(参考資料)
改 正・体 外 受 精 法
【Lagen (1988:711) om befrutning utanför kroppen.】
2002年法律第252号により改正
総 則
第1条 本法の規定は、
1 受精卵の作成が女の体外において行われる場合、及び
2 作成された受精卵を女の体内に挿入する場合に適用される。(2002年法律第252により改正)
体外受精を行う場合の基本条件
第2条 卵子または精子を提供できる者は成年に達していなければならない。卵子または精子の提供を行う者は、提供した卵子が受精されることに、または提供した精子が受精卵作成のために使用されることについて、予め、書面によって同意を与えておかなければならない。卵子または精子の提供者は、受精(befruktning)が行われるまでは、いつでもその同意を取り消すことができる。(2002年法律第252号により改正)
第3条 女の体内への受精卵の挿入は、体外受精を受ける者が婚姻またはサンボー関係にあり、且つ夫またはサンボーからの書面による同意がある場合においてのみ、これを行うことができる。体外受精に使用される卵子が体外受精を受ける本人以外の者から提供されている場合、その体外受精に使用される精子は、体外受精を受ける者の夫またはサンボーから提供されたものでなければならない。(2002年法律第252号により改正)
体外受精の行われる病院
第4条 公的資金によって運営されている病院以外の病院であっても、社会庁の許可を得て、配偶者間体外受精を行うことができる。以上のことは受精卵を女の体内に挿入する場合にも適用される。
非配偶者間体外受精の場合、卵子の受精及び受精した卵子を女の体内に挿入する行為は、医師の養成を目的とする大学及び大学と県議会との契約によって、医師養成のために医局を開放している病院以外、これを行うことができる。(2002年法律第252号により改正)
特別の審査
第5条 体外受精が提供精子または提供卵子によって行われる場合、医師は体外受精を受ける夫婦またはサンボー関係にある者について、医学的、精神的または社会的観点からみて、体外受精を受けることの適否を審査しなければならない。体外受精は、その体外受精によって生まれてくる子が健全な家庭環境において養育されることが予測できる場合においてのみ、これを行うことができる。
体外受精を受けることを拒否された夫婦またはサンボーは、社会庁に対して異議の申し立てを行うことができる。(2002年法律第252号により改正)
第6条 体外受精を行うため、医師は適当な提供者の精子または卵子を選定しなければならない。
死亡している者の卵子または精子はこれを体外受精に使用することができない。
卵子または精子提供者の個人情報は特別なカルテに記録し、70年間、保存しておかなければならない。(2002年法律第252号により改正)
非配偶者間体外受精子の自己の出自を知る権利
第7条 非配偶者間体外受精によって生まれてきた者は、その者が相当な判断力を有するようになったとき(om han eller hon uppnått tillräcklig mognad)、実施病院の特別カルテに記録されている卵子または精子提供者の個人情報を入手することができる。
社会福祉委員会(socialnämnden)は、前項に規定されている体外受精によって懐胎したと信ずべき相当の事由があり、且つ本人から要求があった場合、体外受精実施病院の特別カルテに記録されている個人情報の収集に協力しなければならない。(2002年法律第252号により改正)
裁判所に対する資料提出義務
第8条 裁判所は、体外受精に生まれてきた子の父性または母性に関する訴訟事件において裁判所が体外受精に関する資料を必要とする場合、体外受精を行った病院に対して、必要な資料の提出を求めることができる。(2002年法律第252号により改正)
刑罰規定
第9条 常習的にまたは営利を目的として、第3条または第4条の規定に反する行為を行った場合、罰金または最高6ヶ月以下の懲役に処する。(2002年法律第252号により改正)
異議の申し立て
第10条 第5条に規定する社会庁の決定に対して異議ある者は、普通行政裁判所に対して、異議の申し立てを行うことができる。但し、高等行政裁判所に対する控訴については控訴許可の決定を受けなければならない。(2002年法律第252号により改正)
監督官庁の規則制定権
第11条 政府または政府の指定する行政機関は、体外受精を受ける者の生命、身体を保護するため、その必要があると認められる場合、体外受精及び受精卵の体内への挿入に関して、規則を定めることができる。(2002年法律第252号により改正)
本法の規定は2003年1月1日から施行する。
以 上(Ⓒ菱木昭八朗訳)
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