第12章 後見人、特別代理人および管理後見人の職務に関する一般規定

(12 Kap. Allmänna bestämmelser om förmyndares, gode mäns och förvaltares verksamhet)

 

後見人の義務(Förmyndares skyldigheter)

第1条 後見人は未成年者の財産を管理し、その財産に関して未成年者を代理する。

 但し、未成年者が自ら管理することを認められている財産、贈与、遺言、生命保険金受取人指定約款もしくは私的年金預託法の規定によって未成年者に帰属した財産で、後見人以外の者の管理に属することを条件として、後見人の干渉なしにその財産を管理する者が定められている場合、その財産に関しては前項の規定は適用されない。

 本法の規定によって未成年者の財産管理が第三者によって行われない場合、後見人は未成年者を代理する。(1994:1433)

 

特別代理人および管理後見人の義務(Gode mäns och förvaltares skyldigheter)

 第2条 特別代理人または管理後見人はその選任事項の範囲内において、自己の後見に服する者の権利を保護し、その者のもっている財産を管理し、本人の療養監護を行う。

 管理権の範囲が不明確な場合、特別代理人または管理後見人は特別の管理におかれている財産に関しては代理権を行使することができない。特別の管理におかれている財産について特別代理人または管理後見人がその管理報告を受けることを義務づけられている場合、その財産を管理している者は特別代理人または管理後見人に対して、毎年、管理計算報告書を提出しなければならない。(1994:1433)

 

共通規定(gemensamma bestämmelser)

 第3条 後見人、特別代理人または管理後見人は善良な管理者としての注意をもって自己の義務を履行し、且つ、常に後見に服している者にとって最善の方法をもってその職務を遂行しなければならない。(1994:1433)

 

 第4条 後見に服している者の金銭は、相当とみなされる範囲において、後見に服している者の生活、教育その他必要な費用に使用することができる。そのような目的に使用されない金銭については十分に、安全、確実、且つ相当の法定果実を生む方法で利用することができる。

 財産管理とその方法については第13章乃至第15章の規定に従う。(1994:1433)

 

 第5条 後見人、特別代理人または管理後見人は自己の管理に属する財産に関する計算を行い、財産処分を行った場合、その処分について記録しておかなければならない。尚、父母の場合、管理財産の額、その他の事情からみて必要があるとみなされる場合においてのみ管理計算を記録しておかなければならない。(1994:1433)

 

 第6条 後見人、特別代理人または管理人は自己の財産と被後見人の金銭、有価証券が混同しないよう管理しなければならない。

 被後見人が有価証券または有価証券から発生した権利を取得した場合、後見人、特別代理人または管理後見人は必要な登録、届け出を行わなければならない。(1994:1433)

 

 第7条 重大な問題に関しては、後見人はそのことが可能な限り、被後見人が16歳に達している場合には本人、被後見人が婚姻している場合には、その配偶者の意見を聞かなければならない。

 特別代理人または管理後見人は被後見人本人、被後見人の配偶者または内縁の配偶者との関係においても同様の義務を有する。特別代理人の後見に服している者からの同意については第11章第5条の規定にしたがう。(1994:1433)

 

 第8条 未成年者と後見人、または後見人の配偶者、未成年者と後見人の内縁の配偶者、もしくは後見人の代理人との間に法律行為または訴訟が発生した場合、後見人は未成年者を代理することができない。兄弟姉妹が同一後見人の後見に服している場合、後見人は遺産分割に際して兄弟姉妹の利害が相反しない限り、兄弟姉妹を代理することができる。

 特別代理人または管理後見人は、被後見人と特別代理人または管理後見人または特別代理人、管理人の配偶者もしくは内縁の配偶者、もしくは特別代理人または管理人の後見に服している者との間に、法律行為または訴訟が発生した場合、特別代理人または管理後見人は、自己の後見に服している者の代理人となることができない。

 後見人、特別代理人または管理後見人が第1項、第2項の規定に反して契約を行った場合、取り戻し、および損害賠償の問題に関しては第9章第7条第1項の規定が適用される。(1994:1433)

 

後見監督人による監督(Överförmyndarens tillsyn)

 第9条 後見人、特別代理人または管理後見人は後見監督人の監督に服する。

 後見監督人から請求があった場合、後見人、特別代理人、または管理後見人はその職務に関する情報を提供しなければならない。(1994:1433)

 

後見監督人の同意なき契約の効力(Avtal utan överförmyndarens samtycke)

 第10条 後見人、特別代理人または管理後見人が第13章乃至第15章の規定により後見監督人の同意を必要としている場合、その同意を得ないで法律行為を行ったとき、後見人、特別代理人または管理後見人と法律行為を行った相手方は、後見人、特別代理人または管理後見人が法律行為のときから1ケ月以内に、後見監督人の同意を得たとき、特に、留保条項がなかった場合、その法律行為を取り消すことができない。後見監督人からの同意を得られなかった場合、法律行為の相手方は別段の定めがない限り、その法律行為を取り消すことができる。(1994:1433)

 

 第11条 第10条に規定されている法律行為が取り消された場合、第9章第7条第1項の取り戻し及び損害賠償に関する規定が適用される。(1994:1433)

 

 複数の後見人、特別代理人または管理後見人(Flera förmyndare, gode män eller förvaltare)

 第12条 ある者の財産が2人以上の後見人、特別代理人または管理後見人によって管理されている場合、法定代理人は共同してその財産を管理する。但し、後見監督人は、被後見人の財産に関して、法定代理人間の管理方法を定め、特定の財産に関し、特定の法定代理人をしてこれを管理せしめることができる。法定代理人選任の問題と関連して、裁判所は財産の管理について同様の決定を行うことができる。

 共同して財産管理を行っている者が、ある行為について意見の一致が得られない場合、後見監督人の意見が優先して適用される。後見監督人の同意を必要とする行為については、共同法定代理人の間に意見の一致がなくても、後見監督人は同意を与えることができる。但し、その場合、後見監督人は財産管理に関与しているすべての法定代理人に対して、後見監督人が最終決定を行う前に意見を述べる機会を用意しなければならない。(1994:1433)

 

担保の提供(Ställande av säkerhet)

 第13条 後見監督人はその必要があると認めた場合、後見人、特別代理人または管理後見人に対して財産管理のため担保の提供を命ずることができる。

その他の場合にあっては強制執行法第2章第25条の規定が適用される。(1994:1433)

 

損害賠償(Skadestånd)

 第14条 故意または過失によって被後見人に損害を与えた場合、後見人、特別代理人または管理後見人はその損害を賠償しなければならない。

 複数の後見人、特別代理人または管理後見人がその責任を負う場合、後見人、特別代理人または管理後見人は連帯してその責任を負わなければならない。加害者の損害賠償責任は最終的にそれぞれの責任の度合いによって分割される。共同加害者の一人がその責任を負担する資力を欠いている場合、欠け足る部分については他の者がその責任の度合いによって不足分を分割負担する。(1994:1433)

 

 第15条 第14条に規定されている損害賠償の訴えは、第16章第8条に規定されている管理計算報告書がその報告書を受領すべき者に提出されてから1年以内に提起しなければならない。その期間内に訴えの提起が行われなかった場合、その訴権は消滅する。但し、本条の規定は損害が法定代理人の犯罪的行為によって生じた場合には適用されない。(1994:1433)

 

後見人、特別代理人または管理後見人に対する報酬および必要費の補償(Arvode och ersättning för utgifter)

 第16条 選任された後見人、特別代理人または管理後見人はその職務の執行に関して生じたる費用および報酬を請求することができる。

 必要経費および報酬額は後見監督人がこれを定める。更にその他に後見人、特別代理人、または管理後見人に対して必要経費または報酬が支払われる場合、後見監督人は被後見人の財産から支出される報酬、必要経費の額を決定することができる。

 特別の事由のない限り報酬、必要経費は、後見が開始された年に未成年者に所得があった場合、その所得の中からまた未成年者の資産が社会保険法に定められているバースベロップの2倍以上ある場合には、その資産の中から支払われる。

 未分割の相続法人におけるある者の権利を保護するために支出された必要経費または報酬は、特別の事由がない限り、相続法人の財産の中から支払われる。

 被後見人本人または相続法人の財産をもって支払うことのできない必要経費または報酬はコミューンによって負担される。(1994:1433)

 

 第17条 特別の事由がある場合、後見人としての父母は、未成年者の財産管理を理由として相当の報酬を請求することができる。但し、相当の事由ある場合、財産管理に要した費用を請求することができる。

 報酬、必要経費の決定は後見監督人によって行われる。その費用は未成年者の財産をもって、それが相続法人の管理に属している場合、相続法人の財産をもって支払われる。(1994:1433)

 

第13章 「後見人としての親の財産管理」に移る。                                            目次に戻る