2026.02.04 Wed
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人文科学研究所公開講演会
ベトナム戦争と現代アメリカ社会の関係性を考察

人文科学研究所(田中正敬所長)の公開講演会「アメリカのいちばん長い戦争」が1月24日、神田キャンパスで行われた。立教大学アメリカ研究所所員の生井英考さんを講師に招き、ベトナム戦争の記憶が現在のアメリカ社会にいかに結びついているかを考察した。

講演会の冒頭、司会を務めた本学文学部の南修平教授が「ベトナム戦争終結から50年。この戦争がアメリカ社会、文化、政治に与えた影響についてお話しいただきたい」と企画の趣旨を説明した。

生井さんは『ジャングル・クルーズにうってつけの日』『アメリカのいちばん長い戦争』などの著書で知られるアメリカ研究者。現在のトランプ現象を「50年かけて表出したもの」と述べ、現代アメリカ社会の「分断」の背景に、ベトナム戦争の影響があることを指摘した。なかでも1982年に完成した「ベトナム戦争戦没者慰霊碑」に着目し、巨大慰霊碑の建設を巡って世論の賛否が分かれ、激しい対立に発展した経緯などを説明。ベトナム戦争は、アメリカ国民の感情にさまざまな形で「遺恨」を残し、それらが現在の政治不信、民兵組織の乱立、分断の流れにつながっていると話した。

生井さんの講演を受けて、文学部の渡邉真理子教授が「PTSDという概念が社会全体に認知され、帰還兵による回想録文学の隆盛につながった」と解説。そのうえでアメリカ全体を覆っている「虚言の病」が戦争の記憶と深く関係していることを、小説や映画を通して指摘した。
質疑応答の時間も設けられ、慰霊碑建設の意味やアメリカ社会の今後について、参加者から踏み込んだ質問が数多く寄せられた。
20260202人文科学研究所01▲ベトナム戦争が現代アメリカ社会に与えた影響を論じた講演会
20260202人文科学研究所02▲文学や映画の視点からコメントを寄せた渡邉教授

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