科学研究費助成事業_2023年度

2023年度 科学研究費助成事業採択者

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基盤研究(B)
国際開発援助体制の変容と開発途上国のナショナル・ガバナンスの相互連関に関する研究
氏名・職名
稲田十一 経済学部教授
研究概要本研究は、国際開発援助体制の変容に関するグローバル・ガバナンスの国際システムレベルの分析と、開発途上国の国家・国内レベルのナショナル・ガバナンスの分析を併用して、国際開発援助体制の変容が開発途上国のナショナル・ガバナンス(特に民主化の後退や権威主義体制の広がり)にどのような影響を与えているのか、両者の間の相互連関を分析するとともに、幾つかの事例国を取り上げ、そこにみられる共通の要素や違いを生み出す要素などを探求するものです。
マクロ経済の異質性と財政・金融政策の有効性
氏名・職名
稲葉大  経済学部教授
研究概要
企業の国内外ネットワークの形成、変容及び効果に関する包括的研究
氏名・職名
金榮愨  経済学部教授
研究概要本研究は、取引、資本関係、共同研究開発などによって形成される企業間ネットワークが国内・国際的にどのように形成され、変化するか、それは企業のパフォーマンスとマクロ経済にどのような影響を及ぼすかを実証的に分析します。そのために、日本と米国、中国、韓国などの企業間・国際ネットワークのデータを用いて、先行研究の分析を国際企業間ネットワークにまで拡張し、近年の米中貿易摩擦やコロナ感染症拡大によるサプライチェーンの寸断などのショックがどのようなメカニズムで伝播し、どこまで影響するか、企業パフォーマンスや雇用、賃金、経済の生産性にはどのような影響を及ぼすかなどを分析します。
「生活最低限」の地域性と貧困の「農村的性格」を基礎にした貧困対策に関する調査研究
氏名・職名
小池隆生 経済学部教授
研究概要本研究は、貧困対策の効果的な実施に資する根拠として、人々が暮らす場所の特徴(=「地域性」)を、どのように織り込み踏まえることができるのか、また、地域生活の「最低限」の違いがどのようなものであるのかについて、農村部(岩手県岩泉町および西和賀町)と都市部(岩手県盛岡市および神奈川県川崎市)との比較調査から明らかにします。その際、注目するのは生活様式です。研究目的のために、地域で異なる生活様式に関する量的ならびに質的調査を実施します。
ナイジェリア農民のリスク認識とリスク管理戦略に関する学際的研究
氏名・職名
傅凱儀  経済学部准教授
研究概要本研究は、アフリカ農民のリスク認識とリスク管理戦略を明らかにすることを目的とします。アフリカにおける飢餓と貧困を根絶するには、伝統技術を継承しつつも外来技術を調和的に導入し、農業の生産性と収益性を持続可能な手法で高めていく必要があります。しかし、社会経済リスクや生態環境リスクが高いアフリカ諸国では、外来技術の導入による農業の集約化がこれらリスクに対する農民の脆弱性を高める可能性があります。
津波・事故死亡事案における犠牲者遺族の活動と法と社会への影響に関する実証研究
氏名・職名
飯考行  法学部教授
研究概要
1970年代の日米欧三極国際秩序の模索―日米関係史と日欧関係史の総合化の試み
氏名・職名
黒田友哉 法学部准教授
研究概要
性ホルモンを介した骨格筋量の新たな調節機序
氏名・職名
相澤勝治 経営学部教授
研究概要本研究は、女性ホルモン(エストロゲン)を合成するために必要なアロマターゼ酵素に着目し、骨格筋においてどのような働きを担っているかについて明らかにすることです。さらに、このアロマターゼ酵素は運動によって活性化されることから、運動による筋肉の肥大や萎縮予防の機序を明らかにし、我が国の健康寿命の延伸に寄与するための基礎的知見を得ることを目的としています。
商店街の多様性とコミュニティ対応力の評価:地域商店街活性化法の効果検証の観点から
氏名・職名
渡辺達朗 商学部教授
研究概要全国の商店街で空き店舗の増加、営業不審などの衰退傾向が続いています。そうした傾向は、コロナ禍による外出や営業の自粛などを通じて加速しています。この研究では、商店街を構成する店舗が多様であればあるほど、そして地域コミュニティのさまざまなニーズへの対応力が高ければ高いほど、その商店街の持続可能性が高まるとの考え方に基づいて、各地の商店街の実状を詳しく調査し、課題の解決方法等について検討します。
山地のジオ多様性に着目した遺伝子レベルの生物多様性の形成過程
氏名・職名
高岡貞夫 文学部教授
研究概要本研究は自然地理学と生物学の知見と手法を組み合わせて、遺伝子レベルで認識される動物種の多様性とジオ多様性(非生物的自然の多様性)との関係を流域スケールで明らかにすることを目的としています。北アルプスおよびその周辺域を対象に、移動性の低い動物種についての遺伝的多様性を明らかにし、一方で地形を中心とするジオ多様性と植生の変遷史を明らかにし、後者が種の分散と分化にどのようにかかわってきたのかを考えます。
コンテンポラリーダンスの制度的基盤に関する比較分析
氏名・職名
貫成人  文学部教授
研究概要
心理社会的療法の臨床効果を自動評価するためのICT技術基盤環境の開発研究
氏名・職名
小杉尚子 ネットワーク情報学部教授
研究概要認知症高齢者に対する音楽療法について、音楽療法士と認知症高齢者の映像データ、楽器類に装着したセンサのデータ、体温や心拍などのバイタルデータ等と臨床評価データを用いて、音楽療法の臨床効果の機序を解明し、それに基づいて音楽療法の臨床効果を客観的・自動的に評価可能なICT技術基盤環境を開発します。音楽療法は認知症高齢者の介護負担増大に影響する「行動・心理症状」に対する効果が既知であるため、本研究の成果により音楽療法の臨床効果を最大化し、介護者の負担が軽減されると共に、音楽療法以外の心理社会的療法の臨床効果の機序解明・臨床効果評価に資することを目指します。
矛盾する情報の評価・統合過程をメタ認知し変容する力を育む協調学習プログラムの開発
氏名・職名
望月俊男 ネットワーク情報学部准教授
研究概要インターネット上には様々な情報があり、その情報どうしの間に矛盾がみられることがあります。そのような矛盾する情報を読み解くときには、どのような証拠に基づいているのかを丁寧に読み解くことと、自分が2つの文章をどのように読み解いているのか、ということについて意識的に考えるメタ認知を働かせる必要があります。本研究プロジェクトでは協調学習支援システムを使って、そのような矛盾する情報を適切に読み解くための方略を学ぶ教育方法の研究開発を行います。
道教の聖地としての洞天への巡礼と東アジアにおけるその思想文化に関する調査研究
氏名・職名
土屋昌明 国際コミュニケーション学部教授
研究概要中国にねざした宗教の主たるものに「道教」があります。道教での聖地は名山にある洞窟の内部にあると信じられた「洞天」でした。文献にみえる洞天の場所はどうして聖地とされたのか、どんな景観なのか、本当に洞窟があるのか、あるとすればどんな洞窟なのか、それへの信仰と実践のありかた、そこへの巡礼がどのようにおこなわれてきたか、そして洞天という想像の産物が東アジアの思想文化に与えた影響を研究します。
癒しと再生のロマン主義―グリーンケアをめぐる環大西洋エコロジーの展開と現代性
氏名・職名
成田雅彦 国際コミュニケーション学部教授
研究概要私たちは、昨今、新人世と呼ばれるようになった現代世界の危機的な環境問題に対し、文学研究の領域から問題解決のヒントを探る共同研究をしています。特に自然を大きなテーマとした十九世紀英米ロマン主義文学を研究対象とし、そこに提起される自然破壊の問題や自然の人間精神に対する癒しの力を分析し、広く発表することで、現代の人間たちと世界へ、これまでの政治や経済、あるいは環境運動からだけではない、文学世界からの提言を行おうとしています。
基盤研究(C)
地域循環型社会に向けた「木の駅」方式の地域通貨による資源管理に関する研究
氏名・職名
泉留維  経済学部教授
研究概要地域通貨ブームは2008年頃に終わりましたが、近年、例外的に数を伸ばしているのが「木の駅」における地域通貨です。「木の駅」は中山間地での自然資源の循環の構築を念頭に置き、搬入された間伐材の対価として地域通貨を支払い、間伐材は可能な限り地域で活用し、また地域通貨は地域の個人商店等で使用される仕組みです。本研究は、60弱ある「木の駅」の運営の実態や、代表的な「木の駅」におけるメンバーの購買パターンや意識の変化等について明らかにし、地域の自然資源の持続的な活用やそれらの循環性等を図るために地域通貨が果たしうる役割を明らかにしようとするものです。
古典派経済学のジェンダー視点による思想史的再検討:女性・再生産・環境
氏名・職名
板井広明 経済学部教授
研究概要
共通価値創造の観点からみたコミュニティビジネスによる大都市圏の地域活性化方策
氏名・職名
河藤佳彦 経済学部教授
研究概要コミュニティビジネスには、収益事業体としての自立性と地域活性化への貢献という公益性が共に期待されます。大都市圏にはビジネス機会が多くあり、コミュニティビジネスが地域コミュニティを支える重要な社会基盤として期待されます。そこで、代表的な大都市圏である関東地方に着目し、ヒアリング調査とアンケート調査により、大都市圏の地域活性化にコミュニティビジネスが果たす役割の重要性とその振興方策について提言します。
長い18世紀イギリスの都市化における小売業の役割
氏名・職名
小西恵美 経済学部教授
研究概要本研究は、18世紀から19世紀末までのイギリスの都市化の過程を「質的都市化」と捉え、都市化そのものの概念を再考することを目的としています。鍵となるのは小売業の歴史的意義です。イギリス地方都市の事例を中心に、小売業の展開、特に固定小売店舗の集まる買い物通りの様々な形態と機能、その形成が都市に及ぼした多面的な影響、買い物通りと伝統的取引との対立・補完関係、地域社会との関わり方などについて実証的に検証します。
文化的生態系サービスの視点から捉えた、自然公園における文化的景観の持続的管理
氏名・職名
小林昭裕 経済学部教授
研究概要
イップスおよびジストニアにおける発症のメカニズムと対処法に関する研究
氏名・職名
佐藤雅幸 経済学部教授
研究概要
コロナ禍で変容するモビリティ・シェアリングの阻害要因・普及促進方策の解明
氏名・職名
中村吉明 経済学部教授
研究概要
マクロ経済における資産価格変動メカニズムの解明と望ましい経済政策の在り方の研究
氏名・職名
奴田原健悟 経済学部教授
研究概要
因果機械学習に基づく分位点処置効果の計量解析とその経済学における応用
氏名・職名
陳ショウジ 経済学部准教授
研究概要
地方自治体の行う国際活動の法的基礎-国際活動の実態と正統性問題をめぐる日独比較法
氏名・職名
大西楠テア 法学部教授
研究概要日本の地方自治体は姉妹都市協定などを通じて、外国の都市との国際交流を行っています。その中には環境保護や経済開発など、持続可能な発展にとって重要な政策について協力するというものもあります。こうした地方自治体の国際活動の法律上の根拠や活動の限界について調査・研究します。
所得相応性基準に関する日米比較法研究を素材とした知的財産権の評価基準の構築
氏名・職名
谷口智紀 法学部教授
研究概要
地方自治体の保障責任に着目した高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定システム
氏名・職名
山下竜一 法学部教授
研究概要日本には、原発から出た高レベル放射性廃棄物がすでに多く存在しているため、原発再稼働の是非とは関係なく、最終処分場をどこかに作る必要があります。現在、北海道の寿都町や神恵内村で調査が進められていますが、そこに最終処分場が作られるかは不明です。そこで、この研究は、国、電力会社だけでなく、多様な法主体が選定手続に関与すること、特に、原発を受け入れている地方自治体が責任を持って関与することを柱とする最終処分場の新たな選定システムを構築することを目的としています。
中国のアフリカ外交の実証的研究:資源外交・インフラ建設・国有企業
氏名・職名
吉川純恵 法学部講師
研究概要
サービス業における収益管理の役割期待の変化に関する研究
氏名・職名
青木章通 経営学部教授
研究概要
多様な状況における統計的仮説検定方式の開発とその応用
氏名・職名
西山貴弘 経営学部教授
研究概要近年の情報化社会の発展に伴い、日々新しく生まれるデータがますます巨大化し、それらのデータが互いに融合し複雑化する「ビックデータ時代」とよばれる社会になっています。そのため、現実的に起こりうる多種多様な状況に対する新たな統計解析手法の開発の重要性が増しています。本研究では、従来の統計理論を適用することができないような様々な状況の下で、特に統計的仮説検定問題についての理論と方法論の開発を行っています。
企業の市場適応行動パターンとその成果:製品ポートフォリオの動態的分析に基づいて
氏名・職名
中村世名 経営学部准教授
研究概要企業を取り巻く環境は常に変化しており、近年、その変化のスピードがますます速くなっていることが指摘されています。企業は、保有する製品の組み合わせであるポートフォリオを変更することによって、そうした変化に適応しようとします。この研究では、定量的な分析を通じて、企業のポートフォリオ変更行動のパターンを類型化すること、また、どのパターンを採用している企業が最も高い成果をあげることができるかを特定化することを目指しています。
コンピュータ援用による旗領域の組み合せ論的研究
氏名・職名
巴山竜来 経営学部准教授
研究概要円や正多角形などの対称的な図形は、回転によって変化しない性質を持っています。このように対称性を持つかたちは、そのかたちを不変に保つ変換の集まりを調べることによって研究することができます。この研究ではコンピュータを駆使し、そういった変換の構造を研究します。また図形の変換に関する基礎理論をコンピュータグラフィックスに応用することも視野に入れています。
統合報告の価値創造に関する情報利用の研究
氏名・職名
伊藤和憲 商学部教授
研究概要法律で強制された財務報告書は,過去の財務情報の報告書です。投資家は,将来性のある企業に投資したいために,過去のデータでは役に立ちません。そこで,企業が任意にサステナビリティ・レポートを報告しています。ところが,これらは何の関係もなく報告されているので,統合すべきであるとして統合報告書が求められています。統合報告書を経営管理のためにどのように利用すべきかと考えて,管理会計の立場で研究しています。
石綿健康被害救済制度の改正に向けた制度設計に関する包括的研究
氏名・職名
阪本将英 商学部教授
研究概要アスベスト(石綿)は、かつて建材として大量に使用されました。しかし、石綿を吸引すると中皮腫や肺がんといった健康被害を引き起こすうえに、その被害は建設労働者にとどまらず、石綿を扱っていた工場周辺の住民にも発生していることが明らかになりました。これを受けて、2006年に被害者の迅速な救済を目的に「石綿健康被害救済制度」がつくられましたが、同制度は給付水準が低く、被害者の生活を保障する仕組みになっていません。本研究では、被害者の立場からどのような救済・補償制度が必要なるのか検討します。
旧外地における企業設立の学校に関する研究
氏名・職名
佐藤由美 商学部教授
研究概要研究の目的は、旧外地(台湾・朝鮮・満洲・南洋群島)に内地(日本)企業が設立した学校の創設経緯や教育の実態を把握して、その学校が当該地域でどのような役割を果たしたのかを明らかにすることです。これらの企業が「外地」の資源を利用し「搾取」と「発展」が表裏一体となった経済活動を行ってきたことは想像に難くないのですが、学校の設立については殆ど知られていません。雇用者の家族(学齢者)のための学校の設立状況、その学校が「内地人」と現地人の「共学」だったのか、地域社会とどのような関係を築いたのかについて調査します。
倒産法制における損害賠償請求権の責任負担の在り方についての経済学的研究
氏名・職名
瀬下博之 商学部教授
研究概要
管理会計へのデジタル化の影響と適合化に関する研究
氏名・職名
谷守正行 商学部教授
研究概要本研究の目的は「デジタル化に適合する管理会計・原価計算の要件とそのための実現モデル」を明らかにすることです。このデジタル化とは、DX、AIやIoTの適用だけでなく、DXやデジタライゼーションも対象とします。研究方法は、デジタル化のための管理会計の要件を仮説的にモデル化したプロトタイプシステムを作成して、実際にいくつかの企業で検証を行うアクションリサーチを適用します。それにより、理論と実務の両面から検証を行います。
ネットワーク構造を利用した潜在的な関係性を捉える技術とその応用
氏名・職名
中原孝信 商学部教授
研究概要ビッグデータとして記録されているデータは、人間活動の一部でしかありません。だからこそ、直接観測できない潜在的情報に重要な価値があります。本研究は、そうした潜在的情報を探し出す新しい技術を開発し、その有効性を検証することを目指しています。潜在的情報を捉えるために、関係性を表現するネットワークツールの開発と、理論化を進めていきます。また、その実証研究として、マーケティングにおける応用研究を行います。この研究により、関係性の網の中に隠れた重要な情報を明らかにすることが期待できます。
リース取引に関する資本化回避行動の分析
氏名・職名
菱山淳 商学部教授
研究概要
有限無限次元における有界対称領域上の正則写像に関する研究
氏名・職名
本田竜広 商学部教授
研究概要数学の中でも、解析学の多変数函数論の分野の研究に位置づけされます。解析対象の局所的な極一部の現象を精緻に分析し、変化を的確にとらえると、全体での性質を知ることができるのが面白く興味深いところです。本研究の等質性や対称性をもつ領域の理論は、例えば、リニア・モーターカーにおいて、磁場から遮蔽するという条件のもとでのシールド最適設計問題の解法への応用が報告されています。
ニューノーマル時代の健康経営:若者世代の身体的・精神的・社会的健康に着目して
氏名・職名
大崎恒次 商学部准教授
研究概要
植物リボソームストレス応答の分子機構の実態解明
氏名・職名
前川修吾 商学部講師
研究概要植物を研究材料とした生物学の研究課題です。リボソームとは、細胞の中でタンパク質を作る装置です。リボソームはたくさんのタンパク質やRNAの部品が組み立てられて作られます。リボソームが正しく組み立てられなくなると、人間では様々な病気の原因になります。一方で植物の場合は葉の形に異常が出たり、根が伸びなくなったりします。この研究課題では、なぜリボソームが正しく組み立てられないと葉や根に異常が起きるのか、その分子メカニズムを明らかにすることを目指しています。
英語母語話者の航空管制通話と日本人リスニング能力の限界
氏名・職名
新田晴彦 商学部兼任講師
研究概要航空管制は英語を共通語とし航空機の交通整理を行っています。日本人にとっては外国語による通話となるため容易ではありません。私は、この通話をいかに正確に聞き取るかの研究を行っています。英語を母国語とする人たちの通話は、自国語ということでパイロット・管制官を問わず非常に高速で行われるのが一般的です。英語を外国語として学んできた者としてこの容赦のない英語にどう立ち向かえばいいのかを主題にしています。
日本近代史学史の再構築―中国史研究の展開過程と在野の学会の活動を焦点に―
氏名・職名
飯尾秀幸 文学部教授
研究概要戦前・戦後の日本で展開された歴史学に、マルクス主義歴史学は大きな影響を与えました。それを歴史学研究会・『歴史科学』編集委員会・民主主義科学者協会歴史部会などの学会に集った研究者の研究手法や研究成果、およびその思想性や歴史認識、さらには上記学会機関誌の編集方針、あるいは同時代の政治状況にあわせた様々な活動や運動のあり方などの視点から明らかにすることで、新たな近代史学史を構築したいと考えています。
近世におけるシビュラ図像の流布と展開
氏名・職名
伊藤博明 文学部教授
研究概要中世後期からルネサンスにかけて、イベリア半島に出現したシビュラ像について、またこれらのシビュラ像とヨーロッパで制作された版画集から影響を受けて成立した、16~17世紀のラテンアメリカの諸国家の聖堂に見いだされるシビュラ像について調査し、バロック期におけるシビュラ像の世界的な受容と展開について研究します。
コミュニケーション能力を重視したジャンル・アプローチに基づくライティング指導
氏名・職名
上村妙子 文学部教授
研究概要コミュニケーションをとる時には、「相手は誰か」、「目的は何か」といった「コンテクスト」が重要な要素となります。この研究の目的は、ジャンル・アプローチに基づく日本人英語学習者のための効果的な英語ライティングの指導法を考案することです。具体的には、まず設定されている「コンテクスト」を分析し、その上で「書く目的」を達成するための最適な文章構造と言語表現を選ぶための方策を模索していきます。
大規模斜面崩壊の発生年代と誘因に関する通説の地形学・地質学・年代学的検証
氏名・職名
苅谷愛彦 文学部教授
研究概要強い地震や激しい豪雨によって日本で発生した大規模土砂崩れには、人間が残した古文書や伝承をたよりに発生年代が推定されているものがあります。それを客観的に裏付けるため、野外調査データにもとづき土砂崩れの地形・地質特性を詳しく解析し、土砂崩れに巻き込まれた材木の化石の精密な分析を進めて1年単位という高い精度で発生年代を突きとめています。過去の災害史を正確に解き明かすことを通じて、未来の防災・減災に貢献することを目指しています。
戦後日本の地域形成に関する歴史的研究
氏名・職名
鬼嶋淳 文学部教授
研究概要
アメリカ葬儀産業の成り立ちと葬儀のプロフェッショナル化の研究
氏名・職名
黒沢眞里子 文学部教授
研究概要
メタ倫理学での「事実」と「価値」の関係の再構築に基づく、より広範な倫理学の探究
氏名・職名
佐藤岳詩 文学部教授
研究概要これまでの倫理学では、しばしば、事実と価値はまったく異なるものと理解されてきました。たとえば、太陽が沈みつつあるということは事実に属する事柄ですが、その事実はそれ自体としては、そのものの価値(たとえば、美しさ)とは別の事柄です。しかし、近年、倫理学は事実と価値を別ものとして扱いすぎてきたのではないか、両者の間には何かしらの結びつきがあるのではないか、とする理論が出てきました。この課題では、両者の間の本当の関係がどんなものなのかを研究します。
ナショナル・アイデンティティの創造と変容――「新世界の無用者」の表象
氏名・職名
中垣恒太郎 文学部教授
研究概要現在、アメリカではさまざまな「分断」が問題となっています。その中で、「取り残された層」としてのプア・ホワイトの表象史に対する注目も高まっています。いわば、「新世界の無用者」として疎外されてきた層は、アメリカの物語においてどのように扱われてきたのでしょうか。本研究課題は、アメリカのナショナル・アイデンティティの創造と変容を「アメリカ的」物語の系譜から探ることを目指します。不法移民や階級の問題にも目を向け、分断が進むアメリカの課題についても検討します。
医療記録からみる日本医療の「近代化」過程―医療費・家族・診療録―
氏名・職名
廣川和花 文学部教授
研究概要
海と陸から問い直すアメリカ現代史―20世紀後半ニュージャージー州沿岸諸都市の変容
氏名・職名
南修平 文学部教授
研究概要
共通感覚の公共的機能の再解釈を基盤とした「テレパシー倫理学」の構築
氏名・職名
宮崎裕助 文学部教授
研究概要
日本統治期における児童文化の伝搬と受容に関する比較と調査研究
氏名・職名
米村みゆき 文学部教授
研究概要
専門的トレーニングの継続が発育発達期の運動能力・コンディションに与える影響
氏名・職名
渡辺英次 文学部教授
研究概要幼児期から特化した競技スポーツ活動が発育発達期の選手に与える身体の影響に着目しました。各競技のスポーツクラブに所属するジュニア期からユース期の選手を対象として体力・運動能力測定、コンディション因子測定とアンケート調査を実施します。測定結果から、競技種目特有の体格、運動能力の発育発達のパターンと性差、各年代特有のコンディションの変化と傷害の有無との関連性について調査します。
アメリカ文学におけるサバイバルの修辞学と冷戦期再考
氏名・職名
渡邉真理子 文学部教授
研究概要本課題の目的は、第二次世界大戦後から現代までのアメリカ文学において、戦争・テロリズム・原子力事故・災害などの災厄がどのように表現されているのかを検討し、サバイバルという主題の生成と発展を明らかにすることで冷戦期を再考することです。21世紀を生きている私たちが日常的に意識せざるをえない災厄を、文学文化の領域から研究しています。ヴェトナム戦争、9.11とイラク戦争、ウクライナ侵攻に至るまで、アメリカにおける戦争の扱われ方にも注目しています。
コロナ禍での企業における健康状況と企業業績との関係についての経済学的考察
笑顔は信頼できるか?;笑顔による信頼シグナルの偽装と社会機能アプローチ
氏名・職名
大久保街亜 人間科学部教授
研究概要私はズルをする裏切り者が、偽りの笑顔で信頼を高め不当な利益を得ることを見出し、「笑いによる信頼シグナル偽造説」を立案しました。ただし、笑顔は微笑みから高笑いまでさまざまです。どのような笑顔が信頼シグナルを偽装するか明らかではありません。この研究では、信頼を偽装する笑顔について、表情筋を含む客観的特徴を解明し、コミュケーションによる役割を検討します。そして、日常への提言を試みます。
表象力学の再興:随伴性判断における刺激表象と強化の力学的関係の解明
氏名・職名
澤幸祐 人間科学部教授
研究概要私たちは「イヌ」や「バラ」といった事物について心の中で思い浮かべる(表象する)ことができます。この研究課題では、こうした表象同士の動的関係が学習経験によってどのように変化するのかを実験と統計解析を用いて検討し、「心の力学」の構築を目指します。
COVID-19が葬送儀礼の変容に与えた比較社会論的研究
氏名・職名
嶋根克己 人間科学部教授
研究概要
アジアの家族と村落コミュニティの比較歴史社会学:日本とインドネシアを中心に
氏名・職名
永野由紀子 人間科学部教授
研究概要この研究では、日本の農村家族とインドネシアのバリ・ヒンドゥーの農村家族とを比較します。核家族は近代化や都市化にともなう現象とは限りません。日本の農村は親夫婦と長男夫婦とが同居する三世代家族が一般的ですが、東南アジアの農村は核家族が一般的です。東南アジアの伝統的な核家族は、西欧近代の核家族と異なり、近隣集団や親族集団に開かれた家族です。比較家族の研究は、日本の家族や社会の常識を問い直すことにつながります。
21世紀現在時制小説の文体研究
氏名・職名
池尾玲子 国際コミュニケーション学部教授
研究概要英語の小説は従来、過去時制(例:ThreetimesDellacountedit.Onedollarandeighty-sevencents.AndthenextdaywouldbeChristmas.)で書かれていました。
しかし、今世紀になって、現在時制(例:ThreetimesDellacountsit.Onedollarandeighty-
sevencents.AndtomorrowisChristmas.)で書かれた小説が増えてきました。本研究は、現在時制が登場人物の話す言葉や、考えの表現にどのような影響を及ぼしているかを分析します。
チェコ文学におけるグロテスクと笑い――人間存在の真相を開示するもの
氏名・職名
石川達夫 国際コミュニケーション学部教授
研究概要「人間は笑う動物である」という哲学者アリストテレスの定義にも示されているように、笑いが人間にとって本質的なものであることは疑いありませんが、中欧の独特の精神風土の中で発展したチェコ的な笑いは特に注目すべきものです。チェコでは、深刻なものと滑稽なもの、悲劇と喜劇が混合した独特の笑いが発展しました。この研究は、そのようなチェコ的な笑いを具体的に分析し、チェコ文化を理解する上で鍵となるグロテスクと笑いへの理解を深めると共に、それが人間にとって持つ機能と意味を探ります。
ボイスミラーリングを活用した音声教材の研究と開発
氏名・職名
王伸子 国際コミュニケーション学部教授
研究概要プロのナレーターによる音声素材「ボイスサンプル」は音声表現力の獲得に効果を発揮し、4技能の底上げに有効だと考えます。そこで、(A)ナレーションを活用した音声の訓練方法を新たに「ボイスミラーリング」と名付け、その教材と指導法を構築・公開し、音声表現を効果的に訓練する素材として提供する。(B)日本語の環境が十分ではない海外の日本語教師にも効果的な音声指導方法を広める。以上が研究の概要です。
詩人大使クローデルの活動を通した1920年代の日仏文化外交・交流の実態調査と研究
氏名・職名
根岸徹郎 国際コミュニケーション学部教授
研究概要1921年から1927年まで駐日フランス大使を務めた詩人・劇作家ポール・クローデルの日本における外交・文学活動に注目し、第一次世界大戦という大きな節目のあとの世界の再編成という状況と、メディアが飛躍的に発達した1920年代に、クローデルが担った外交上の役割を検証することで、20世紀に入って大きく転換・発展したフランスの対外文化外交の方向性と戦略を明らかにします。この研究は当時の世界・社会情勢の中での文化外交に光をあてつつ、歴史研究・文学研究・外交研究の領域を横断するものです。また、インターネットなどのメディアが急速に発達する今日の状況を検証する上で、示唆をあたえるものです。
メキシコ先住民村落部における災害脆弱性の解明:民俗知を活かす地域防災モデルの構築
「価値ある労働」の機会保障と間接差別規制に関する比較法研究
氏名・職名
石田信平 法務研究科教授
研究概要差別とは、どのような行為でしょうか。友達となる人を選択する際、その人の性別を意識することが多いと思いますが、それは男女差別でしょうか。どのような行為を差別とみなすのか、という問題は奥が深く難しい問題で、それは雇用の領域でも同様です。人は人としては平等ですが、一人として同じ人はいないからです。生まれも育った環境も異なります。この研究では、雇用の領域において注目されてきている「間接差別」に焦点を当てて、それがどのような差別なのか、なせ雇用の領域において「間接差別」なるものが規制されなければならなのか、といった点を、平等や差別に関する哲学的視点に遡りながら検討します。
家事事件の実務的・現代的課題をふまえた実体法理の再構築
氏名・職名
道垣内弘人 法務研究科教授
研究概要家族関係の法律は、家庭裁判所等で運用されています。しかし、その運用は学問的・理論的な分析に基礎づけられます。たとえば、これまでの実務を維持しているだけでは、人工生殖や同性婚など、新しい問題に適切に対処することはできません。そこで、私たちの研究では、家庭裁判所の裁判官、家事事件を専門とする弁護士などの実務家の協力を得て、紛争の実態・問題の所在を明らかにし、そこに存在する理念的な問題性・論理的な不整合性などについて検討を深めていこうとしています。
明治・大正期における福田会育児院の財政に占める寄付の全容と寄付文化に関する研究
氏名・職名
宇都榮子 名誉教授
研究概要
学徒出陣兵の記憶および記録の「継承」のための実践的研究
氏名・職名
新井勝紘 人文科学研究所参与
研究概要アジア・太平洋戦争の終結から75年を越えた今、薄れていく当時の記憶や記録を後世に伝えることの重要性はますます高まっています。本研究は、国の方針転換で出征を余儀なくされた高等教育機関の学生たち(学徒出陣兵)の戦争体験を継承していくためにはどのようにすれば良いのか、その方法を考察することを目的としています。人の記憶はあいまいなものです。だからこそ、残された資料を検証しながら原体験を精査し、より正確な記憶を後世に残すための根元的作業が必要なのです。
挑戦的研究(萌芽)
協調学習における主体的な学びの調整を状況に応じて支援するエージェントの開発と評価
若手研究
国家間の輸送費用と自由貿易交渉に関する分析
氏名・職名
津布久将史 経済学部准教授
研究概要本研究課題の目的は、国家間の輸送費用が多国間の貿易自由化を目指す貿易交渉の結果に及ぼす影響を解明することです。近年、伝統的なGATT/WTOにおける多国間主義は衰退し、これに代わり台頭したのが複数国間協定と地域貿易協定とされています。そこで本研究課題では多国間での自由貿易体制を実現するためには、これらの協定のどちらが望ましいのかを輸送費用に関連付けて理論的に分析します。
日米における米軍基地をめぐる言説ネットワークの翻訳プロセスの社会学
氏名・職名
森啓輔 経済学部准教授
研究概要本研究は、米軍基地をめぐるメディア言説に焦点を当て、日米において日本の米軍基地問題がどのように報道されてきたのかを明らかにすることを目的としています。日本における米軍政策は日米メディアでどのような共通点や差異を持つのか、これらについて多角的に明らかにすることを目的としています。
月齢差が子どもの発達といじめ被害に及ぼす影響の評価
氏名・職名
森啓明 経済学部准教授
研究概要本研究は、学校内で発生するいじめ被害を効果的に抑止する教育制度の設計に寄与する科学的根拠を生み出すことを目的として、誕生日に従って学年区分を定める教育制度が、子どもの発達といじめ被害に与える影響を定量的に評価するための実証分析を行います。分析では、小学校入学基準日近辺に生まれた子どもの間で学年内における相対年齢が大きく異なることに着目し、この差が学校で受けるいじめ被害と、どのように結びついているか検証します。
近世中期散文文芸の研究―その総体的把握と文学史の再検討―
氏名・職名
丸井貴史 文学部准教授
研究概要江戸時代の中期には、既存の文学史の枠組みに当てはめることの難しい、様々な散文文芸が生まれました。しかし、その諸相についてはいまだ十分な整理がなされていません。そこで本課題では、この時期の主要な小説ジャンルである「初期読本」の概念をあらためて問い直すとともに、その周辺に位置する作品群に焦点を当て、成立の背景・文体の特徴・相互的な影響関係の有無などを分析することにより、18世紀の散文を総体的に把握することを目指します。
孝の「説話表象」の三次元的把握モデルの発展的研究――「二十四孝」説話を基点に
氏名・職名
宇野瑞木 文学部講師
研究概要
昭和期を中心にした少女雑誌に見る女子アスリートのジェンダー表象
氏名・職名
山田昭子 文学部兼任講師
研究概要スポーツとジェンダーの関係が注目される中、本研究では特に女子アスリートに着目していきます。アスリートとしての自分と女性としての自分、自他の身体イメージの乖離・葛藤は、当時の少女雑誌でどのように表現され、読者たちはそれを受け止めていたのか。現代にも続く女子アスリートたちのジェンダー上の葛藤、それに伴って生じる「ゆがみ」を、昭和期の少女(少年)雑誌言説に限定し、明らかにしていきます。
幼児・児童における道徳的行為性の判断とそのメカニズムの解明
氏名・職名
池田彩夏 人間科学部准教授
研究概要私たちは、自身の発言や行動に対して責任を持つことが求められますが、付与される責任の重さは一律ではなく、行為者の能力や属性に応じて、責任が免除されたり、軽減されたりすることがあるかと思います。この研究では、子どもと大人を対象に、どのような存在が道徳的行為の責任を負うと考えているのか、それが発達に伴ってとどのように変化するのかを検討します。
社交不安の注意プロセスにおける領域固有性仮説―注意プロセスへの介入効果の検証―
氏名・職名
石川健太 人間科学部助教
研究概要社交不安が高い人は、他者の表情や視線など自分自身の不安を高めてしまう刺激に対して、過度に注意を向けたり、一度向けた注意を逸らすことができないといった非適応的な注意特性をもつことが報告されてきました。本研究では、こうした注意特性が生じるメカニズムを明らかにします。さらに非適応的な注意特性を修正するための実験的な手法を開発することで、社交不安の症状の改善や再発の予防に役立てます。