第1章 子の父性及び母性について
(1 Kap. Om faderskap och moderskapet till barn)
第1条 母が婚姻中、子が生まれたとき、第2条に規定されている場合を除いて、母の夫をもって子の父と推定する。夫が死亡した後に子が生まれたとき、夫の死亡する前に懐胎したとみなされる相当期間内に子が生まれたとき、死亡した夫をもって子の父と推定する。(1976:612)
第2条 次に掲げる場合、裁判所は父子関係不存在確認の宣告を行わなければならない。
1. 母が懐胎可能な期間中、夫以外の男と性的交渉のあったことが明らかで、且つ諸般の状況からみて夫以外の者によって子が懐胎されたとみなされる相当の事由がある場合
2. 子の遺伝特性、その他の事情から、母の夫が子の父でないことが確定できる場合
3. 子が両親の婚姻前、または別居中に懐胎した場合で、且つ生まれてきた子の懐胎可能な期間中に両親の間に性的交渉がなかったと思われる場合
母の婚姻中、夫以外の男からなされた父性の確認を夫が書面をもって承認し、且つその確認手続きが第4条の規定によって行われている場合、子の父性は否認されたものとみなされる。但し、夫以外の男から父性の確認が行われる場合、常に母から書面による同意が必要である。(1990:1526)
第3条 第1条に規定されている事実が存在しない場合または第2条第1項の規定によって、裁判所において父子関係不存在確認の宣告がなされた場合、子の父性は確認または判決によって確定される。(1990:1526)
第4条 父性の確認(bekräftelse av faderskap)は、証人二人の署名のある書面によって行われなければならない。父性の確認を行うためには、社会福祉委員会、母または子のために特別に選任されている監護者からの書面による同意を得なければならない。子が成年に達している場合、または第6章第2条の規定によって子が監護者の監護から離脱している場合、その同意は子自身によって行われる。社会福祉委員会は父性の確認を行った者が子の父とみなされる場合を除いて、承認を与えることができない。
父性の確認は子の出生前でもこれを行うことができる。
父性の確認を行った後、その者が子の父でないということが判明した場合、裁判所は父性確認無効の宣告を行わなければならない。(1994:1433)
第5条 父性が判決によって確定される場合、子の父とされた者が懐胎可能な期間中に母と性的交渉のあったことが明らかな場合で、且つ諸般の状況からみてその者が子の父とみなされる場合、裁判所はその者を子の父と定めなければならない。(1976:612)
第6条 人工授精(insemination)が夫または婚姻類似の形で生活を共にしている内縁の夫からの同意をもって行われ、且つ諸般の状況からみて、子がその人工授精によって懐胎されたとみなされる場合、第2条乃至第5条の規定の適用に際しては、その同意を与えた夫または内縁の夫をもって子の父とみなす。(1984:1139.)
参照 人工授精法[Lag (1984:1140) om
insemination.]
第7条 妻が他人から提供された卵子によって作成された受精卵を自己の体内に挿入し、
子を出産した場合、その者をもって子の母とみなす。(2002:251.)
第8条 婚姻中の夫または内縁の夫の同意を得て体外受精が行われたとき、その体外受精によって生まれてきた子が諸般の状況からみて当該体外受精によって懐胎したと信ずべき相当の理由がある場合、第2条乃至第5条の規定の適用に際し、妻の体外受精に同意を与えた夫または内縁の夫をもって子の父とみなす。体外受精が第三者から提供された卵子をもって行われた場合、また同じ。(2002:251.)
参照 体外受精法[Lag (1988:711) om
befruktning utanför kroppen.]