人工授精法

Lag (1984:1140) om insemination

 

  本法において人工授精inseminationとは、人為的にpå konstlad väg女の体内に精子を挿入することをいう。

 

第2条 人工授精は、婚姻中または婚姻類似の関係にある者においてのみ、これを受けることができる。人工授精を受ける場合、婚姻中の夫または内縁の夫から書面による同意を得なければならない。

 

 人工授精を受ける者の婚姻中の夫または内縁の夫以外の者から提供された精子を用いて人工授精が行われる場合、人工授精は、産婦人科学に関して特別の教育を受けている医師の監督のもとで、公的資金によって運営されている病院(offentligt finansiserade sjukhus)においてのみ、これを行なうことができる

医師は人工授精を受ける婚姻夫婦または内縁夫婦の医学的、精神的及び社会的状況からみて、人工授精を行なうことが相当であるか否かを審査しなければならない。人工授精は生まれてくる子が良好な環境において生育することが予測される場合においてのみこれを行なうことができる。人工授精を受けることを拒否された婚姻夫婦または内縁夫婦は、社会庁に対して異議の申し立てを行なうことができる。

人工授精に使用される精子は医師によって選ばれる。精子提供者の個人情報は、特別のカルテ(särskild journal)に記録し、最低70年間、保存しておかなければならない。(2002:253)

 

第4条 第3条に規定する人工授精によって懐胎された者は、その者が十分に成熟した年齢に達したとき、病院に保存されている特別のカルテに記載されている精子提供者の個人情報を知ることができる。子が前項に規定されている方法によって懐胎されたとみなされる理由がある場合、社会福祉委員会social nämndenは、子本人から請求があったとき、病院に保存されている特別のカルテに記載されている情報の収集に協力しなければならない。(2002:253)

 

第5条 子の父性を確定するため、その必要がある場合、裁判所は、人工授精を行った担当責任医または人工授精に関する情報を保存している者に対して、関係資料の提出を求めることができる。

 

第6条 何人も社会庁の許可なしに、冷凍保存精子(fryst sperma)をスウェーデン国内に搬入してはならない。

 

第7条 本法の規定に反して、常習的にまたは営利を目的として人工授精を行い、または精子を所持した場合、罰金もしくは6ヵ月以下の懲役に処する。

 

第8条 第3条による社会庁の決定に対しては、地方行政裁判所に対して異議の申し立てを行うことができる。

但し、高等行政裁判所に対して控訴を行う場合、特別の許可を受けなければならない。(2002:253)

本法の規定は2003年1月1日から施行する。

 

本法施行前に精子の提供が行なわれている場合、第4条の規定は適用されない。

以 上(菱木昭八朗訳)

                                        

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