第1章  総 則

 

 第1条 本法の規定は国会議員選挙(val till riksdagen)、県会議員及びコミューン議会議員議員選挙(val till landstings- och kommunfullmäktige)、及びヨーロッパ議会代表者選挙(val till Europaparlamentet)に適用される。

 上記選挙に際し、投票は政党に対して行うも、その際、選挙人は特別指名投票(en särskild personröst)を行うことができる。

  

 選挙人資格

 第2条 国会議員選挙の選挙日までに満18歳に達しているスウェーデン国民で、且つスウェーデン国内に居住している者、またはかってスウェーデン国内に住民登録を行っている者は国会議員選挙に対して選挙権(rösträtt vid val till riksdagen)を有する。国会議員選挙の選挙人資格については、統治法(regeringsformen)第3章第2条に定める。

 

 第3条 県会議員選挙の選挙日までに18歳に達しているスウェーデン国民で、且つ県会議員選挙区内に住民登録を行っている者は、県会議員選挙に対して選挙権を有する。選挙日までに満18歳に達しているスウェーデン国民で、且つコミューン内に住民登録を行っている者はコミューン議会議員選挙について選挙権を有する。

 ヨーロッパ連合に加盟している国またはアイスランドもしくはノルウェー国の国民で、且つ選挙日までに満18歳に達している者が、スウェーデン国内に住民登録を行っている場合、その者は県会議員選挙及びコミューン議会議員選挙について選挙権を有する。

 それ以外の国の国民については、その者が選挙日までに満18歳に達し、且つ選挙日までに3年以上引き続きスウェーデン国内に住民登録を行っているとき県会議員選挙、コミューン議会議員選挙に対して選挙権を有する。

 県会議員選挙及びコミューン議会議員の選挙人資格については、地方自治法第4章第2条乃至第4条に定める。

 

 第4条  国会議員選挙に対して選挙権を有する者は、ヨーロッパ議会代表者選挙についても選挙権を有する。

 本章第3条第2項の規定によってスウェーデンの地方議会選挙に対して選挙権を有するヨーロッパ連合の国民で、且つヨーロッパ議会代表者選挙に際し、ヨーロッパ連合に加盟しているいずれの国においても投票を行っていない者は、スウェーデン国内において投票を行うことができる。

 

 第5条 第2条乃至第4条に規定されている選挙人資格は選挙に先立って作成される選挙人名簿(en röstlängd)によって決定される。選挙人名簿については本法第7章に定める。

  

 被選挙人資格

 第6条 国会議員選挙に対して選挙権を有する者は、国会議員選挙に際し、被選挙人となることができる。被選挙人資格については統治法第3章第10条に定める。

 

 第7条 選挙日当日、県会議員選挙またはコミューン議会議員選挙に対して選挙権を有する者は、県会議員選挙またはコミューン議会議員選挙に際し被選挙人となることができる。県会議員選挙及びコミューン議会議員選挙の被選挙人の資格については地方自治法第4章第5条及び第6条に定める。

 

 第8条 本章第4条の規定によって選挙権を有している者はヨーロッパ議会代表者選挙において被選挙人となることができる。但し、スウェーデン以外のヨーロッパ連合に加盟している国の国民の場合、本法第5章第16条の規定によって自国においてヨーロッパ議会代表者の選挙に対して被選挙人となる資格を失っていないことが証明できる場合においてのみ、ヨーロッパ議会代表者選挙の被選挙人となることができる。

ヨーロッパ議会代表者の選挙に際し、次に掲げる者は被選挙人となることができない。

  ―― ヨーロッパ連合加盟国の閣僚

  ―― ヨーロッパ共同体コミッションの構成員

  ―― ヨーロッパ共同体裁判所の裁判官、総合弁護士または司法書記官

  ―― ヨーロッパ連合再審裁判所裁判官

  ―― ヨーロッパ石炭、鉄鋼顧問コミッテーの構成員またはヨーロッパ共同体の経済、     社会コミッテーのメンバー及びヨーロッパ原子力共同体の構成員

  ―― 共同体資金を管理するためまたは永久的且つ直接管理業務を行うために設立さ     れたヨーロッパ石炭、鉄鋼、ヨーロッパ共同体及びヨーロッパ原子力共同体の設立に関する任務によって設置されたその他の機関の構成員

  ―― ヨーロッパ投資銀行の役員、監督官また職員

  ―― ヨーロッパ共同体各種機関または関連専門機関の職員または臨時職員

  

 選挙の実施期日

 第9条 選挙は日曜日に実施される。

  

 通常選挙

 第10条 国会及び地方議会議員の通常選挙は同一日に実施される。選挙の実施日は9月の第3日曜日とする。

 国会及び地方議会議員の通常選挙は4年目ごとに実施される。通常選挙の実施期日については、統治法第3章第3条及び地方自治法第5章第5条に定める。

  

 臨時選挙

 第11条 政府によって国会が解散された場合、解散の日から3ヶ月以内に臨時選挙を実施しなければならない。但し、政府は国会議員選挙後、最初の国会が開催されてから3ヶ月を経過したあとでなければ臨時選挙を実施することができない。また政府は、全閣僚が罷免された場合、新内閣が成立するまでの間、臨時選挙を実施することができない。上記、臨時選挙については統治法第3章第4条に定める。

 国会において国会議長による内閣総理大臣指名議案が四回、連続して否決されたとき、政府は3ヶ月以内に臨時選挙を実施する。その場合、臨時選挙の日取りは中央選挙事務局と協議の上、国会議長が決定する。但し、3ヶ月以内に通常選挙が行われる場合、臨時選挙を実施することができない。この場合の臨時選挙に関しては、統治法第6章第3条に定める。

  

 再選挙

 第12条  国会議員選挙の再選挙の日取りは政府によって決定される。

 県会議員選挙及びコミューン議会議員の再選挙の日取りは中央選挙事務局と協議の上、県行政府によって決定される。

  

 ヨーロッパ議会代表者の選挙

 第13条 ヨーロッパ議会代表者の選挙は5年目ごとの6月に実施される。

 

 県またはコミューンの分合

 第14条 県会議員選挙区またはコミューンの区画変更が県会議員選挙、コミューン議会議員選挙の通常選挙が行われる翌年の1月1日から実施される場合、通常選挙は新しい区割りによって実施される。

 

 選挙の実施機関

 第15条 選挙を実施するため中央選挙事務局(en central valmyndighet)を設置する。中央選挙事務局の設置される省庁は政府によって決定される。

 中央選挙事務局は本法に規定されている業務の外、国民に対して選挙の実施期日、場所及び選挙の方法等に関する情報の提供を行う。

 

 第16条 県行政府をもって管区選挙事務局(regional valmyndighet)とする。

 

 第17条 各コミューンにコミューン選挙管理委員会(en valnämnd)を設置する。コミューン選挙管理委員会をもって地区選挙事務局(lokal valmyndighet)とする。

 コミューン選挙管理委員会にはその業務実施に必要な職員を配置する。本法の規定によってコミューン選挙管理委員会及び投票管理人がその業務を行うために必要な費用はコミューンによって負担される。

 コミューン選挙管理委員会に関しては地方自治法に規定されている委員会規定が適用される。

 

 第18条 コミューンの分割によって新しいコミューンが設置される場合、区割り委員会は、新しいコミューンが発足するまでに新しいコミューンのために選挙管理委員会委員及びその予備委員を選出しておかなければならない。選挙管理委員及びその予備委員の選出は、可能な限り新しいコミューンが発足する前の年に行っておかなければならない。

 

 選挙審査委員会

 第19条 選挙審査委員会(Valprövningsnämnden)の構成員は国会によって選出される。選挙審査委員会は選挙及び特に委員会に対して異議の申し立てが認められている決定事項に対する最終審理機関とする。

  選挙審査委員会の委員長には裁判官または裁判官であった者で、且つ国会議員でない者が任命される。選挙審査委員会委員の任期は国会議員選挙が終了し、且つ選挙結果が確定した後、次の選挙が実施されるまでの期間とする。委員長は別に選出される。委員長及び委員には予備委員を置く。

選挙審査委員会に関する規定は統治法第3章第11条に定める。

 

 註 統治法(regeringsformen)。印刷出版の自由に関する法律及び言論の自由に関する法律及び王位継承法とならんでスウェーデン基本法の一つなっている法律


 

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