第3部 夫婦の財産関係

(Tredje avdelningen Makars ekonomiska föhållanden)

 

第6章 夫婦間の扶養

(6 Kap. Underhåll)

 

 第1条 夫婦は、それぞれその資力に応じて、夫婦及びそれぞれの生活にとって必要な費用を負担しなければならない。

 子の扶養については、別に親子法に定める。

 

 第2条 配偶者の一方から提供された金銭によって、その金銭を提供された者または家族の生活が維持できない場合、他の一方はその不足分を負担しなければならない。

 

 第3条 第1条または第2条の規定に基づいて、配偶者の一方が他の一方に対して、その者の生活にとって必要な金銭を提供した場合、提供された金銭は、その金銭を提供された者の財産とみなされる。

 

 第4条 配偶者の一方が病気または不在のため自己の財産を管理することができない場合で、且つその財産をもって家族が生活の費用としている場合、他の一方は、必要な範囲内において、病気の配偶者または不在配偶者の給料を受領しもしくはその者の財産から生ずる利息を収取しまたは銀行その他の預金から金銭を引き出すことができる。但し、夫婦が別居している場合、病気の配偶者または不在配偶者が代理人(fullmäktig)を選任しもしくは後見人(förmyndare)、特別代理人(god man)または管理後見人(förvaltare)の後見に付されている場合、本項の規定は適用されない。

 引き出された金銭または受領された金銭が実際の生活にとって必要としなかった場合であっても、そのことによって本人は第三者に対抗することができない。(1988:1254)

 

 第5条 配偶者の一方が婚姻費用の負担義務を怠った場合、他の一方は、裁判所を通じて、その者に対して婚姻費用の負担分を請求することができる。

 

 第6条 夫婦が継続して生活を共にしていない場合であっても、配偶者の一方は、他の一方に対して生活費の提供を求めることができる。

 夫婦が継続して生活を共にしていない場合で、且つ配偶者の一方から請求のあった場合、裁判所は、他の一方に対して、配偶者の一方が必要とする家財道具の引き渡しを命ずることができる。但し、その命令は、共同生活が解消されたとき、いずれか一方に帰属する家財道具に限られる。裁判所の決定が行われた場合、その財産を所有する者は、第三者との契約によって他の一方の利用権を制限することはできない。

 

 第7条 夫婦は、離婚後、それぞれ自分の生活を自分で維持してゆかなければならない。

  離婚した配偶者の一方は、離婚後、一定期間、自己の生活を維持するために必要な範囲において、他の一方に対して、その者の状況からみて相当と思われる限度において、扶養料を請求することができる。

 婚姻期間が長期間継続している場合で、且つ婚姻が解消されたことによって離婚当事者の一方がその生活を維持することができないとき、またはその他の事情によって離婚後の生活を維持することのできない相当な事由がある場合、その者は本条第2項の規定に定められている期間を超えて、扶養料を請求することができる。

 

 第8条 離婚扶養料の支払いは、定期的に継続してこれを行わなければならない。但し、特別の事由がある場合、裁判所は一括して扶養料の支払いを命ずることができる。

 

 第9条 離婚当事者の一方から離婚扶養料請求の訴えが提起された場合、裁判所は、扶養請求の訴えが提起されたときから3年前に遡って扶養料の請求を認めることができる。但し、扶養義務者において、それ以前の扶養料の支払いを承認している場合にはその限りでない。

 

 第10条 既に確定している扶養請求権は、履行期日の到来したときから3年をもって時効により消滅する。

 扶養債権を保全するため、前項の規定に定められている期間内に強制執行の申し立てが行われた場合、または扶養債務者が前項に定められている期間内に破産宣告の申し立てを行った場合、それ以後、扶養料は差押え財産、または破産財団から支払われるものとする。

 和議法の規定により、管財人の選任申請が、第1項の規定に定められている期間内に行われた場合、扶養料の請求は、管財人選任の効力が発生したときから3ケ月以内に、または強制和議が開始された場合には、和議事件が解決されたときから3ケ月以内にこれを行わなければならない。和議が成立した場合、扶養債権は、和議が成立したときから3ケ月以内にその申し立てを行わなければならない。本項に定める期間内に、扶養債権保全のため、強制執行の申し立てが行われた場合、または破産宣告の申し立てが行われた場合、本条第2項の規定を適用する。

 本条の規定に反する契約はこれを無効とする。

 

 第11条 事情の変更によってそのことが相当と思われる場合、裁判所は、以前になされている扶養判決または扶養契約の変更を命ずることができる。但し、相手方の反対の意思表示がある場合、裁判所は、扶養判決、または扶養契約変更の訴えが提起されるまでの間、扶養料の未払い分に限って減額または免除の言い渡しを行うことできる。離婚後の扶養料については、相当な事由のある場合に限り、先に定められている扶養料の最高額を超えて、その増額を認めることができる。但し、一括払いの扶養料については、相手方の同意がない限り、その額を変更することができない。

 扶養に関する契約が、契約成立の際の事情、またはその他の事由によってその契約が不当とみなされる場合、裁判所は、その契約の変更を命ずることができる。但し、既に支払われている扶養料については、特別の事情ある場合を除いて、その返還を命ずることができない。

以  上

 

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