録を行った場合

  2.子の監護者が選任されていない場合で、且つ、父母と子がスウェーデン国籍を有している場合に税務事務所へ共同監護の登録を行った場合(1991:487)

 

 第5条 子が父母の共同監護に服している場合で、且つ父母いずれか一方から共同監護の解消の申し立てが行なわれた場合、裁判所は子の最善にしたがって、その共同監護を解消し、父母いずれか一方に子の監護を委ねることができる。

 但し、父母の双方が共同監護の継続に反対している場合、共同監護を命ずることができない。

 第1項の規定に基づいて行なわれる監護者の変更は、父母の双方またはいずれか一方からの申し立てによって審理される。離婚事件に際し、裁判所は、父母の共同監護を継続させておくことが明らかに子の最善に反すると思われる場合、職権をもって父母いずれか一方に子の監護を命ずることができる。(1998年法律第319号にて改正)

 

 第6条 子が父母共同監護または父母いずれか一方の単独監護に服している場合、父母は契約をもって子の監護を父母の共同監護とするか父母いずれか一方の単独監護とするかを決めることができる。但し、その契約は書面をもって行なわれ、且つ第2項の規定にしたがって社会福祉委員会の承認を得た場合においてその効力を有する。

 両親の間で子の共同監護に関する契約が行なわれた場合、社会福祉委員会はそのことが明らかに子の最善に反しない場合、その契約を承認しなければならない。その契約内容が父母いずれか一方の単独監護を内容としている場合、そのことが子の最善につながる場合、社会福祉委員会はその契約を承認しなければならない。(1998年法律第319号にて改正)

 

 第6a条 1998年法律第319号にて削除

 

 第7条 子の監護に際し、父母の一方が監護権の乱用、監護の懈怠または子の健康もしくはその他、子の成育にとって危険をもたらすような世話をしている場合、裁判所は、監護者の変更を命ずることができる。

 子が父母の共同監護に服し、且つ前項の規定が父母いずれか一方に親に適用される場合、裁判所は、他の一方に単独で子の監護を委ねることができる。子の監護を委ねられた親が第1項に規定されている方法で子の世話ができない場合、裁判所は、特別に選任された一人または二人の監護者に子の監護を委ねなければならない。

 子が父母いずれか一方の単独監護に服しているとき、裁判所は第1項に規定されている場合、他の一方の親にまたはそのことが適当と思われる場合には特別に選任された一人または二人の監護者に子の監護を委ねることができる。

 本条に規定されている監護者の変更に関する問題は、社会福祉委員会からの申し立てによって、または父母の離婚訴訟おいてまたは第5条に規定されて訴訟において職権をもって審理することができる。(1994:1433)(1998年法律第319号により改正)

 

 第8条 子が、父母以外の家庭において継続的に養育を受けている場合で、且つその状態を継続させ、子の監護を行っている者に移すことが子のために最善であると思われる場合、裁判所は子の監護者としてその者を特別に選任された監護者に選任することができる。

 前項に規定されている監護者の変更に関する問題は、社会福祉委員会からの訴えによって審理される。(1994:1433)

 

 第9条 子が父母の共同監護に服している場合で、且つそのいずれか一方が死亡したとき、他の一方が単独で子の監護者となる。父母の双方が死亡した場合、裁判所は社会福祉委員会からの届け出によってまたは裁判所においてそのことを知ったとき、特別に選任された1人または2人の監護者に子の監護を委託しなければならない。

 子が、父または母いずれか一方の監護に服している場合で、且つその者が死亡したとき、他の一方の親、または社会福祉委員会からの届け出によって、裁判所は他の一方の親またはそのことが子にとってより適切と思われる場合には第13章第8条の規定によって選任された1人または2人の監護者にその子の監護を委ねることができる。(1994:1433)

 

 第10条 子が、1人または2人の特別に選任された監護者の監護に服している場合で、且つ父母の双方またはいずれか一方が子の監護を行うことを欲した場合、裁判所は子の最善にしたがって監護者変更の決定を行わなければならない。但し、父母の双方がそのことに反対の意思表示を行なった場合、裁判所は父母の双方をもって子の監護者とすることができない。

 前項に規定されている監護者変更の問題は、父母の双方またはそのいずれか一方もしくは社会福祉委員会からの訴えに基づいて審理される。(1994:1433)(1998年法律第319号にて改正)

 

 第10a条 子のために特別監護者が選任される場合、子を養育し、且つ安全と教育を与える子とができる者を選任しなければならない。

 子の共同監護者として2人の監護者が選任される場合、監護者が婚姻しているときまたは婚姻類似の形態において生活を共にしている場合、その2人を子の共同監護者として選任することができる。

 兄弟姉妹のために監護者の選任が行われる場合、特別の事由のない限り、兄弟姉妹のために同一の監護者が選任されなければならない。

 父母の死亡後、子の監護者の選任が行なわれる場合で、父母もしくはそのいずれか一方が父母の死亡後に子の監護者となるべき者を指定していたとき、特にその者が不適当とみなされない限り、その者を子の監護者に選任しなければならない(1994:1433)

 

 第10b条 特別に選任された監護者は、請求によってその職を辞任することができる。

 子が2人の特別に選任された共同監護者の監護に服している場合、その1人が共同監護を行うことを欲しなくなった場合、共同監護者の双方もしくはそのいずれか一方からの訴えによって、裁判所は子にとって最善と思われる者に子の監護を委ねることができる。裁判所はまた、共同監護者の離婚訴訟において、当事者からの請求がない場合であっても、共同監護を継続させることが明らかに子の不利益になると思われる場合、共同監護者の1人に監護を委ねることができる。(1994:1433)

 

 第10c条 特別に選任された監護者が監護権を乱用しまたは職務の怠慢、その他の理由によって監護者をして監護を継続させることが不適当とみなされる場合、その監護者を解任しなければならない。

 子が2人の監護者の監護に服している場合、その1人が解任または死亡した場合、他の一方が単独で監護者となる。2人の監護者が解任または死亡した場合、裁判所は1人または2人の特別に選任された監護者を選任しなければならない。

 本条に規定されている監護者の変更の問題は社会福祉委員会からの申請によって審理される。(1994:1433)

 

 第10d条 1998年法律第319号にて削除

 

  監護の実施(Vårdnadens  utövande)

 第11条 監護者は子の個人的な問題に関して、決定を行う権利と義務を有する。監護にあたっては、監護者は可能な限り、子の年齢、成長の程度に従って、子の考え方、希望を尊重しなければならない。(1983:47)

 

 第12条 子は単独で雇用契約、その他の労働契約を締結することができる。但し、その場合、監護者の同意を要する。子が16歳に達した場合、子は単独でその契約を解除し、別の同じような契約を監護権者の同意なしに締結することができる。

 子または子の監護者は子の健康、成長または教育上必要と思われる場合、直ちにその契約を解除することができる。監護者がその契約の解除を行った場合、以後、子は監護者の同意なしに新しい契約を締結することができない。

 単独で労働契約を締結する権利を有しない子が単独で労働契約を締結した場合、その契約の効力は第9章第6条、第7条に規定する。(1983:47)

 

 第13条 子が2人の監護者の監護に服している場合、第11条または第12条の規定が適用される。

 監護者の1人が不在、病気またはその他の事由によって緊急を要する監護に関する問題に参加できない場合、他の一方は単独でその問題を決定することができる。但し、その問題が子の将来に関して重大な意味をもっている場合、そのことが子にとって明らかに必要とみなされない限り、単独で決定することができない。(1983:47)

 

 第14条 子および監護者の社会福祉委員会に対する援助を求める権利は、「社会福祉法」(Socialtjänstlagen 1980:620)に定める。社会福祉委員会は、調停者及びその他の社会的相談機関との連絡調整を行わなければならない。(1983:47)〈1998年法律第319号にて改正〉

 

 子の居所(Barnets boende)

 〈タイトルは1998年法律第319号にて追加〉

 第14a条 子が父母双方の共同監護に服している場合、裁判所は父母双方またはそのいずれか一方からの申し立てによって、子と生活を共にする者を定めることができる。決定に際しては子の最善を配慮しなければならない。

 契約を通じて両親は子の居所を定めることができる。契約は書面によって行われ、且つ社会福祉委員会の承認を得たとき、その効力を生ずる。契約の内容が子の最善につながる場合、社会福祉委員会はその契約を承認しなければならない。(1998年法律第319号により改正)

 

 面接交渉(Umänge)

 第15 子は生活を共にしていない親と面接交渉の機会をもつ権利(rätt till umgänge med en förälder)を有する。

 子が長期間、親の一方と生活を共にしていない場合で、且つ子が生活を共にしていない親との面接交渉を欲する場合、親は共同して子の要求を実現しなければならない。特別に選任された監護者もまた同様の責任を負うものとする。

 子の監護者は、子のために、可能な限り子と特別な関係にある者に対する子との面接交渉の必要性を満たされる責任を負う。

 子が両親の共同監護に服している場合で、且つ生活を共にしていない親との面接交渉を行う場合、子と生活を共にしている親は、特に反対の理由がない場合、子との面接交渉を増進するために子に関する必要な情報を提供しなければならない。子が監護権をもっていない親と面接交渉を行う場合、または子との特別の関係をもっている者との面接交渉を行う場合、本項に規定されている子の情報は子の監護者によって提供されなければならない。(1998年法律第319号により改正)

 

 第15a条 裁判所は子の最善にしたがって面接交渉問題を決定しなければならない。面接交渉の訴えは子との面接交渉を欲する親によって行われる。面接交渉の申し立てが親以外の者によって行われる場合、面接交渉の訴えは社会福祉委員会によって提起される。

 子が両親の共同監護に服している場合、またはそのいずれか一方の単独監護に服している場合、子の両親は子と生活を共にしていない親と子との面接交渉に関する契約を締結することができる。面接交渉契約は書面によって締結され、且つ社会福祉委員会によって承認を得た場合にその効力を生ずる。(1998年法律第319号によって追加)

 

 第15b条 子が両親のいずれか一方とのみ住んでいる場合、子が子と生活を共にしていない親との面接交渉を行う場合に必要な交通費を負担しなければならない。子と生活をともしている親の子の面接交渉に要する交通費の負担は両親の経済的資力及びその他の事情を考慮して決定される。

 面接交渉交通費に関する判決または契約は、訴えが提起された時の事情と判決または契約が締結された時との事情が異なっている場合、裁判所をその判決または契約を変更することができる。(1998年法律第319号により追加)

 

  監護等に関する訴訟手続(Förandet i mål och ärenden om vårdnad m.m.)

(1998年法律第319号により追加)

 

 第16条 婚姻していない父母の第4条第2項に規定されている子に対する共同監護に関する届け出は、子の住民登録が行われている県の県税事務所によって審理される。届け出は父母からの書面によって行われる。

 第4条第2項2号に規定されている届け出はスウェーデン国内の県税事務所または社会保険事務所に行うことができる。

県税事務所の決定に対して不服ある場合、地方行政裁判所に対して異議の申し立てを行うことができる。

高等行政裁判所に対する異議の申し立てについては審理許可を得なければならない。(1997:990)

国税局は、県行政裁判所または高等行政裁判所に対して国の訴えを提起するため、税務署から資料を取り寄せることができる。国税局は最高行政裁判所に対して国の訴えを提起することができる。(1997:990,1998:713))

 

 第17条 監護、居所または面接交渉に関する問題は、子が住所を有する地区を管轄する裁判所によって審理される。その問題は離婚事件と関連しても取り上げることができる。相当裁判所がない場合、事件はストックホルム地方裁判所によって審理される。

 第4条、第5条、第7条、第8条および第10条、第10b条第2項に規定されている監護に関する問題および居所及び面接交渉に関する問題は、民事事件に関して規定されている手続きに従って処理される。第15b条に規定されている交通費の負担割合に関する問題は、面接交渉事件の一部とみなされる。子が両親の共同監護に服している場合、または両親の一方の単独監護に服している場合で、且つ両親の間に合意が調った場合、両親は共同してその訴えを提起しなければならない。

 監護権に関するその他の問題に関しては裁判所事件処理手続法によって処理される。

 子の扶養料については、監護及び居所に関する訴訟事件の中で主張することができる。

 監護、居所または面接交渉事件に関しては、訴訟当事者の合意が調っている場合、口頭弁論を経ないで判決の言い渡しを行うことができる。(1994:1433, 1998:319)

 

 第17a条 子の両親は監護、居所または面接交渉に関する契約を締結する場合、社会福祉行政法(Socialtjänstlagen (1980:620)第12a条の規定によってその援助を求めることができる。

 子が住民登録を行っているコミューンの社会福祉委員会は、第6条、第14a条第2項または第15a条第2項の規定によって両親の間に締結された契約を承認すべきか否かを審査しなければならない。

 社会福祉委員会は契約の審査を行う場合、監護、居所または面接交渉に関する問題が充分に調査されているか否かということに留意しなければならない。契約の審査に当たる社会福祉委員会は、秘密保護法第7章第4条第1項の規定に関係なく、他の社会福祉委員会が契約の審査にとって必要とみなされる情報を保有している場合、その情報の提供を求めることができる。

 第2項の規定による社会福祉委員会の決定に対しては異議の申し立てを行うことができない。〈1998年法律第319号にて追加〉

 

 第17b条 社会福祉委員会によって監護に関する契約が承認された場合、同日中に、次の機関にその内容を通知しなければならない。

  1.子が住民登録を行っているまたは行っていた地区を管轄する管区税務署

  2.監護契約が15歳に達している子を対象としている場合には、中央教育委員会(central Studiestödsnämnden)

  3.監護者が社会保険法(Socilatjänstlagen (1962:620)第1章第4条に規定されている年齢に達した場合、登録されるもしくは登録されるべき社会保険金庫。契約が親の共同監護に関する内容のものである場合、その報告は母親が登録されているまたはされるべき社会保険金庫に対しても行なわれなければならない。〈1998年法律第713号にて追加〉

 

 第18条 子の両親は社会福祉行政法(Socialtjänstlagen (1980:620)第12a条の規定により、共同対話(samarbetssamtal)を通じて監護、居所または面接交渉問題に関して話し合い解決を図るため、社会福祉委員会に対して、その援助を求めることができる。

 監護、居所または面接交渉事件において裁判所は、社会福祉委員会またはその他の機関に対して、子のために、両親間の意見の一致を見え出すため、共同対話の場を設定することを委任することができる。

 裁判所が前項の規定によって社会福祉委員会、またはその他の機関に協議の場を設けることを委任した場合、裁判所は一定期間、裁判を中断することを宣告することができる。既に協議が開始されまたは協議が継続する場合においてもまた同様である。特別の事由がある場合、裁判所はその期間を延長することができる。(1990:1526)〈1998年法律第319号にて改正〉

 

 第19条 裁判所は監護、居所または面接交渉の問題が充分に調査されるよう監督しなければならない。

 裁判所は監護、居所または面接交渉問題が決定される前に、社会福祉委員会に対して情報を提供しなければならない。委員会が問題の判断について重要な意味をもっている情報をもっている場合、委員会は、裁判所に対してその情報を提供しなければならない。

 第2項に規定されている以上に調査を必要とする場合、裁判所は、社会福祉委員会、その他の機関に対して、その調査を行う者を選任することを委任することができる。その場合、裁判所は調査の方法、調査の期間を決定することができる。必要を認めた場合、裁判所は、その期間を伸長することができる。裁判所は調査が早急に行われるように監督しなければならない。

 調査を実施する者は、そのことが不適当と思われない場合、子の意見を確認し、且つそのことを裁判所に報告しなければならない。

 相当の事由がある場合で、且つそのことによって子の利益が害されない限り、子の意見を聞くことができる。(1990:1526)(1998年法律第319号にて改正)

 

 第20条 監護、居所または面接交渉に関する訴訟事件において、裁判所は確定判決または決定によって問題が解決されるまでの間または両親の間に契約が成立し、且つその契約が社会福祉委員会において承認を得るまでの間、監護、居所または面接交渉問題について必要な決定を行うことができる。その場合、裁判所は子の最善にしたがって決定を行わなければならない。

 前項に規定される決定は、口頭弁論を行うことなしに決定の言い渡しを行うことができる。決定の言い渡しが行なわれる前に、相手方に対して意見を述べる機会を与えなければならない。裁判所はその問題に関し、社会福祉委員会からの情報を入手することができる。裁判所が当該訴訟事件に関して最終決定を行う際に、既存の決定が存在している場合、裁判所は既存の決定を再審理しなければならない。

 本条に規定する決定は確定判決と同様の方法をもって執行される。但し、その決定は何時でも裁判所によって変更することができる。(1990:1526)〈1998年法律第319号により改正〉

 

 第21条 監護、居所または面接交渉に関する訴訟事件において、裁判所は、当該事件の判決または決定の言い渡しに関連し、且つ特別の事由がある場合、当事者の一方からの主張に基づいて、相手方に対して子の引き渡し命令に制裁金を賦課すことができる。第20条第1項に規定されている決定との関連において制裁金が賦課された場合、裁判所は、直ちに、その命令の実施を命ずることができる。

 前項に規定する制裁金賦課決定に対しては、監護、居所または面接交渉に関する判決または決定に対する訴えとの関連においてのみ異議の申し立てを行うことができる。

 制裁金賦課問題は、制裁金の賦課を請求した者の申請に基づいて、地方行政裁判所において審理される。(1993:485)(1998年法律第319号により改正)

 

 第22条 監護、居所または面接交渉に関する訴訟事件において、訴訟費用の問題に関しては、訴訟法第18章第1条乃至第7条の規定に代わって、本条第2項および第3項の規定が適用される。

 各当事者はそれぞれ自己の訴訟費用を負担しなければならない。但し、当事者の一方が訴訟法第18章第3条または第6条に規定されている方法で行動した場合、もしくは特別の事由がある場合、他の一方に訴訟費用の全部またはその一部の負担を命ずることができる。

 第2項の規定により当事者の一方が訴訟費用の全部またはその一部を負担すべき場合で、且つ法定代理人、任意代理人または補助者が訴訟法第18章第3条または第6条に規定されている方法で行動し、且つそのことによって相手方に損害を与えた場合、裁判所はその者に対して、本人と共同してその損害を負担することを命ずることができる。裁判所は当事者の一方からそのことについて主張が行なわれない場合であっても、職権をもってそのことを決定することができる。

本条の規定は事件が上級裁判所に係属した場合においても適用される。(1983:484)〈1998年法律第319号により改正〉

 

 

第7章 「親の扶養義務について」に移る       

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