研究所の理念と目的

1 研究所規定と理念・目的

会計学研究所の目的は、専修大学会計学研究所規定第2条において、以下のとおり定められている。
「専修大学会計学研究所は、会計学に関する研究を行うことを目的とする。」
さらに第3条において、会計学研究所の事業活動が、つぎのとおり規定されている。
「研究所は、前条の目的を達成するために次の事業を行う。

(1) 研究会の開催
(2) 研究および実態調査
(3) 資料の収集・整理および保存
(4) 機関誌の発行
(5) 公開講演会の開催
(6) その他研究所の目的を達成するために必要な事項」

2 研究所の沿革と理念・目的

会計学研究所は、専修大学が新制大学として発足した1949年(昭和24年9月)に、社会科学研究所、今村法律研究室とともに創設された。しかしそのはじまりは古く、専修大学兼任講師であった鹿野教授を中心とする会計学研究者の集まり「計理学研究会」が、専修大学神田校舎で開催され始めた1917年(大正6年)に遡る。

この「計理学研究会」が会計学研究所の前身とされている。同年には専修大学専門部にわが国最初の計理科が設置されたときでもあり、1917年は専修大学の会計教育・研究元年ともいえる重要な年とされてきた。「計理学研究会」は1931年(昭和6年)頃まで続けられるが、学内外の研究者が集い、熱心な議論が行われていたようである。特に「会計学か計理学か」の論争は有名であり、「計理学研究会」が計理学を主張したことが「計理の専修」のいわれとなっている。この時代は「会計学研究所の萌芽期」として位置づけられよう。

1949年設立以後の会計学研究所の活動は、研究活動もさることながら、1953年(昭和28年)から1979年(昭和54年)までは、「会計学教室」およぴこれに続く「会計学講座」と呼ばれた講演会が特徴的であった。「会計学講座」は、諸般の事情から1979年(昭和54年)に中止となるが、専修大学の勉学団体である「計修会」や「簿記検定講座」へと引き継がれる。その意味で「会計学教室」および「会計学講座」の開催されていた時期は、会計教育に強く関わってきた「会計学の普及活動時代」として会計学研究所の活動を特徴づけることができる。

それに対し、「会計学の普及活動時代」以後現在までは、会計学の研究領域が広がり、多様化してきたことから、会計学研究所の個々の所員の独創的研究活動を支援することに活動の重点が移されてきている。その意味で「会計学の普及活動時代」以後の会計学研究所の活動は、「会計学多様化の時代」もしくは「会計研究所多様化の時代」として特徴づけられよう。

会計学研究所は、「計理の専修」と呼ばれた伝統を守りつつ、会計に関わる研究の幅広い活動・普及・支援を目的とし、実社会との関係を重視する開かれた研究所を目指している。