第13章 後見人としての親による子の財産管理

(13 Kap. Föräldrars fömmyndarförvaltning)

 

後見人としての親による子の財産管理(Föräldrars rådighet)

 第1条 父母が未成年者の後見人になっている場合で、且つ子の財産が父母の管理に属している場合、本法その他の規則によって別段の定めがない限り、父母はその財産の利用、収益の方法を決定することができる。

 父母の一方が不在、病気、またはその他の事由によって緊急を要する決定に参加できない場合、他の一方は単独でその決定を行う。但し、重要な事項について、そのことが未成年者のために最善の措置とみなされる場合を除いて、親は単独でその決定を行うことができない。

 父母いずれか一方だけが子の単独後見人となっている場合、父母に関する規定は、その親について適用される。

 相続法人またはその他未分割財産における未成年者の権利保護については、第15章の規定が適用される。(1994:1433)

 

  特定に財産に対する管理制限(Kontroll av förvaltningen av vissa egendom)

 第2条 父母によって管理されている未成年者の財産の価格が、相続、贈与、価値の変動その他の方法によって、社会保険法に規定されているバースベロップの8倍を超えた場合、第3条乃至第7条の規定が適用される。

 但し、後見監督人の特別管理に属することを条件として

1.財産が、相続、遺言によって未成年者に帰属している場合

2.贈与によって未成年者に帰属した財産で、その贈与が贈与者から書面によって後見監督人に届け出られている場合

3.生命保険契約の際の保険金受取人指定約款によって、または私的年金預託法の規定によって預け入れられている私的年金が年金受取人指定約款によって未成年者に帰属した場合、第3条乃至第7条の規定が適用される。

 第2項に規定されている財産に替わるべき財産、およびその財産から生じた法定果実は、第2項に規定されている財産とみなされる。(1994:1433)

 

 第3条 未成年者の資産が、第2条第1項に規定されている額を超過した場合、親は、1ヶ月以内に、未成年者の財産目録を後見監督人に提出しなければならない。

 財産が、第2条第2項の規定によって、後見監督人の特別の管理に属することを条件として未成年者に帰属している場合、財産の帰属があってから1ヶ月以内に、親は、その財産に関する財産目録を後見監督人に提出しなければならない。

 財産目録は、良心にしたがい誠実に記載しなければならない。(1994:1433)

 

 第4条 第5条第1項に規定されている有価証券以外の有価証券は、その有価証券を保有しておくことが未成年者のために不利益となる場合、もしくは債権の取り立てが行われなかった場合、回収のできなくおそれがある場合、有価証券は売却し、債権はできる早い機会に適当な方法で回収されなければならない。

 第10条に規定されている動産に含まれないその他の動産はその財産が未成年者のために利用されない場合、または未成年者または未成年者の家族にとって特別の価値を有しない場合、その他特別の理由から保有されるべき理由がない場合、適当な時点において売却しなければならない。(1994:1433)

 

 第5条 後見人は、次に掲げる場合、後見監督人の同意なしに、未成年者の資産を運用することができる。

1.国家、地方自治体によって発行されまたは保証されている債券を購入する場合

2.スウェーデン抵当証券銀行、スウェーデン船舶抵当証券金庫、金融事業法(Lag (

1992:1610) om finansieringsverksamhet)による銀行もしくは金融業者、またはスウェーデン国内における銀行またはその他の金融機関に適用される規定と大体において一致している公的規則によって規制されている外国銀行または外国銀行またはその他の信用機関によって発行されている劣後債券またはその他の債券以外の債券を購入する場合

   3.有価証券基金法に規定されている有価証券基金の債券、または概ねスウェーデン有価証券基金に適用される規定を一致している公的規則によって規制されている外国債券を購入する場合

 更に、未成年者の資産は、後見監督人に同意なしに、普通貯蓄法に規定されている普通貯蓄のために利用され、または最後に定められた課税評価額の60パーセント以内の不動産担保に対して貸し出すことができる。(1994:1433)(1998年法律第319号により改正)

 

 第6条 後見人は、後見監督人から同意を得た場合、未成年者資産をもって株式およびその他第5条に規定されていない投資に運用することができる。

 不動産等の購入については、第10条の規定にしたがう。(1994:1433)

 

 第7条 第5条、第6条または第10条の規定によって投資されない現金および当座、使用する目的のない現金は、利子付きで銀行に預け入れておかなければならない。(1994:1433)

 

  銀行預金 (Bankmedel)

 第8条 第16章第11条の規定によって銀行に預金されている金銭、または特別に後見監督人の管理に置かれていることを条件として銀行に預金されている金銭は、後見監督人の同意なしに引き出すことができない。(1994:1433)

 

  財産管理制限の廃止と軽減(Upphävande av eller lättnader i kontrollen)

 第9条 後見監督人は、未成年者の資産が社会保険法に規定されているバースベロップの4倍以下に下がった場合で、且つ特に管理を継続させる理由がなくなった場合、第4条乃至第7条の適用除外を決定することができる。

 第1項に規定による決定は、後見監督人の特別の管理に属することを条件として未成年者に帰属している財産には適用されない。

 両親および未成年者の関係から見て、またはその他の理由がある場合、後見監督人は、その全部、またはその一部について第3条乃至第8条の適用除外を認めることができる。(1994:1433)

 

不動産等(Fast egendom m.m.)

  第10条 親が、未成年者のため、次に掲げる行為を行う場合、後見監督人の同意を得なければならない。

1.購入、交換、贈与によって不動産、または不動産に対する利用権を取得する場合 但し、子のために借家権を取得する場合はその限りでない。

2.他人の所有する不動産に対して、子のために使用貸借契約を締結する場合 但し、その契約が借家契約、または軽微な財産の短期使用貸借契約の場合にはその限りでない。

3.不動産、または不動産の利用権を売却、交換する場合 但し、住居の賃貸借についてはこの限りでない。

4.不動産、または公地借地権に抵当権を設定し、もしくは不動産、または公地借地権を貸与、またはその他の方法で、不動産、または公地借地権を利用権付きで貸与する場合

 第1項第1号、または第2号に規定されている行為に対する同意は、その取得または契約がその財産の性質、未成年者の年齢、将来の必要性その他の事情からみて不適当とみなされない場合、その同意を与えなければならない。

 第1項第3号、第4号に規定されている行為に対する同意は、その行為が財産の性質、未成年者の年齢、将来の必要性、未成年者の総合的資産からみて相当とみなされる場合においてのみ、これを与えることができる。

 利用権に関する規定は、その権利が契約にもとづいて貸与されいる場合、地役権(servitut)、電力権(rätt till elektrisk kraft)に対しても適用される。

 本条に規定されている同意は、その同意が与えられてから6ヶ月間、その効力を有する。(1994:1433)

 

財産贈与(Bortgivande av egendom)

 第11条 親は、その価格が未成年者の財産状態からみて妥当な個人的贈与とみなされる場合を除いて、未成年者の財産を他人に贈与してはならない。

 親は、後見監督人の同意を得て、未成年者の収入を自己の親族、または未成年者の親族のために利用することができる。(1994:1433)

 

債務の引き受け(Upptagande av lån m.m.)

 第12条 親は、後見監督人の同意を得て、未成年者のために次に掲げる行為を行うことができる。

   1.ローンを組み、その他の債務を引き受けること

   2.保証を引き受けること

3.未成年者の財産を未成年者、またはその他の者の担保に供すること

  後見監督人の同意を得て、親が、未成年者に代わって未成年者のために営業を行っている場合で、且つ第1項に規定されている行為を行う場合には、不動産または公地借地権を抵当に入れる場合においてのみ、その同意を要する。但し、未成年者の教育、または住居を取得することを目的として借り入れる国家ローンの場合にはその同意を不要しない。

 後見監督人は、その行為が、未成年者によって所有されているその他の財産の安全を確保するために必要とみなされる場合、または未成年者の教育、生計、その他そのことを必要とする事由がある場合においてのみ、その同意を与えることができる。(1994:1433)

 

営 業(Rörelse)

 第13条 親は、16歳以下の子に営業を行わせてはならない。

 子が16歳に達している場合、親は、後見監督人の同意を得た場合に限って子に対して、商業帳簿法または農業帳簿法によって規定されている商業帳簿の備え付けが義務付けられている営業を行わせることができる。親は、後見監督人の同意なしに、未成年者のために、未成年者に代わってその営業を行うことができない。後見監督人は、未成年者の経済的、個人的事情が営業の種類からみて同意が与えられることが相当とみなされる場合においてのみ、その同意を与えることができる。(1994:1433)

 

財産管理報告(Redovisning av viss egendom)

 第14条 親は、毎年3月1日までに、後見監督人に対して、前年度の第2条に規定されている財産および第10条に規定されている同意に関する規定に含まれている財産に関して報告を行わなければならない。

 年次報告の中には、次に掲げる事項を記載しておかなければならない。

  1.年次報告の会計年度の始めと終わりの財産および財産価値

  2.年間の債務

  3.財産からの収入、財産からの支出および利息(1994:1433)

 

 第15条 未成年者が18歳に達した場合、またはその前に親が、後見人として地位を失った場合、親は、1ヶ月以内に第2条に規定されている財産および第10条の同意に関する規定に含まれる財産に関し、最終管理報告書を後見監督人に提出しなければならない。更に後見監督人の特別の管理に関する第2条第2項に定められている条件が取り消されたとき、または第9条第1項の規定によって、後見監督人が、後見監督人による特別管理の終了を決定したとき、また同様である。

 最終管理報告書には、後見人に職務が終了するまでの1年間の管理状況、後見監督人の特別の管理に属した条件または後見監督人が管理の終了を決定した事由を記載しておかなければならない。

 第14条第2項に規定されていることは、最終年次報告についても適用される。(1994:1433)

 

 第16条 後見監督人は、親または未成年者の状況、資産の種類、価値、もしくはその他の事情からみて、親に対して年次報告または最終管理報告の提出義務を免除し、または簡単な方法でそのような報告を行わせることができる。年次報告書については、一定の年度についてのみ、または当分の間、その提出を命ずることができる。(1994:1433)

 

 第17条 所定の期間内に、親が、第3条に規定されている財産目録、年次報告または最終管理報告を後見監督人に提出できない場合、後見監督人は改めて提出の期限を定めることができる。(1994:1433)

 

後見監督人による特別の決定(Särskilda beslut av överfömyndaren i vissa fall)

 第18条 後見監督人は未成年者がそのことを請求した場合、親に対して年次報告またはその他の方法で特別の事由がある場合には第14条、第15条に規定されている以外に管理について報告を義務付けることができる。(1994:1433)

 

 第19条 特別の理由から管理の安全を確保するため、後見監督人は次に掲げることを定めることができる。

1.第2条に規定されている場合以外の場合であっても第3条乃至第7条の規定を適用すべきこと

2.第8条に規定されている場合以外の場合であっても、銀行に預け入れられている金銭の引き出しを制限すること

3.有価証券が証券業法による証券会社、またはスウェーデン国内の証券会社に適用される規則と同等の外国の公的機関によって管理されること

4.後見監督人の同意なしに、国家によって発行された利付債券の保有状況を債券に付属している金銭の引き出し禁止条項を付して、国債台帳に登録すること

5.未成年者に対して金銭を支払う者に対して、通知によってその金銭を銀行に預け入れることを命ずること

 第1項第3号に規定されている決定が通知される場合、親は、後見監督人によって承認された条件をもって証券会社と契約を行うことができる。株式口座法の規定によって登録された権利については、親は、管理に関する契約に代えて、閉鎖口座登録を行わせることができる。その権利が公的保管機関によって管理されている場合、後見監督人の許可を得た場合においてのみ、その機関の管理人がその権利を譲渡、入質または引き出すことができる。

 証券会社は、第1項に規定されている保管、管理に関する契約を締結しなければならない。その契約は証券会社が、同じタイプの契約について、他の者に提供している条件より低い条件をもって契約してはならない。(1994:1433)

 

  財産管理終了後の事務処理(Vissa åtgärder vid förvaltningens upphörande)

 第20条 子が成年に達したことによって親の管理が終了したとき、親によって管理されている子の財産は、直ちに子に返還しなければならない。第三者が子の財産管理を引き受けたことによって、子の財産に対する親の管理が終了した場合、親は、直ちに新しく就職した管理人に対して、管理している子の財産を引き渡さなければならない。(1994:1433)

 

 第21条 子の財産に対する親の管理が終了したとき、親は、監査のために必要な会計帳簿およびその他の書類を保管しておかなけばならない。その必要がある場合、後見監督人は、監査のために日時、場所を決定することができる。

 第12章第15条の規定によって訴えを提起する期間が経過してから訴えが提起された場合、損害賠償に関する確定した判決がある場合、管理に関する会計帳簿、その他の書類は、財産管理に関し、説明を受ける権限のある者に引き渡さなければならない。(1994:1433)

 

両親の死亡または破産(Föräldrars död eller konkurs)

 第22条 父母の一方が死亡した場合、本章の規定によって父母に義務づけられている未成年者の財産報告、財産管理が終了したとき、父母の一方が事務手続きを行うことができない場合、相続法人が代わってそのことを行う。父母の一方が破産宣告を受けた場合、相続法人に関して規定されていることは、破産管財人に適用される。(1994:1433)

 

第14章 「選任後見人、特別代理人及び管理後見人の財産管理」に移る。                       目次に戻る