『万葉集』19 4242~4244・4262~4265
大納言藤原家餞之入唐使等宴日歌一首 〈即主人卿作之〉
(4242)天雲の行き帰りなむものゆゑに思ひそ我がする別れ悲しみ
民部少輔丹治比真人土作歌一首
(4243)住吉に斎く祝が神言と行くとも来とも船は早けむ
大使藤原朝臣清河歌一首
(4244)あらたまの年の緒長く我が思へる児らに恋ふべき月近づきぬ
(4245~4261番歌、略)
閏三月於衞門督大伴古慈悲宿祢家餞之入唐副使同胡麻呂宿祢等歌二首
(4262)唐国に行き足らはして帰り来むますら健男に御たてまつる
右一首多治比真人鷹主壽副使大伴胡麻呂宿祢也
(4263)櫛も見じ屋内も掃かじ草枕旅行く君を斎ふと思ひて〈作者未詳〉
右件歌傳誦大伴宿祢村上同清継等是也
勅従四位上高麗朝臣福信遣於難波賜酒肴入唐使藤原朝臣清河等御歌一首〈并短歌〉
(4264)そらみつ 大和の国は 水の上は 地行くごとく 船の上は 床に居るごと 大神の 斎へる国そ 四つの船 船の舳並べ 平らけく 早渡り来て 返り言 奏さむ日に 相飲まむ酒ぞ この豊御酒は
反歌一首
(4265)四つの船はや帰り来としらか付け朕が裳の裾に斎ひて待たむ
右發遣 勅使并賜酒樂宴之日月未得詳審也