第14章 選定後見人、特別代理人及び管理後見人による財産管理

(14 Kap. Förordnade förmyndares, gode mäns och förvaltares vård av egendom)

 

財産目録(Förteckningar över egendom)

 第1条 選定後見人、特別代理人または管理後見人は、選任のときから2ヶ月以内に、自己の管理に属する財産について財産目録を調製し、後見監督人に提出しなければならない。財産目録は、良心にしたがい誠実に調製しなければならない。

 第11章第1条の規定によって選任された特別代理人によって提出される財産目録には、特別代理人が預かった動産についてのみ、記載する必要がある。

 選定後見人、特別代理人または管理後見人が交代する場合、財産目録の提出義務を免除する。

 相続法人、またはその他、清算前の夫婦の財産におけるある者の権利保護の問題に関しては、第15章の規定にしたがう。(1994:1433)

 

 第2条 裁判所が、特別代理人または管理後見人の職務の範囲を拡大した場合、特別代理人、または管理後見人は、決定が行われたときから1ヶ月以内に、拡大された任務の範囲に属する財産に関する財産目録を調製し、後見監督人に提出しなければならない。財産目録は、良心にしたがい誠実に調製されなければならない。(1994:1433)

 

財産管理(Förvaltning av egendom)

 第3条 後見人、特別代理人または管理後見人の管理に属する財産については、第4条乃至第11条の規定が適用される。(1994:1433)

 

 第4条 第5条第1項に規定されている有価証券以外の有価証券は、それら財産を保有または回収しないでおくことが被後見人の利益になる場合を除いて、可能な限り、早い機会に売却し、債権は回収されなければならない。

 それ以外の動産で、且つ第11条の規定に含まれない財産についてはその財産が被後見人本人または被後見人の家族にとって特に重要な意味をもっていない場合、またはその他特別の事由からその財産を保持する必要がない場合、適当な時期に売却しなければならない。(1994:1433)

 

 第5条 次に掲げる場合、被後見人の財産は、後見監督人の同意なしに運用することができる。

1.国、またはコミューンによって発行保証されている債券の購入

2.スウェーデン抵当証券銀行、スウェーデン船舶抵当証券金庫、金融業法(Lag

(1992:1610) om finansieringsverksamhet)による銀行または信用保障会社またはスウェーデン国内に銀行、信用機関に適用される法令と同程度の法令によって管理されている外国銀行、その他の外国信用機関によって発行されている劣後債権以外の債券の購入、もしくは

    3.有価証券基金法に規定されている基金の持ち分証券、または「スウェーデン有価証券基金法」(Lag(1990:1114) om värdepappersfonderと同じ内容の公的規則によって管理されている外国基金財団の持ち分証券の購入

 更に、被後見人の財産が私的年金預託法(lag (1983:890) om allemanssparande)に規定されている普通預金に使用される場合、または課税評価額の60パーセント以内で不動産抵当を担保としての金銭の貸し出しを行う場合、後見監督人の同意を要しない。(1994:1433)

〈1998年法律第319号により改正〉

 

 第6条 後見監督人が同意を与えた場合、被後見人の財産は、株式及び第5条に規定されている別の方法で運用することができる。

 不動産の購入については、第11条の規定にしたがう。(1994:1433)

 

 第7条 第5条、第6条または第11条の規定によって使用することのできない現金、または当座、使用することを要しない現金は、利息の付くような方法で銀行に預け入れておかなければならない。(1994:1433)

 

 第8条 銀行に預け入れられている金銭は、後見監督人の同意を得た場合においてのみ、引き出すことができる。

 但し、次に掲げる場合、後見監督人の同意を要しない。

    1.利息を引き出す場合

2.被後見人の生活費、または被後見人の財産管理のために必要な金銭を引き出す場合で、後見人、特別代理人または管理後見人がその金銭の預け入れに際し、その引き出しについて後見監督人の同意を要しないことを条件で預け入れている金銭を引き出す場合(1994:1433)

 

 第9条 国によって発行されている割増金付き債券は、後見監督人の同意なしに、その債券と関連がある金銭の受け取りができないという留保条件をもって、国債台帳に登録しておかなければならない。(1994:1433)

 

  第10条 特別の事由がある場合、後見監督人は、第4条乃至第9条に規定されている内容と異なることを命ずることができる。(1994:1433)

 

不動産(Fast egendom m.m.)

 第11条 被後見人のために、後見人、特別代理人または管理後見人は、後見監督人の同意を得て次に掲げる行為を行うことができる。

1.売買、交換または贈与によって居住用フロアーに対する借家権の引継の場合を除いて、不動産を取得し、また不動産に対する利用権を取得すること

2.他人の不動産に対する利用契約を締結する場合で、且つ住宅の賃貸借、または財産的価値の少ない短期間の賃貸借以外の賃貸借契約を締結すること

3.住居用フロアーの交換を除く、不財産、不動産の利用権の売却、または交換を行うこと

4.不動産、または公地借地権を担保に供し、もしくは利用権をもっている不動産、または公地借地権の賃貸契約を締結すること

 第1項第1号または第2号に規定されている行為に対する同意は、その取得もしくは賃貸借契約が財産の性質上、またはその他の事由から不適当とみなされない場合においてのみ、これを与えることができる。

 第1項第3号または第4号に規定されている行為に関する同意については、財産の性質及び被後見人の必要性と全財産の内容からみて、相当とみなされる場合においてのみ、これを与えることができる。

 利用権に関する規定は、その利用権が契約によって貸与される場合、地役権、電力権に対しても適用される。

 本条に規定されている同意は、その同意が行われてから6ケ月間その効力を有する。(1994:1433)

 

財産贈与(Bortgivande av egendom)

 第12条 後見人、特別代理人または管理後見人は、その贈与が、被後見人の財産状態からみて、不当とみなされない限度でなければ、被後見人の財産を他人に贈与してはならない。

 後見監督人の同意を得て、被後見人の収入を親族または被後見人の縁故者の生計費として費出することができる。(1994:1433)

 

債務の引き受け(Upptagande av lån m.m.)

 第13条 後見人、特別代理人または管理後見人は、被後見人のために後見監督人の同意を得た場合に限って、次に掲げる行為を行うことができる。

    1.ローンを借り入れまたは第三者と金銭消費貸借に関する契約を締結すること

    2.保証契約を締結すること

        3.  被後見人の財産を本人または第三者のために担保に供すること

 第1項に規定されている行為は、法定代理人が後見監督人の同意をもって被後見人のために営業を行っている事業の範囲内でそのことを行う場合、不動産または公地借地権を担保に供する場合においてのみ、後見監督人の同意が必要である。被後見人の教育、住居の取得を行うために行われる政府ローンについては、後見監督人の同意を要しない。

 後見監.督人は、その行為が被後見人に帰属する他の財産の安全を守るために必要とみなされる場合、または被後見人の教育、生計にとって必要とみなされる場合もしくはその他、特別の事由によって必要とみなされる場合においてのみ、同意を与えることができる。(1994:1433)

 

営 業(Rörelse)

  第14条 特別代理人または管理後見人は、後見監督人の同意を得た場合においてのみ、被後見人に対して、商業帳簿法または農業帳簿法の規定によって帳簿の備え付けが義務付けられている営業を行せることができる。特別代理人または管理後見人は、後見監督人の同意なしに、被後見人のために、被後見人に代わってそのような営業を行ってはならない。後見監督人は、被後見人の財産的または個人的関係及び営業の種類からみて、相当とみなされる場合においてのみ、同意を与えることができる。

 選定後見人については、第13章第13条の規定が適用される。(1994:1433)

 

財産管理報告(Redovisning av förvaltad egendom)

 第15条 選定後見人、特別代理人または管理後見人は、毎年3月1日前までに、後見監督人に対する年次報告において、前年度中に法定代理人の管理に属した財産の報告を行わなければならない。年次管理報告書は、良心にしたがい誠実に記載しなければならない。

 年次管理報告書には、年度初めの財産と年度終わりの財産を記載しておかなければならない。更にその年の収入、支出を記載しておかなければならない。年次報告書は、特に被後見人の生計費または必要経費の支出状況が把握できるように記録しておかなければならない。(1994:1433)

 

 第16条 後見監督人は、被後見人の法定代理人の管理に属しない資産、債務について、選定後見人、特別代理人または管理後見人が知りうる範囲において、別に報告を求めることができる。(1994:1433)

 

 第17条 本人の行為がより広範な範囲において特別代理人の管理責任に影響を及ぼす場合、特別代理人は、後見監督人に報告しなければならない。(1994:1433)

 

 第18条 選定後見人、特別代理人または管理後見人の任務が終了した場合、その任務を行った者は、任務の終了後1ケ月以内に、その者の管理に属していた財産に関する最終管理報告書を後見監督人に提出しなければならない。最終管理報告書は、法定代理人の任務が終了するまでの年次報告をも含むものとする。管理計算は良心にしたがい誠実にこれを行うことを要する。

 第15条第2項に規定する年次報告について規定されていることは、最終管理報告書についても適用される。

 裁判所が、特別代理人または管理後見人の職務を制限した場合、最終管理報告書は、その職務の範囲から外された部分についてのみ行われる。

 第11章第1条に規定されている特別代理人の職務が、年度の途中で終了した場合、または未成年者の後見に関する最終管理計算が年度の途中で発生した場合、特別代理人の最終管理計算は、特別代理人によってなされた行為についての報告に限定される。その他の場合においては、特別代理人によって管理の行われていた期間も後見人によって管理報告が行われる。(1994:1433)

 

 第19条 法定代理人と被後見人との間の関係、財産の種類、価格その他の諸般の状況からみて、特別の事由がある場合、後見監督人は、法定代理人に対して年次管理報告書または最終管理計算書の提出を免除し、もしくはその報告義務を軽減することができる。年次管理報告については、その免除期間に期限を付することができる。(1994:1433)

 

 第20条 選定後見人、特別代理人または管理後見人から法律の規定によって定められた期間以内に第1条、第2条に規定されている財産目録、年次管理報告書または最終管理報告書を後見監督人に提出することができない旨の届け出があった場合、後見監督人は、その期間を伸長することができる。(1994:1433)

 

 後見監督人の特別決定(Särskilda beslut av överförmyndaren i vissa fall)

 第21条 後見監督人は、管理の安全を確保するため、次に掲げる決定を行うことができる。

1.第8条に規定されている場合以外に銀行に預金されている金銭の引き出しを制限すること

2.有価証券が有価証券業法によって規定されている証券会社、またはスウェーデンにおける証券会社に相当する機関で、且つ公的機関によって監督を受けている機関によって保管、管理されること

3.金銭の支払えを行う者から被後見人に対する通知をもって銀行に金銭を振り込ませること

 第2項第2号の規定によって決定が行われた場合、法定代理人は、後見監督人の承認を受けることを条件として、証券会社と契約を締結しなければならない。株式口座法の規定によって登録される権利については、法定代理人は、保管管理契約を締結する代りに、決済台帳に記録せしめ、その権利が権限ある管理者によって管理されている場合、その者に対して、法定代理人が後見監督人の許可を得た場合においてのみ、権利を譲渡し、または権利を担保に供し、もしくは金銭の取り立てを届け出ることができる。

 証券会社は、第2項に規定されている保管管理に関する契約を締結しなければならない。その契約は、証券会社が他の者と締結する同じタイプの契約と同一条件で締結しなければならない。(1994:1433)

 

 財産管理終了の際の特別措置(Vissa åtgärder vid förvaltningens upphörande)

 第22条 選定後見人、特別代理人または管理後見人の任務が終了したとき、法定代理人は、管理している財産を本人または本人以外の者がその管理を引き受ける場合には、その者に対してその財産を引き渡さなければならない。(1994:1433)

 

 第23条 選定後見人、特別代理人または管理後見人がその職を辞任した場合、その者は、会計帳簿及び管理に関するその他の書類を何時でも監査ができるように準備しておかなければならない。必要な場合、後見監督人は、監査の日時と場所を決定することができる。

 第12章第15条の規定する訴権期間が経過してから訴えが提起されたとき、補償問題に関する確定判決のある場合、管理に関する会計帳簿及びその他の書類は、管理に関する報告を受領する権限のある者に引き渡されなければならない。(1994:1433)

 

法定代理人の死亡または破産(Ställföreträdares död eller konkurs)

 第24条 後見人、特別代理人または管理後見人が死亡した場合、死亡した法定代理人の相続法人は、被後見人の財産に関する報告を行い、且つ本章の規定によって、財産管理終了の手続きを行わなければならない。法定代理人が破産宣告を受けた場合、破産管財人がその任務を行う。(1994:1433)

 

第15章 「相続法人等における権利の保護」に移る。                          目次の戻る