第3章 父性事件に関する訴訟規定

(3 Kap. Vissa bestämmelser om rättegången i mål om faderskap)

 

  父性の否認に関する訴え(Mål om hävande av faderskap)

 第1条 第1章第1条の規定によって父性の推定を受ける者が、第1章第2条第1項の規定によって父子関係不存在確認の宣告を受けようとする場合、子を相手方として父子関係不存在確認の宣告を求める訴えを、既に子が死亡している場合には、その相続人を相手方として父子関係不存在確認の宣告を求める訴えを提起しなければならない。

 子の父とみなされる者が死亡し、且つその者が継続的に子と生活を共にしていなかった場合、父とみなされる者が死亡前に父性の確認を行っていなかった場合、死者の配偶者または死者に対して相続権をもっている子と同順位にある相続人もしくは子に次ぐ相続権をもっている者は、父子関係不存在確認の宣告を求める訴えを提起することができる。死者の配偶者の外に相続法第3章第2条に規定されている相続人がいる場合、その相続人は、各自、本条に規定されている条件の許で、父子関係不存在確認の宣告を求める訴えを提起することができる。

 但し、子の父とみなされる者が死亡したとき、既に死者に対して父子関係存在確認の訴えが提起され、且つ子の父とみなされた者がそのことを知ってから1年が経過している場合または父とみなされる者が死亡したとき、同様の理由に基づいて、父とみなされる者の相続法人に対して父子関係存在の確認を求める訴えが提起されてから1年が経過している場合、死者の配偶者または相続人は父子関係不存在確認の宣告を求める訴えを提起することができない。(1990:1526)

 

 第2条 子が第1章第2条第1項の規定によって、父と推定されている者に対して父子関係不存在確認の宣告を求めようとする場合、父と推定されている者を相手方として、また既にその者が死亡している場合にはその者の相続人を相手方として父子関係不存在確認の宣告を求める訴えを提起しなければならない。父と推定されている者に、配偶者の外に相続法第3章第2条に規定されている相続人がいる場合で、且つそれらの者を相手方として訴えを提起する場合、その訴えが提起されたとき、父と推定される者に対して優先的に相続権を主張できる者を相手方として訴訟を提起しなければならない。(1987:790)

 

 第3条 第1条または第2条に規定されている訴えは、子の住所を管轄する裁判所に、子が死亡している場合には、子の相続問題を管轄する裁判所に提起しなければならない。

 相当管轄裁判所がない場合、ストックホルム地方裁判所が管轄裁判所となる。

 第1章第4条第3項に規定されている訴えは、無効な父性確認を行った者に対しても適用される。(1990:1526)

 

 第4条 第1条または第2条に規定されている訴訟において、当事者の一方が未成年者の場合、後見人(formyndare)、または第11章の規定によってその者に特別代理人が付されている場合には、特別代理人が未成年者に代わって訴えを提起することができる。

 可能な限り母を証人として尋問することができる。(1988:1251)

 

 父性の確定に関する訴訟(Mål om fastställande av faderskap)

 第5条 父性の確定に関する訴えは子によって提起される。

 第2章第1条に規定されている場合、子の訴えは社会福祉委員会によって提起される。母が子の監護者になっている場合、母が未成年者であっても、母は、常に、子に代わってその訴えを提起することができる。特別に選任された監護者は、常に子のためにその訴えを提起することができる。(1994:1433)

 

 第6条 父性の確定に関する訴訟が裁判所に係属した場合、子の父性に関する問題はその訴訟においてのみ審理される。その訴訟において複数の者に対して訴えを提起することができる。相手方が死亡している場合、第2条に規定されている死者の相続人を相手方としてその訴えを提起することができる。

 社会福祉委員会が父性確定の問題に関与すべき場合、父の捜索によって子の父と指摘なされた者を相手方として、または審理の途中で子の父と思われる者が出現してきた場合、その者を相手方として訴えを提起することができる。

 裁判所は被告の請求に基づいて未だ訴えの対象となっていない者に対して訴えを提起し、その者が子の父であるか否かを審理することができる。その申請手続きについては訴えに関する規定が適用される。(1981:26)

 

 第7条 社会福祉委員会が子の父性確定に関与する場合、訴えは社会福祉委員会のある地区を管轄する地方裁判所に提起される。但し、訴えを受理した裁判所において、事件を他の裁判所に移すことによってより審理が容易になると判断した場合、受訴裁判所はその事件を他の裁判所に移送することができる。

 第1項に規定されている場合を除いて、子の父性確定に関する訴えは男が普通裁判籍をもっている地方裁判所、訴えの相手方が複数の場合にはその内の一人が普通裁判籍をもっている地方裁判所に対して、訴えの相手方の死亡によってその者の相続人を相手方として訴えを提起する場合には、その者が普通裁判籍をもっている地方裁判所に対して訴えを提起しなければならない。相当管轄裁判所がない場合、ストックホルム地方裁判所が管轄裁判所となる。(1981:26)

 

 第8条 社会福祉委員会は訴えの提起に際し、委員会によって行われた調査記録を裁判所に提出しなければならない。子の父性確定の訴えが社会福祉委員会以外の者によって提起され、且つその問題に関する調査が社会福祉委員会によって行われている場合、裁判所は社会福祉委員会に対して調査記録の提出を命ずることができる。

 被告は訴えに関連して、その調査記録を閲覧することができる。

 裁判所は社会福祉委員会に対して父性に関する調査を最後まで行うことを命ずることができる。(1981:26)

 

 第9条 裁判所は父性に関する調査が十分に行われるよう監督しなければならない。子のために訴えを提起することのできる者は、その裁判において意見を述べる機会が与えられなければならない。

 証人尋問は子の懐胎可能な期間中、証人が母と性的交渉をもっていたということを証明するために行ってはならない。

 父性確定の訴えは子の出生前に結審してはならない。(1976:612)

 

 第10条 複数の被告の一人について父性確定の訴えが撤回される場合、その部分については被告全員からの同意を得た場合においてのみ訴えを撤回することができる。第6条第3項の規定によって告訴されている者が訴えの取り下げを欲する場合、子の同意を得なければならない。

 訴えの取り下げを決定する場合、裁判所は同時にその者の負担すべき訴訟費用を決定しなければならない。(1976:612)

 

 第11条 社会福祉委員会から父性確定に関する訴えが提起されている場合、訴訟費用は訴訟法第18章第1条乃至第7条の規定に代えて第2項及び第3項の規定が適用される。

 父性確定の訴えを提起した者は、自己の訴訟費用を負担しなければならない。但し、訴えが訴訟法第18章第3条または第6条に規定されている方法で行われている場合、もしくは相当の事由がある場合、裁判所は訴訟費用の全部またはその一部を他の一方の当事者に負担させることができる。

 訴訟が本人の法定代理人、代理人または訴訟補助者によって、訴訟法第18章第3条または第6条の規定されている方法で行われた場合、その者は相手方当事者の訴訟費用を負担しなければならない。裁判所は職権をもってその額を決定することができる。(1981:26)

 

 第12条 訴えが上級裁判所に係属した場合、上級裁判所は問題を全体的に審理しなければならない。指摘された問題は答弁書をもって提出しなければならない。

 上級裁判所において訴訟の当事者以外の者が子の父であるということが判明した場合、上級裁判所は第一審判決を取り消し、事件を判決を行った第1審裁判所に差し戻さなければならない。

 第9条及び第10条の規定は上級裁判所の審理にも適用される。社会福祉委員会が訴えを提起している場合、上級裁判所の審理に対しても同様に第8条第3項及び第11条の規定が適用される。(1981:26)

 

  訴えの併合(Förening av mål)

 第13条 第1章第1条の規定により一人の男が子の父とみなされる場合であっても、第1章第2条第1項に規定されている訴えが裁判所に係属し、且つ未だその訴えが審理されていない場合、同一裁判所において別の男が子の父であるということを確定する訴えを提起することができる。その訴えが提起されたとき、その事件は一つの裁判(i en rättegång)で審理されなければならない。

 第1章第2条第1項による父性否認の訴え及び子の父性確定の訴えが認められた後、父性否認の訴えが上級裁判所に係属した場合、上級裁判所は父性確定の訴えの部分について異議の申し立てが行われていない場合であっても父性確定の訴えの部分を同時に審理しなければならない。(1981:26)

 

 参照

 父性調査の際の血液鑑定に関する法律 Lag (1958:642) om blodundersökning m.m. vid utredning av faderskap

父性調査のための血液鑑定に関する政令Förordning (1969:624) om blodundersökning m.m. vid utredning av faderskap

 

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