17章 財産分与人

(17 Kap. Bodelningsförrättare)

 

 第1条 財産分与に際して夫婦間の協議が調わない場合、裁判所は、配偶者の一方からの申し立てがあるとき、財産分与人(bodelningsförrättare)を選任しなければならない。また必要に応じて複数の財産分与人を選任することができる。

 配偶者の一方が死亡した場合、死亡した配偶者の財産が遺産管財人(boutreningsman)によって管理されている場合、別段の定めがない限り、遺産管財人が財産分与人となる。但し、別に財産分与人が選任されている場合、または遺産管財人が共同相続人となっている場合にはその限りでない。

 

 第2条 離婚事件が裁判所に係属している場合、財産分与人選任の申し立ては、その事件の中でこれを行う。その他の場合においては、夫婦の財産分与問題を審理する権限をもっている地方裁判所に対してこれを行う。

 

 第3条 離婚事件の中で財産分与人の選任に関する問題が審理される場合、第14章第9条に定められている財産分与人選任に関する規定が適用される。それ以外の場合においては、裁判所は、財産分与人の選任決定に先立って、他の一方に対して意見を述べる機会を与えなければならない。

 

 第4条 財産分与人を選任する場合、財産分与人に選任される者の同意を得なければならない。財産分与人解任の事由が生じた場合、財産分与人を解任しなければならない。財産分与人を解任する場合、解任に先立って、財産分与人に対して、自己の意見を述べる機会を与えなければならない。

 離婚の訴えが取り下げられた場合または離婚当事者の死亡以外の理由によって離婚事件が抹消された場合、離婚事件の中で行われ決定は、その効力を失う。

 

 第5条 財産分与人は必要に応じ財産目録の提出を求めることができる。その場合、配偶者は、それぞれ自己の資産と負債を報告しなければならない。配偶者の一方が、財産目録の提出を怠った場合、裁判所は、財産分与人からの申し立てに基づいて、その者に対して財産目録の提出を命ずることができる。裁判所の命令に反したる場合、過怠金(vite)を課すことができる。

 配偶者の一方からその請求があった、他の一方は、裁判所において、その財産目録が真実であることを宣誓しなければならない。その場合、裁判所は宣誓手続きが完了するまでその事件を決定することができない。宣誓を拒否した場合、裁判所は、職権をもって宣誓を義務付けることができる。違反したる場合、過怠金を課すことができる。

 

 第6条 財産分与人は財産分与の行われるべき場所及びその日時を指定すると同時に、財産分与に夫婦を召喚することができる。

 財産分与人は、夫婦間に協議が調わないとき、財産分与にとって重要な意味をもっている係争問題で、しかも訴訟の対象となっていない問題について判断を与えなければならない。その場合、財産分与人は、本法の規定にしたがって、自らの判断に基づいて財産分与を行わなければならない。財産分与の対象となるべき財産がない場合、その旨を財産分与証書の中に記載しておかなければならない。

 

 第7条 財産分与人は、その職務に関して要した経費ならびに報酬を請求することができる。

 財産分与人に支払うべき費用は、夫婦間で平等に負担しなければならない。但し、配偶者の一方の故意過失によって費用が増加した場合、または配偶者の一方の財産状態からみてそのことが相当とみなされる場合、財産分与人は、別の方法をもって費用の負担額を定めることができる。

 財産分与人に対する関係において、夫婦は、連帯してその責めに任じなければならない。

 

 第8条 財産分与人によって財産分与証書が作成されたとき、財産分与人は遅滞なくその原本またはその写しを配偶者双方に送付しなければならない。

 財産分与当事者が財産分与人のなしたる財産分与に対して異議ある場合、財産分与証書を受領した日から4週間以内に、他の一方の配偶者を相手方として、裁判所に対して財産分与に関する異議の申し立てを行わなければならない。4週間以内に異議の申し立てが行われなかった場合、配偶者は財産分与に対して異議の申し立てを行うことができない。財産分与人は財産分与証書の中にその旨を記載しておかなければならない。

 財産分与に対して異議の申し立てが行われた場合、財産分与人の意見を求め、裁判所は必要と認めた場合、財産分与のやり直しを命ずることができる。

 

 第9条 訴訟法第58章および第59章の規定は、財産分与人によってなされた財産分与に対しても適用される。その際、異議の申し立てに関する訴訟法第58章第10a条、第13条及び第59章第5条の規定は財産分与に対する異議の申し立てに適用される。(994:1035新規追加)。

以  上

 

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