研究会等の開催 - 令和7年度

I.研究会等の開催 - 令和7年度

◆ 定例研究会
第1回定例研究会
日時・会場 2025年12月2日(火)
 12時30分~13時30分
【対面】(神田キャンパス1号館12階共同研究所)+ ZOOMによる【オンライン】方式
 

  2025年12月2日(火)に、山下修平所員(専修大学商学部教授)による定例研究会が、「日本の戦前・戦時期における計理士の役割」と題して開催された。生田キャンパス・神田キャンパスでの対面12名とオンライン6名の所員の参加があった。
 まず、戦時体制下における計理士の業務の他、これまであまり明らかにされていなかった計理士の役割が実務の視点から示された。そこでは、様々な史料にもとづいて、いくつかの可能性が提示された。検査・調査・鑑定・証明・計算・整理・立案等について、計理士法との関連性から、さらに、計理士会の会報『計理士』の調査からの指摘があった。
 今後、さらに、計理士業務の解明、戦時期の会計実務の展開、1950年前後の資格試験や検定試験の変遷に取り組んでいくことが説明された。専修大学が学校教育や実務家育成にあたって、「計理の専修」としてこれまで果たしてきた社会的なミッションを改めて感じる研究会となった。(国田)


 

 
 
 
講師
山下修平所員(専修大学商学部教授)
 
テーマ 日本の戦前・戦時期における計理士の役割
第2回定例研究会
日時・会場 2025年12月16日(火)
 12時30分~14時30分
【対面】(神田キャンパス1号館12階共同研究所)+ ZOOMによる【オンライン】方式

  2025年12月16日(火)に、牧野功樹所員(専修大学商学部准教授)と太田裕貴所員(専修大学商学部准教授)による定例研究会が開催された。生田キャンパス・神田キャンパスでの対面14名とオンライン5名の所員の参加があった。
 まず、第1報告では、牧野所員が「中小企業における経営者報酬の決定要因-インタビュー調査による探索的研究-」と題して、中小企業経営者の報酬に影響を与える要因が明らかにされた。中小企業9社に対する半構造化インタビューによって、主要な影響要因として、売上高・利益の業績では業績不振で経営者報酬の金額を下げる際に強く連動すること、従業員の給料や同業他社との兼ね合いで過度に高額にならないように抑制すること、金融機関の経営者保証・事業承継への対応など中小企業特有の要因、節税と報酬調整の関連性について具体的な事例が報告された。
今後、追加のインタビューを含めた内容について質的データ分析(QDA)を実施し、中小企業特有の報酬決定要因の解像度を高めていくとともに、中小企業経営者の能力がどのように計画策定・運用プロセスに影響を与え,どのような経済的帰結に繋がるのかを検証していくことが説明された。
 次に、第2報告では、太田所員が「従業員の株式保有と財務報告の品質」と題して、なぜ従業員の株式保有が財務報告の品質を高めるかという問いに関する論点が示された。従業員の株式保有が将来業績や生産性の向上あるいは離職率低下に影響するという文脈が、Adwan et al.(2022)の研究結果を起点に明らかにされた。2005度から2023年度の日本の上場企業をリサーチし、従業員持株会比率と財務報告の品質の間に統計的に有意な関連性が見られないこと、会計利益マネジメント(AEM)だけに注目した場合には, 従業員持株会比率が高い企業ほどAEMの規模が小さくなることが指摘された。
 今後の課題として、因果推論を考慮したリサーチデザインの設定、実体的利益マネジメント(REM)に関する要素分解と従業員が与える影響の精緻化、日本版ESOPや日本の労働市場の異質性を踏まえた仮説およびリサーチデザインの設定等の検討の必要性が示された。
 今回の2つ報告は、それぞれ中小企業と大企業を対象とした研究であるが、ある意味で株主所有構造や企業のガバナンスに注目しているという点で共通する研究であった。参加した所員からも様々な会計領域に係わる質疑がなされた。(国田)  

講師
<第1報告>  牧野功樹所員 (専修大学商学部准教授)
<第2報告>  太田裕貴所員(専修大学商学部准教授)
 
テーマ <第1報告>  中小企業における経営者報酬の決定要因-インタビュー調査による探索的研究-
<第2報告>  従業員の株式保有と財務報告の品質


◆ 公開講演会
第1回公開講演会
日時・会場 2025年10月17日(金)
 10時45分~12時15分
【対面】神田キャンパス10号館4階10041教室

  2025年10月17日(金)に、櫛部幸子氏(大阪学院大学経営学部准教授)をお迎えし、「我が国の中小企業会計の実態と中小企業会計基準」をテーマに公開講演会が対面形式で開催された。商学部の学部生を中心に約200名が参加し、生田キャンパスからは経営学を学ぶ大学院生の参加もあった。
 講演会では、まず、経営者の個人保証の視点から、近年の中小企業の経営・金融の実態について各種のデータや税理士へのインタビューをもとに報告が行われた。続いて、中小企業の会計へのアプローチについて理論的な説明があり、中小企業会計基準のいくつかの類型が提示された。さらに、中小企業の経営と会計基準の有意な関係性について、具体的な事例を交えた説明があった。
 講演の締めくくりには、「中小企業の信頼性とは何か?」と参加者に投げかけられ、中小企業における会計基準の役割について語られた。中小企業にとって会計は単なる記録ではなく、「信用を生み出す言葉」として社会的な役割を果たすものであることを考える非常に有意義な機会となった。(国田)


 
 
 
講師
櫛部幸子氏(大阪学院大学経営学部准教授)
 
テーマ 我が国の中小企業会計の実態と中小企業会計基準
第2回公開講演会
日時・会場 2025年12月17日(水)
 10時45分~12時15分
【対面】神田キャンパス10号館3階10031教室(黒門ホール) 

  2025年12月17日(水)に、佐々木重人氏(専修大学名誉教授・前専修大学学長)をお迎えし、「イタリア・ルネサンスの商人に宛てた賜り物 -ルカ・パチョーリ著『スムマ』初版 1494年-」をテーマに公開講演会が対面形式で開催された。商学部の学部生を中心に約300名が参加した。大学教員約30名以外にも、佐々木ゼミナールで学生時代を過ごしたOBOGの参加もあった。
 講演会では、ルカ・パチョーリ(Luca Pacioli)が、中世イタリアの都市の商人ごとの秘伝的扱いともなっていたヴェネツィア式簿記法をまとめた『スムマ』を通じて、簿記・会計のヒストリーが語られた。イタリア国内ばかりでなく、他のヨーロッパ諸国、アメリカ、そして明治期の日本にも繋がり、この意味でルカ・ パチョーリは「会計の父」とも称される。佐々木先生は専修大学で長年にわたって「会計史」をご担当されていたが、世界史や日本史の文脈でなく、活版印刷、インキュナブラ、十字軍遠征、フォルコ・デ・ベフォルチ家、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、ウルビーノ公、パトロン、アントニオ・デ・ロンピアジ家、フランチェス カ派僧団、レオナルド・ダ・ヴィンチ、神聖比例論、イタリア・ルネサンスなど、まさに「会計の歴史」の中で当時の世界の状況が明らかにされた。
 講演の最後には、中世欧州から米国、そして日本へと繋がってきた簿記の流れが、現在、日本の専修大学社会知性開発研究センターの「ラオス複式簿記普及プロジェクト」を通じて、未来に繋がっていくことが説明された。時代を超えて深く思考する視点の重要性と楽しさに気づく講演会となった。なお、ルカ・パチョーリ著『スムマ』初版本は、専修大学に所蔵されており、今後公開イベントなどを企画し学生に触れて考える機会を提供していきたい。(国田)
 
講師
佐々木重人氏(専修大学名誉教授)
 
テーマ イタリア・ルネサンスの商人に宛てた賜り物
-ルカ・パチョーリ著『スムマ』初版:1494年-


II.共同研究

テーマ     代表者研究員
会計の多様化
継続建部宏明
植田敦紀・池田宏史・山下修平
財務会計と管理会計の融合に関する検討-財管一致を目指してー新規
大柳康司青木章通・岩田弘尚
会計へのAI適用研究新規谷守正行
西居豪 ・金鐘勲・牧野功樹・古川原駿(西居ゼミ博士後期課程)
会計および監査の理論・制度に関する研究
新規佐藤文雄
宮川宏・赤城諭士・山崎秀彦・廣瀬哲雄(佐藤ゼミ博士後期課程)
財務情報の変化と証券市場新規奥西康宏成岡浩一・内野里美・太田裕貴
簿記検定試験のプロジェクトマネジメントの検討
新規国田清志
石原裕也・菱山淳・秋山高善・與口博史(国田ゼミ博士後期課程)