研究会等の開催 - 令和元年度

Ⅰ.研究会等の開催 - 令和元年度

◆ 定例研究会
第1回定例研究会
日時2019年5月7日(火)
12時20分~
令和元年5月7日(火)に、国田清志所員により平成30年度会計学研究所実態調査報告が、「大阪取引所に関する実態調査-歴史的背景と現状-」と題して行われた。報告では、明治新政府による大阪造幣局の設立の背景、V.E.ブラガの指導による複式簿記の導入の影響、大阪取引所の歴史的変遷と総合取引所の可能性などについて、いくつかの指摘がなされた。
※本実態調査は、平成31年3月14日から3月16日にかけて、独立行政法人造幣局大阪本局・造幣局博物館、株式会社大阪取引所・OSEギャラリー(日本取引所グループ)、大阪企業家ミュージアム(大阪商工会議所)、適塾(大阪大学)を中心に実施されたものである。
報告国田 清志 所員
テーマ平成30年度会計学研究所実態調査報告
第2回定例研究会
日時2019年11月5日(火)
12時20分~
2019年11月5日(火)に、ラオス国立大学経済経営学部からの海外客員教授であるXayphone KONGMANILA特別所員により定例研究会報告が、「The Development of Accounting in Lao PDR」と題して英語で行われた。ラオスの経済状況を概観した上で、ラオスの会計基準や会計制度の発達について、1975年から現在までの流れが詳細に説明された。会計法や会計規制による時代区分を用いてラオス会計の展開を明らかにするとともに、会計士の役割やそのあり方について言及された。また、上場企業におけるIFRSの適用について今後の方向性に対する問題が提示された。
※Xayphone特別所員は、専修大学社会知性開発研究センターの研究拠点のひとつである「複式簿記普及事業推進研究センター」のメンバーでもあり、ラオ語による簿記テキストの開発とラオスでの簿記検定試験実施の支援にも参加されている。(国田)
報告Xayphone KONGMANILA特別所員
テーマThe Development of Accounting in Lao PDR
第3回定例研究会
日時 2020年1月21日(火)
12時20分~
2020年1月21日(火)に、梅田充所員(専修大学商学部助教)により定例研究会報告が、「インタンジブルズが企業価値に及ぼす影響-戦略とマネジメント・コントロールシステムに焦点を当てて-」と題して行われた。企業価値とインタンジブルズの関係性を明らかにするにあたって、価値創造プロセスに戦略とマネジメント・コントロールを取り入れたモデルをもとに、7点リッカート法による調査結果の分析が報告された。
仮説の検証を通じて、結論として次の2点が示された。①「理念とビジョンの浸透」が他のインタンジブルズに影響を及ぼす理念・ビジョンを浸透させることで、従業員を戦略へと方向づけすることができる。②探索型企業と防衛型企業とでは、企業価値に影響を及ぼすインタンジブルズが異なる。探索型企業は市場機会探索のためイノベーションが、防衛型企業は市場維持のためにレピュテーションの構築が重要となる。
最後に、両利きの経営の測定方法やどのようなインタンジブルズが企業価値に影響を及ぼすのかについて今後の課題が示された。(国田)
報告 梅田 充 所員
テーマ インタンジブルズが企業価値に及ぼす影響-戦略とマネジメント・コントロールシステムに焦点を当てて-
第4回定例研究会
日時 2020年2月4日(火)
12時30分~
2020年2月4日(火)に、浦上哲平氏(かがやき税理士法人・株式会社経理バンク)により定例研究会報告が、「ラオス概況と簿記プロジェクト」と題して行われた。まず、ラオスの最近の経済状況について経済特区の制度や日本からの進出企業を事例に説明が行われた。そして、ラオスでの簿記普及プロジェクトの経緯や過去にラオスで実施された簿記セミナーのアンケートや試験について分析結果が報告された。
現在、浦上氏は2019年10月1日に専修大学の社会知性開発センターに設置された複式簿記普及事業推進研究センターのオブザーバーでもある。なお、専修大学会計学研究所は、専修大学、ラオス国立大学、ラオス経済経営学部、川崎商工会議所、ラオス商工会議所との6者協定にもとづき、本プロジェクトを支援している。
研究会報告では、簿記セミナー受講者の属性と受講料などの関係、開催場所における受講者の属性と産業立地との関係など、いくつか興味深い指摘がなされた。また、簿記セミナーの修了テストにおける設問別正答率について具体的な報告が行われた。最後に、簿記普及のための仕掛け(インセンティブ)や教育機会を拡大する必要性が示された。
今後、ラオスに複式簿記を浸透させるために、現地の幅広いニーズをどのように簿記教育や検定試験実施へと繋げていくのか、その方向性や具体的な施策を考える良い機会となった。(国田)
報告 浦上 哲平 氏(かがやき税理士法人・株式会社経理バンク)
テーマ ラオス概況と簿記プロジェクト

◆ 公開講演会
第1回公開講演会
日時2019年7月2日(火)
10時45分~
会計学の第一人者を講師に招いて開催される会計学研究所主催の公開講演会(前期)が、2019(令和元)年7月2日(火)に、生田キャンパスで開催された。今回は日本管理会計学会顧問である辻正雄氏(名古屋商科大学大学院教授・早稲田大学名誉教授)が、学部学生、大学院生、教員など約330名を前に、「非事業用資金が収益性に与える影響」と題して講演した。1980年代からの日米企業の比較分析から抽出された課題をベースに、非事業用資産について特に長期的視点からの実証分析による具体的な説明がなされた。最後に企業価値向上のためのいくつかの具体的な指針が提示された。学生たちが会計にとどまらず企業経営についても考える大変貴重な機会となった。(国田)
報告辻 正雄 先生
(名古屋商科大学大学院教授)
テーマ非事業用資金が収益性に与える影響
第2回公開講演会
日時2019年10月15日(火)
10時45分~
会計学の第一人者を講師に招いて開催される会計学研究所主催の公開講演会(後期)が、2019(令和元)年10月15日(火)に、生田キャンパスで開催された。今回は国際会計基準審議会(IASB)の前理事である山田辰己氏(中央大学特任教授)が、学部学生、大学院生、教員など約360名を前に、「国際財務報告基準(IFRS)の動向」と題して講演した。日本におけるIFRS採用の現状やIFRS財団の組織・IFRSの構成を概観し、概念フレームワーク、原則ベース、資産負債アプローチ、包括利益と当期純利益、のれんの減損・非償却など重点事項に絞って説明がなされた。また、IFRS第15号「収益認識」とIFRS第16号「リース」についても具体的な設例を使ってポイントが説明され、最後に会計が抱える課題が示された。私見を交えたとても分かりやすい説明で学生たちが企業会計の今とこれからを考える大変貴重な機会となった。(国田)
報告山田 辰己 先生
(中央大学特任教授・元国際会計基準審議会(IASB)理事・国際統合報告評議会(IIRC)アンバサダー)
テーマ国際財務報告基準(IFRS)の動向

II.共同研究

テーマ     代表者研究員
価格と原価の関係性新規谷守正行建部宏明・梅田充
会計制度の比較研究新規柳裕治佐藤文雄・瓶子長幸・広川裕一(柳ゼミ博士後期課程3年)
原価計算の今日的意義新規青木章通伊藤和憲・岩田弘尚
財務報告の変革とその経済的影響新規奥西康宏内野里美・成岡浩一・大柳康司
東アジアの会計制度と会計基準新規国田清志石原裕也・櫻井康弘・サイポン・コンマニラ(特別所員)
企業の持続的価値創造を表す統合報告の研究継続植田敦紀椛田龍三・菱山淳・松本徹・廣瀬哲雄(椛田ゼミ博士後期課程2年)・川津大樹(椛田ゼミ博士後期課程2年)